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注目ベンチャー

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生産者のプライドを重視して言い値で購入 評判を呼んで仕入先を25カ国に拡大 / 注目ベンチャーインタビュー インタビュー後編

株式会社丸山珈琲 代表取締役社長 丸山健太郎

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丸山健太郎 株式会社丸山珈琲 kentarou_maruyama_maruyamacoffe

ブラジルの国際オークションで落札スペシャルティコーヒー豆を史上最高値

丸山氏の足跡を振り返ってみる。1968年に埼玉県で生まれ神奈川で育った丸山氏は、高校を卒業するとインドやアメリカを放浪する日々に入る。現地での生活費が尽きたら、帰国してアルバイトで資金を貯めて、ふたたび渡航する。その繰り返しで2年間を過ごし、21歳の時、結婚相手の両親から勧められ、両親が経営する軽井沢町のペンションの一角で喫茶店を開いた。

事業化は考えていなかった。「喫茶店でもやろうか、喫茶店しかできないという“でもしか喫茶店”」(丸山氏)で、初年度の売上高は220万円にすぎず、バレエ教師の夫人に生計を支えてもらう時期もあった。だが、コーヒー豆の選定と焙煎の研究を重ね、職人として知られるようになり、レストランや喫茶店への卸売りを開始する。

転機は90年代後半に起きた日本のコーヒー市場の激変である。喫茶店経営の専門誌2誌が休刊し、米国からスペシャルティコーヒーという概念が紹介され、シアトル系と呼ばれたセルフ式カフェチェーンが上陸して多店舗展開を進めた。この激変を受けて丸山氏は事業化にシフトする。

01年に国際オークション「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」に初参加。02年には、ブラジルCOEでスペシャルティコーヒー豆「アグア・リンパ」を当時の史上最高価格で落札した。この実績が、丸山氏が生産者とのパイプを築く契機となり、現在では25カ国・数百人の生産者から生豆を直接仕入れている。生産者が既存の輸入事業者をよそに、新規参入の丸山氏を選んだのは、プライドを重んじてくれたからだ。

「私は基本的に、生産者の言い値で買い付けします。生産者は自分が栽培した豆にプライドをもっているので、言い値に応じた私との取り引きに応じてくれたのです。さらに質の良いコーヒー豆は土壌の共通した同じ地区で採れるので、他の生産者を紹介してくれて、私がバイヤーとして知れわたるようになり、仕入れルートが増えてきました」

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投資ファンドで調達した資金で生産者に前払いして経営サポート

この間、丸山珈琲の新規参入に業を煮やした他の輸入事業者が、生産者に手を廻して、丸山珈琲への出荷を止めさせようとする動きもあったという。だが、どの生産者も、言い値で仕入れてプライドを満たしてくれる丸山珈琲を優先した。

さらに決済方法も生産者にメリットを与えた。通常は納品後に支払うが、小規模生産者の場合には丸山珈琲は注文時に支払い、生産者の資金繰りをサポートしている。この決済方法は一方で自社の資金繰りを圧迫する。解決の手段にしたのがファンドの組成による資金調達で、ファンド運営会社・ミュージックセキュリティーズ(東京都千代田区)に委託して、小口の投資ファンドで支払い原資を賄ってきた。

これまでに8本のファンドから約3億円(現在稼働分含む)を調達して、先払いをつづけている。生産者を支援する取り組みは海外で評価され、04年に丸山氏は、ヨーロッパ・スペシャルティコーヒー協会主催の若手起業家賞を受賞した。以上が、丸山氏を社会起業家ではないかと思った所以である。

丸山珈琲の従業員数は概算で社員60人とアルバイト100人の160人。この規模だと社長が現場まで統括するのが通例だが、丸山氏は、年間150日前後を費やして生産地を巡回しているため、従業員と直に接する時間が限られている。「社員を採用するようになった当初から1年の半分近くを海外で過ごしているので、従業員に違和感はないようです」(丸山氏)というが、それでも海外からの遠隔指導には限界があるのではないか。

丸山健太郎 丸山珈琲 kentarou_maruyama_maruyamacoffe

その限界を補っているのが、丸山氏が「外圧」と呼ぶコンサルティング会社の起用である。大手コンサルティング会社と契約し、業務体系や人事制度など経営の仕組みづくりやCS調査、定点観測などを行なっている。
今後の事業で計画しているのはパリへの出店である。丸山氏は「今年の海外出張は200日に増えるでしょう」と闊達に笑い飛ばした。

インタビュアー

経済ジャーナリスト

小野 貴史

前編はこちら >> 25カ国の生産者と直取引 コーヒー市場の“第三極”へ

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