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アメリカよりも大きな注目を集めるヨーロッパのSTO:その理由を解説

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現時点で、アメリカのセキュリティトークンオファリング(STO)エコシステムは世界を牽引している。しかし、アメリカと比較してEUにおける規制上の(特に個人投資家にとって)利点が多いのが現状だ。この事は、ヨーロッパでのデジタル証券への投資と取引の可能性がアメリカよりも高まっていることを意味する。

アメリカのSTO環境

アメリカにおいて、セキュリティトークンはプライベートエクイティ商品への民主的なアクセスと二次取引の流動性の向上が注目を集めている。セキュリティトークンをめぐる大きな動きは、これまでのところ、米国を拠点とするプラットフォームと取引所によるものである。

たとえば、大手Overstock.comの子会社であるセキュリティトークン発行プラットフォームであり、二次取引所であるtZEROは、2018年の間、1億3,400万ドルのプライベートセールを実施した。同社は証券発行会社に対して「資本にアクセスし、伝統的に非流動的な投資に対して二次流動性を可能にするための新しいソリューション」を提供することを約束している。また、1
月24日には、トークンの二次取引が現在行われていることを発表した。

2018年、米国の発行プラットフォームによって、セキュリティトークンの発行が広く行われた。たとえば、セキュリティトークン発行プラットフォームHarbourは11月にサウスカロライナ大学の学生寮に対して、2,000万ドルのプライベートエクイティを表す不動産投資信託(REIT)を発表した。

米国のSTOにとっての障害

これまでの米国での主要な取引は全て、認定投資家(認定投資家とは、純資産が最低100万ドル、もしくは年収が20万ドル以上)のみが利用できるものであった。米国におけるSTOの大部分はレギュレーションDの元で行われている。レギュレーションDで行われるSTOは、調達できる金額に上限がない。しかし、すべての人が認定投資家でなければならない場合があるなど、さまざまな制限が存在する。さらに、米国がSTOを牽引しているとはいえ、依然としてセキュリティトークンの取引が事実上ゼロになっている。

従来の証券に代わるものとして人気を集めてきたセキュリティトークンに対する批判の1つは、重大な問題を解決できないこと、そしてそれ故に重要な市場が見つからないことだ。これまでの米国の場合のように、STOが認定投資家のみを対象としている場合、この批判は当然である。認定投資家は、結局のところ、証券を購入するための従来方法ですでに十分な利益を享受しているからだ。
STOに切り替えると、技術的な障壁が高まるとされており、批評家は、「セキュリティトークンの購入者は誰になるのだろうか」と疑問視している。

米国では、レギュレーションCFとして知られる – Jumpstart Our Business Startup(JOBS)法に基づくクラウドファンディング – の免除が存在する。これにより個人投資家は、総オファーが100万ドルを超えない限り、STOに参加することができる。しかし、この免除のもとでの各個人投資家の出資額は、たいていの場合、わずか2000ドルに制限されている。

米国の規制環境は、これまでのところSTOが認定投資家にのみ提供されていることを意味する。しかし、ヨーロッパでは、異なる状況が生まれつつある。

ヨーロッパのSTOは米国よりも大きな可能性を示唆する

EUの新たな目論見書規制の下では、多額の費用がかかり、承認プロセスが困難な目論見書の提出が必要になる。しかし、合計額が100万ユーロ未満の証券の調達には目論見書の提出は必要ない。この規制は米国の規制CFとほぼ同じに見えるかもしれない。しかし、2018年7月に施行されたばかりで現在テスト中の新しい規則の下で、個々のEU加盟国は対価の合計が800万ユーロを超えないオファーは目論見書作成を免除することができる。
会社設立を専門とし、20年近くの経験を持つ企業弁護士のグループ、GateToBalticsによると、このEUの規定は、ヨーロッパの規則を米国の規則と比べて一線を画すものにしている。同グループは「企業がSTOを実施しようと考えおり、調達額の上限が最大800万ユーロであるならば、我々は特定のEU地域に目を向けることを推奨します」と11月29日の記事述べた。

すでによく知られていることだが、EUの加盟国の中には「仮想通貨に友好的な」地域としてポジションを確立しているところもある。エストニアでは、財務監督者が公式ウェブサイトで次のように述べている:「仮想通貨によるオファリングは、企業が資金を調達し、投資家がより幅広い投資にアクセスするための新たな機会を提供できる」。

