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  4. デジタルソリューションと顧客本位で改正保険業法を追い風に商機拡大へ | 『注目ベンチャーインタビュー』vol.8 株式会社フィナンシャル・エージェンシー 齋藤正秀代表 前編

デジタルソリューションと顧客本位で改正保険業法を追い風に商機拡大へ / 注目ベンチャーインタビュー前編株式会社フィナンシャル・エージェンシー
代表取締役 齋藤 正秀

  • feedy

多彩な顧客要求に応える革新的システムとサービスを保険会社をはじめ他業界へもライセンス提供

2016年5月29日に施行される改正保険業法で「意向把握義務」と「情報提供義務」が導入される。意向把握義務とは顧客ニーズに合った保険プランの具体化・最終確認などで、情報提供義務とは比較可能な商品一覧・特定商品の提示・推奨理由の明示などである。募集規制に「積極的な顧客対応」が盛り込まれ、保険代理店には対応力が厳しく問われるが、この改正に対してフィナンシャル・エージェンシー社長の齋藤正秀氏は「当社にとっては非常にチャンスとなる局面に入る」と受け止めている。

同社事業はおもに3つに分類される。第一に保険代理店事業で、生命保険会社17社・損害保険会社11社・少額短期保険業者5社の商品販売。第二に委託事業である。保険会社のコンタクトセンターの運営を受託し、受託実績は14社。第三に銀行、カード会社、通販会社などの保険コンタクトセンターを共同運営する提携事業で、提携実績は47社におよぶ。

改正保険業法を追い風と受け止めているのは、すでに意向把握義務と情報提供義務を実践する仕組みを導入しているからだ。齋藤氏は「保険会社にとっては徹底比較によって競争環境が厳しくなるが、当社のミッションは『安心できる社会保障を提供する』ことで、お客様本位に徹した販売を一層可能とする環境変化」と歓迎している。

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保険証券をデジタル保管して保険金請求漏れ防止
訪問による手厚い保険金請求手続きのサポート

同社の強みはデジタルソリューションを確立したことにある。例えば同社が開発した保険見直しアプリ、母子手帳アプリ、自転車アプリといったアプリによるサービス提供を行い、そのサービスに親和性の高い保険を提供して顧客の保険契約率や満足度を高めるデジタルマーケティングを展開している。

デジタルマーケティングによって得た見込顧客情報とのコミュニケーションには、従来の電話での応対を進化させ、SMSやEmailはもちろんのこと、日本で圧倒的なコミュニケーションインフラとなっているLINEを通じて企業担当者と直接やりとりをするシステムを世界で初めて開発した。動画による多彩な情報提供やその情報交換の容易さは特筆ものである。

あるいは保険コンサルティングシステム「保デジPRO」は顧客情報を入力すると複数の保険商品から顧客に適した商品を自動的に選択、他の商品候補もランキングされ、顧客の意向や既契約情報等を確認しながら最終的な保険商品を確定させることで顧客に最適な保障内容と保険料の見積ができる改正保険業法に対応したシステムである。消費者にとっても販売する保険募集人にとっても極めてわかりやすく顧客意向に沿った保険商品購入ができるようになるため、まさに改正保険業法の主意を得たものとなっているといえよう。

これら先進的システムは保険会社や保険代理店といった保険業界向けだけでなく銀行や不動産といった他業界へのライセンス提供も計画中だ。

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さらに、「安心できる社会保障を提供する」をより顕著に実践するのは、契約者向けアフターフォローサービス「よつば」である。保険証券をデジタル保管して契約者だけでなく契約者の家族にも情報共有と定期的な請求勧奨を行うことで保険金請求漏れを防止する業界初のサービスで、すでに登録者は2万人に達した。たとえば老老世帯や独居高齢者世帯では請求手続きに支障が出がちだが、同社担当者が訪問して手続きのサポートをしている。

また手続きで必要な書類を取得するために役所や病院にも同行することもあるという手厚さだ。このサービスはケアマネージャーや民生委員ではカバーし切れない領域で、厚生労働省、農林水産省、経済産業省が整備を急いでいる介護保険制度外サービスに該当する。

インタビュアー

株式会社KSG
眞藤 健一

経済ジャーナリスト
小野 貴史