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  4. 「経営で大切なのは入口である。」 | 『熱中の肖像』vol.16 VOYAGE GROUP 宇佐美進典社長 後編

「経営で大切なのは入口である。」 / 熱中の肖像インタビュー後編株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長/CEO 宇佐美 進典

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半年後ごとの「クルー満足度調査」で社内の問題点を解決

社内体制も整備した。価値観を浸透させ、様々な社内活性化策を実施する担当部署としてコーポレートカルチャー室を設置して、「チーフカルチャーオフィサー」という文化担当役員も配置したのだ。やがて日常的にも、たとえば事業部間で収支が対立した時などに「仲間と事を成そうよ」という発言が自然に出て、調整がつくようになったという。

一方で、社内の問題点の抽出にも注力している。VOYAGEでは航海を意味する社名にちなんで社員を「クルー」と呼んでいるが、5年前から全社員を対象に半年ごとに「クルー満足度調査」を実施している。

アンケート調査で「きちんとした目標設定ができているか」「上司に相談しやすい環境か「異動の希望はないか」「睡眠は十分取れているか」などを質問し、問題を抱えていそうな社員には担当役員や人事担当者などが面談し、解決を図っている。半年ごとに、前回調査と対応策にもとづくケアを行なっているのだ。

こうした取り組みが「働きがいのある会社ランキング」第一位に結実したのだろう。取り組みは社員の離職率にも反映され、IT業界の離職率が年間15~20%とも推計されるなかで、VOYAGEでは10%以下にとどまっている。

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「人を軸とした事業開発会社」としてグループ企業は12社

だが、組織文化の形成で各施策と同等に、あるいはそれ以上に問われるのは採用である。宇佐美氏が「経営で大切なのは入口である。若い経営者にもそう助言している」と述べるように、自社の成長発展に適した人材をいかにして採用できるか。

その手段のひとつにVOYAGEが実施しているのはインターンシップで、1日、1週間、2週間、土日など5つのコースを設け、約300人を受け入れている。IT業界の様子だけでなく、社員の言動や社会の空気感から、自分との相性などを考察してもらう。

VOYAGEは自社をIT企業でなく「人を軸とした事業開発会社」と定義し、現在はグループ12社を設立してる。2015年9月期の通期売上高は、「fluct」の導入媒体数が同9月末現在で7000を超えるなどアドテクノロジー事業の好調を受け、前年比16.5%増の177億3000万円、経常利益は11.7%増の21億8900万円を計上。2016年9月期の業績予想はレンジ形式で売上高185億~205億円(前期比4.3増~15.6%増)、経常利益20億~24億円(同8.6%減~9.6%増)と開示している。

宇佐美氏はM&Aも視野に入れ、ITをベースにした総合商社へと業態を進化させてゆく方針である。

無人島インターンシップの時の写真

インタビュアー

株式会社KSG
細川 和人