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世界の外食市場で1000店舗規模の展開目指す / 先達の羅針盤インタビュー後編株式会社ダイニングイノベーション
代表取締役会長 西山 知義

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綜合的な日本食の提供が成功の秘訣

西山知義社長が〝第2創業〟したダイニングイノベーションで新たに力を入れているのが海外展開だ。今年8月に記念すべきグループ100店舗目となったのは、シンガポールにあるしゃぶしゃぶのお店「しゃぶ里」のラッフルズシティー店だった。この時点で100店の内23店が海外の店舗なのだが、西山社長は「しゃぶしゃぶ、焼肉、ラーメンなどの日本食で、将来は1000店舗、2000店舗の規模で海外展開したいと考えています」という。

しゃぶ里は特にインドネシアで好調で、同国での1号店となったパシフィックプレイス店は満席状態が連日続き、毎月平均で約3000万円を売り上げ、コンスタントに高い利益率を維持している。一番人気は日本円で2600円前後の食べ放題コースで、現地の物価水準からすると決して安くはない。しかし、憧れの日本食の1つであるしゃぶしゃぶが「1人1鍋方式」で楽しめるうえに、出汁は「こんぶ出汁」「鶏白湯コラーゲン」など5種類から選択可能で、ソフトドリンクも飲み放題なことなどが受けている。既に同国には5店が出店し、年末までには8店に増えるそうだ。

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「日本食で海外展開を成功させようとしたら、単品で勝負してはいけません。たとえば、アジア各国には現地の麺文化があり、それらと比べると日本のラーメンはどうしても割高になります。しかし、それでもお店に来ていただけるのは、ラーメン以外に唐揚げや天ぷらなどいろいろオーダーできて、日本の食文化が思う存分楽しめるからなのです。それと、その国の一番の繁華街に出店して成功させ、十分に好感度を高めてから多店舗化していくセオリーを厳守することも大切です」

海外展開を考えている外食企業の経営者が大勢いるはず。西山社長の言葉はぜひ頭のなかに叩き込んでおく必要があるだろう。
その西山社長が国内事業に目を転じたときの中期的な目標が、前編で紹介した「すみれ」「Team86」、「カルネヴァーレ」などのグループ企業をさらに育て、IPO(株式上場)させていくこと。ダイニングイノベーションは各社に必要な資金を出資したり貸し付けている。同時に経営指導も行なっており、ファンドだけでなくインキュベータとしての役割を担っている。「18年からIPOを順次実現させていきたいと考えています」と西山社長は話す。

そうした外食マーケットにおける〝起業の達人〟である西山社長に、起業の成功の秘訣を尋ねると、次のように答えてくれた。
「ほとんどの人は、『このコンセプトであれば業態に新しい価値を付加できる』と考えて起業します。そして、1店舗目で手ごたえを感じれば、多店舗化を目指すようになるのです。しかし、そのコンセプトが本当に多店舗化にマッチしているかどうかは分かりません。逆に私は初めから300店なり500店なりの多店舗化を前提に、新しいコンセプトを考え始めます。ですから、スピーディーに多店舗化を進めることができるのです」

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これまで西山社長は、焼肉、焼き鳥、ラーメンなど、目標300店舗ならその展開が十分可能な、既に市場が確立しているところに新しい価値を付加し、自らのポジションを切り拓いてきた。一時流行したものの、すぐに姿を消してしまう単なる流行モノには、決して手を出さない。「どんな業態も、成長期、成熟期、衰退期があります。その衰退期にどの位の水準で下げ止まるのか、市場が確立している分野であれば、ある程度読めるからです」とも西山社長はいう。

西山社長の2015年度の目標は国内外合わせて200店舗体制の確立。急成長するダイニングイノベーションから益々目が離せそうにない。また、そうしていくなかで学ぶべき点が多いことに、改めて気づかされるはずだ。

 

インタビュアー

株式会社KSG
細川 和人