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いまの事業では年商100億円が限界企業再生事業で新たな成長に向かう / 熱中の肖像インタビュー後編株式会社メディアフラッグ
代表取締役社長 福井 康夫

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セブン・イレブン商品部出身者を投入して収支改善

和菓子製造販売は企業再生事業として取り組んでいる。この事業は、同社が次の発展段階に進むための、いわば試金石でもある。

同社の通期業績は14年12月期に売上高69億3500万円、経常利益3億円。15年12月期にはそれぞれ80億円、3億6000万円を見込んでいるが、福井氏は「いまの事業では年商100億円が限界だと思う。株主の期待に応えるには次の成長を見込めるシナリオが必要で、企業再生事業に着手した」と意図を述べる。

13年に第一号案件として、和菓子店「十勝甘納豆本舗」「菓心たちばな」を運営する十勝たちばな(埼玉県川口市)を買収した。セブン・イレブン商品部出身者を派遣し、数値管理の徹底、商品の絞り込み、理念の浸透などを通して17年には黒字化させる計画だ。企業再生事業にも流通ノウハウが投入され、同社の強みが活用されている。

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「地方には経営不振に陥っている小売店や飲食店チェーンが多い。十勝たちばなの再生を成功させたら、どんどん手がけていきたい」(福井氏)

「起業するなら若いときのほうがよい」

68年生まれの福井氏は今年46歳になる。同社を設立したのは35歳のときだった。設立以来3期連続赤字で、累積損失は約1億5000万円、借入金は2億円近くに膨らみ、経営幹部が次々に退職していった。この苦境を乗り切れたのは、先発企業と一線を画すMSのヒットや、京セラ創業者・稲盛和夫氏の盛和塾で学んだ「経営理念の大切さ」が大きいというが、もうひとつ、福井氏の年齢にも起因するのではないか。

日本政策金融公庫総合研究所が12年に実施した起業時の年代別調査によると「予想月商の達成率」「黒字基調」とも、34歳以下、35~54歳、55歳以上の順に高かった。起業年齢が若いほうが成功率は高いといえるのだ。福井氏も若いうちに起業することを勧めている。

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「私はけっして若いとはいえない年齢で起業したが、起業するなら若いときのほうがよいと思う。40代で起業して失敗したら挽回するのが大変だが、20代の失敗なら世間も再チャレンジの機会を与えてくれる」

経営者人材としての伸び代も若いほうが大きい。経験を蓄積してゆくうちに、ビジネススキルだけでなく、何より器を拡大できるのである。

インタビュアー

株式会社KSG
眞藤 健一