欧州で最初のSTOは、リヒテンシュタインの金融市場局(FMA)の承認を得て、2018年9月3日にNeon Exchange(NASH)によって開始された。 NASHのブログによると、この承認は「1年間の努力、数社の法律事務所と何十人もの弁護士の共同努力を必要とした」結果であり、分散型仮想通貨取引所が個人投資家から資金を集めることを可能にした。この承認はヨーロッパ市場でのトークン化された証券の発行の先例となった。NASHの承認は、従来のヨーロッパの証券取引所に上場できることを意味している。

2018年11月、フランスとリトアニアに拠点を置くセキュリティトークン発行プラットフォームDesicoは、リトアニアのクラウドファンディング法の下でSTOを立ち上げた。DESIトークンはRevenue Participation Note(RPN)として分類される。つまり、トークンはDesicoの所有権を示すものではないが、Desicoが獲得した収入の割合(この場合は12.5%)を保有する債務証書である。このDesicoの取り組みは、リトアニアにおいてSTOへの個人投資の法的枠組みが存在することを証明している。

STOの発行プラットフォームであるNeufundが12月に340万ユーロの調達をSTOによって成功し、ドイツ国内で初めて一般向けのSTOが成功したと主張している。Neufundのオファリングは、富裕層の個人にのみ利用可能だったが、彼らのSTO発行プラットフォームは、世界の個人投資家が利用できることを目指している。これを達成するために、Neufundはドイツの金融監督当局であるBafinと緊密に協力してきた。

フィンテックのスタートアップのCEO、Zoe Adamoviczは10月、連邦議会に対して、分散型台帳技術のガイダンスを導入するように議会のメンバーに求める提案書を書いた。

「我々は、規制当局側からの前向きな反応に驚きました。手紙を送って数週間後に、私たちは上院議員のハイルマンが議長を務める連邦議会の会議に招待されました。会議中に、彼は、セキュリティトークンを組みこむために既存の法律の改正を提案しました。私はこれが重要な第一歩であると思います、そして私は2019年の会談を楽しみにしています」と彼女は12月の記事で書いている。

彼らのホームページによると、Neufundは現在11社が自社のプラットフォームでSTOを実施することを約束しており、2019年にKYC手続きに合格した個人投資家に合法的にそれらを提供することを考えている。CEOは、Forbesの記事で次のように述べている。「Neufundを通じて行われるオファリングは、世界規模の投資家に対応できます。今後開催されるエクイティトークンオファリングに参加するために認定投資家になる必要はありません。私たちはすでに90カ国以上から3000人以上の投資家を当社のプラットフォームに登録しています。」

成長するSTOのためのヨーロッパのインフラ

セキュリティトークンの二次取引に必要なインフラストラクチャもヨーロッパで順調に整備されてきている。ジブラルタル証券取引所(GSX)の子会社である「ジブラルタルブロックチェーン取引所」(GBX)は、2018年初頭に9秒で売り切れた2400万ドルのトークンセールを調達し、2019年第1四半期にセキュリティトークン取引を開始する予定だ。その場合、セキュリティトークンは、EUが承認した証券取引所によって正式に承認されることになっている。マルタ証券取引所は、Binanceと提携してトークン化された証券の取引プラットフォームを立ち上げる計画もある。またスイスのSIX Swiss Exchangeは、セキュリティトークンの発行、リスティングおよび取引を含み、スイスの金融規制当局のFINMAに準拠し、スイス国立銀行によって承認されるデジタル取引所を開発している。

ヨーロッパではすでに法的な前例が多く生まれている。加えて、二次取引のインフラストラクチャも拡大している。法的な前例と二次取引のインフラストラクチャを組み合わせた友好的な規制環境は、個人投資家も参加可能な、セキュリティトークンの発行および取引がヨーロッパで日常的になる可能性があることを意味している。これにより、有望な新興企業への早期投資へのアクセスを民主化する一方で、そのような新興企業に、より多くの選択肢を提供する可能性がある。

参照元:MARKET REPORTEurope leading in STO offerings thanks to friendly regulation and solid infrastructure
記事執筆
塚田愼一

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