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【コラム】仮想通貨は環境保護に役立つ!?スマートコントラクトでペーパーレスの時代へ

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昨今、その名を聞かないという日はないくらい話題をさらっている仮想通貨。仮想通貨と聞くと、投資を連想する人も多いだろう。もちろんこれも間違いではないが、実は仮想通貨は環境保護にも大いに貢献し得る。
いったいどのようにそれが為されるのか、この記事では、仮想通貨と環境保護の関係性を考察したい。

仮想通貨で紙幣の印刷が不要に

仮想通貨が広がるとキャッシュレス化が進み、キャッシュレス化が進むと紙幣を刷る必要がなくなる。

日本国内だけでみても、財務省の発表によると平成30年の紙幣発行枚数は合計30億枚。
1万円札→12億枚(12兆円)
5千円札→2億3,000万枚(1兆1,500億円)
1千円札→15億7,000万枚(1兆5,700億円)
合計→30億枚(14兆7,200億円)
実にこれだけの紙幣が1年間で刷られている。
ちなみに紙幣の寿命は1万円札が約4~5年、5千円札と1千円札が1~2年程度とのこと。
無論、日本円だけでなく、ドルやユーロといった各通貨で毎年膨大な量の紙幣を発行している。

もし世界中の紙幣を刷る必要がなくなると、当然その材料となる木材を使用しなくてよくなり、結果的に森林伐採の減少に繋がる。
無論、紙幣の占める森林伐採の量は少ないかもしれないが、キャッシュレス化が進むことで年間何万本という木々を守ることに繋がるだろう。

硬貨の製造も膨大なエネルギーを使う

また、お金といえばもちろん紙幣だけでなく、硬貨も毎年膨大に発行されており、製造される段階でたくさんの二酸化炭素を排出している。キャッシュレス化が進めば硬貨を製造する必要もなくなるので、温暖化対策にも繋がる。

日本はキャッシュレス化後進国

ちなみに、主な国々の電子決済率は、
日本→20%以下
中国→60%以上
韓国→90%以上
エストニア→99%以上
(参考:我が国におけるFinTech普及に向けた環境整備に関する調査検討 経過報告

日本は近隣諸国の中国、韓国と比較しても圧倒的に低い数字だ。また、エストニアはロシアに隣接したヨーロッパの国だが、世界で最も紙を使わない国として有名だ。老若男女問わず、なんと2002年から99%電子決済となっている。
余談だが、日本は様々な分野で他国よりも進んでいると思われる場合が多いが、実は多くの分野で遅れをとっているのが現状だと言えよう。

この事実から分かることは、既に2002年からほぼノーキャッシュの国が存在しているということだ。すなわち、ノーキャッシュを実現することは既に可能なのである。エストニアがノーキャッシュにより大変便利で効率的な社会を実現いていることは言うまでもない。

スマートコントラクトは紙でのやりとりを不要に

仮想通貨にはスマートコントラクトという重要な機能がある。スマートコントラクトを搭載した仮想通貨で最も有名なものはEthereumだ。
スマートコントラクトの詳しい説明については割愛するが、この記事ではブロックチェーンを使った自動執行可能な電子契約と表現させていただきたい。
電子契約というからにはもちろん紙を必要とせず、インターネット上で契約を結ぶことになる。このスマートコントラクトを世界中の様々な分野で活用できたら、相当な紙を使わなくてすみ、森林保護に大きく貢献することだろう。

不動産とスマートコントラクト

例として不動産取引を挙げたい。不動産契約には多くの書類を必要とする。特に日本は必要書類が多い国のひとつだ。

例えば、ある中古投資物件を売りたい人と買いたい人がいるとする。まずは売渡承諾書と買付証明書をやり取りし、互いの意思が合うと契約に移り、不動産売買契約書と重要事項説明書を必要とする。
この契約に伴い金融機関とローン契約を結ぶが、ここでも住民票や運転免許証のコピー、所得証明書、確定申告書等様々な書類の提出があり、金融機関への融資申込書も必要になる。
融資の申し込みが通ると金融機関との契約書があり、無事に済んだかと思えば法務局で登記変更をして登記簿謄本をもらい、不動産物件を管理してくれる管理会社との契約書が待っている。
この他にも図面等実に様々な書類が必要で、大量の紙を消費しているのは一目瞭然だ。

スマートコントラクトを使えば、この問題が解決できる。
スマートコントラクトはブロックチェーンにプログラムを書き込めるので、売買の詳細情報を入力することで紙を一切使わずに契約を成立させることが可能というわけだ。

具体的なフローは以下のようなものだ。
1億円の投資用不動産物件の売買があったとして、売主をA、買主をBとする。
「Aは、2018年6月1日に、Aの名義で登記された東京都〇〇区〇〇1-2-3の土地と建物を、Bに1億円で売る。」
「Bは、2018年6月1日に、Aの名義で登記された東京都〇〇区〇〇1-2-3の土地と建物を、Aから1億円で購入する。」
上記のような情報と、紙の契約書に記入する必要事項をブロックチェーンに入力することで、1つの契約を成立させることが可能となる。
※実際にはプログラミング言語で入力

例えばこの物件を金融機関からの融資が決定した後に購入したいという場合は、融資を受ける予定の金融機関をC銀行として、買主Bは個人情報をC銀行に送り、金融機関指定の申込フォームを受け取って必要事項を入力し、C銀行に送り返す。これにより得られるデータを全てスマートコントラクトに書き込み、契約が成立する。
既にID(個人情報)をブロックチェーンで安全に管理代行する業者は存在しており、こうしたサービスに個人情報を登録しておくことで、一連の手続きがより簡単になる。(ちなみにブロックチェーンでID管理を行う企業として有名なものにSelfKeyがある。既に世界屈指の大手金融機関であるスタンダードチャータード銀行などと提携している。)

もっとも、こうした金融機関との申込作業に関しては、ブロックチェーンを使うまでもなく、世界でも先進的な国ではインターネットで済ませることが可能だ。しかし、これをブロックチェーンで行うことで、より安全となり、また人の手を介さなくて済むようになる。
買手は銀行に足を運ぶ必要はなく、銀行も受付での対応をすることがなくなるので、人件費や各種コストの削減に繋がるわけだ。

尚、最終的にスマートコントラクトに入力される内容は以下のようなものだ。

「Bは、2018年7月1日に、C銀行から1億円を借りる。」
「C銀行は、2018年7月1日に、Bに1億円を貸す。」
「BとC銀行の貸借契約は15年間、固定金利、金利2%、元利均等払。」
「Bは、C銀行に、2018年10月5日から、2033年10月5日まで、毎月5日に643,508円ずつ返金する。」
「Bは、C銀行に、2033年10月5日までに金利分を含んだ全額を返金する。」
これが全て、(Ethereum上のスマートコントラクトであれば)仮想通貨Etherを使って自動決済されるため、紙の存在はおろか、人の介在も必要なくなる。

法務局への登記も、ブロックチェーンに不動産登記情報を記載してしまえば、改ざん不可能な登記簿が出来上がり、法務局は山積みの書類に別れを告げ、全てインターネット上で完結することが可能となる。

金融革命に留まらない仮想通貨

スマートコントラクトはこのように金融革命や情報処理革命だけでなく、環境問題の改善にも繋がる。そして、このスマートコントラクトの元になっているのが仮想通貨だ。

ドルやユーロや円のような国境が仮想通貨にはない。全世界の人々が同じ価値観のもとで使用できる。仮想通貨には様々な問題や課題が存在するのも事実だが、急ピッチでその問題を解決しようとする多くの技術者やボランティアが動いている。
仮想通貨という大きな技術革新が、社会全体が抱える問題を解決へと至らせるよう願いたい。

執筆者:鈴木 智晴