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ブロックチェーンはお金の民主化を進める!FGC共同代表 キングスリー・コバヤシ氏 インタビュー後編

Fintech Global Consultants Co-Founder Kingsley Kobayashi

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KingsleyKobayashi FGC

2015年にはブロックチェーン業界へ参入

貿易、飲食、不動産、医療といった幅広い分野を手掛けるキングスリー氏だが、2015年にはブロックチェーン業界に参入し、Fintech Global Consultants(以下、FGC) を設立した。しかしこの経緯には、同社の共同設立者であり盟友でもあるトニー・エバンス氏との出会いがあった。

トニー・エバンス氏との出会い

記者:キングスリーさんはブロックチェーンビジネスに力を入れておられますが、この新しい分野への挑戦には、15年来のパートナーであるトニーさんの存在が大きいと聞きます。

キングスリー氏:
そうですね、トニーと私で2015年にFGCを設立しました。トニーとの出会いは15年くらい遡ります。彼が初めて日本の地を踏んでから12時間以内に出会っていました(笑)。飲み屋で何人かの友人と飲んでいるときに彼が現れ、すっかり意気投合しましたね。若くて志のある男でした。私も当時は若く、成功を目指して頑張っていたので、同じものを彼に見ました。そうして彼と色々な話をするようになったのです。

記者:トニーさんは金融のプロだと聞きます。キングスリーさんの異なる専門分野と合わさって、一つの大きな力となったのですね。

キングスリー氏:
そうですね。私は人生は全てマリッジ(合体)だと思います。どのように人や物事が組み合わさるか。例えば私がブロックチェーンのカンファレンスに行くと、「何をお探しですか?」と聞かれます。しかし、何を探しているかなんて分からないのです。色々なものを探しているのですが、それらを合体させることが目的です。これが、ブロックチェーン業界の一つの特徴でもあります。ですからまさに、私の貿易の経験、不動産の経験、トニーの金融の経験、これらを合体させて、一つの大きな力となっています。

Kingsley Kobayashi and Tony Evans

右側に写るのが盟友トニー・エバンス氏

ブロックチェーン業界に参入したきっかけは?

キングスリー氏:
トニーと海外出張を繰り返している中で、ブロックチェーンというものを知りました。トニーと私は多くの議論を行い、この技術を研究しました。当時の人々はブロックチェーンや暗号通貨に対して懐疑的でしたが、私たちはインターネットが生まれた時のように、これは人生や社会における次のステップだと確信しました。そうして然るべくタイミングで参入し、Fintech Global Consultantsを設立しました。トニーとはこれまで多くのことを学び合ってきましたから、それらを実行に移すために、共にビジネスを始めたのです。

記者:ブロックチェーンに出会ったときは、「これだ!」という感じでしたか?

キングスリー氏:
Don’t miss the buss(バスを逃すな)という表現があります。つまり、機会を逃すなということですね。インターネットが登場した時、人々は理解を示しませんでした。しかし実際には大きく普及したわけです。スマートフォンがで始めた頃も、日本の携帯電話メーカーでスマートフォンへの参入が遅れた企業は痛手を負いました。これらはとてもシンプルなことで、前に進むか死ぬかです。ですので、時代の流れとなっているものには乗らなければなりません。私が日本に来たときにはポケベルしかありませんでしたが、その後大型の携帯電話が登場し、ガラケーが登場し、現在はスマートフォンとなっています。今のあなたのままでいるのか、それとも前へ進むかです。前に進まなければ、うまくいかないでしょう。

Kingsley Kobayashi FGC

ブロックチェーンは人々に平等な機会を与える

キングスリー氏:
世界を見渡してください。発展途上国では、お金がなくてもスマートフォンはみんな持っています。ですので、スマートフォンで支払いを行うことができます。
例えばカンボジアのとある村から、アフリカにいる商人にスマートフォンでお金を送ることができます。特別な教育や設備は必要ないため、このシステムは急速に拡大しています。
難民を想像してください。彼らはお金を送金するという行為と無縁だと思いますか?いいえ、彼らは故郷に家族がおり、お金を送らなければなりません。しかし彼らは正式には国に存在すらしておらず、銀行口座はおろか、IDも持っていないのです。でも、スマートコントラクトやブロックチェーンがあれば、お金をすぐに送ることができ、こうしたハードルを取り払えます。つまりブロックチェーンは、みんなにとって人生を少し簡単なものにしてくれるのです。

発展途上国で普及するデジタル決済システム

キングスリー氏:
アフリカに目を向けると、貧困な国々では銀行や医療のシステムが整っていません。日本とは比較にもならないですが、でも日本にも遅れている部分があります。例えば、大手銀行が印鑑不要の口座開設に対応したのはここ最近です。これが良いことなのか悪いことなのかは、どう見るかによります。伝統を重んじるか前へ進むか、或いは両方を同時に達成しなければなりません。

※記者注釈:銀行システムが日本ほどは整備されていないアフリカの国々だが、例えばケニアではM-PESAという決済アプリが普及し、日本よりもキャッシュレス化が大きく進んでいる。このように、既存の銀行システムが弱いからこそ、新たなデジタル決済システムが早期に普及するという現象が発展途上国では起こっている。

mpesa

https://techweez.com/2015/04/24/safaricom-issues-statement-on-sms-m-pesa-disruption/

2015年に Fintech Global Consultants を設立

Fintech Global Consultants

キングスリー氏:
FGCはトニーと共に設立した、ブロックチェーン及びフィンテック業界のコンサルティング会社です。現在6,400名以上の顧客がおり、法人顧客は24社以上あります。その範囲は82カ国以上に渡り、東京を本店として韓国、中国、ロンドン、ロサンゼルス等に支社があります。
FGCを設立した大きな目的は、若い個人や起業家によるコミュニティを創ることです。私たちは自らの利益だけではなく、みんなで成功を収めたいと思っています。FGCは未熟なブロックチェーン業界にありながらも、透明性を確保し、あらゆる顧客に対して責任を全うできる企業運営を行っています。

記者:FGCはグローバルなコンサルティング会社なのに、個人やコミュニティを重視するというのは大きな特徴ですね。

キングスリー氏:
そうですね。自分たちだけが儲かっても仕方がないのです。ブロックチェーンは、若い人や力のない人たちにチャンスを与えます。そのチャンスを彼らが掴み、自らの才能で成功を勝ち取ってほしいのです。ですから、FGCは個人やコミュニティを重視し、新しい世代が台頭することによって経済的な成功と、社会に新たな豊かさをもたらそうとしているのです。

私は日本に来るまでに、様々な国を旅してきました。どの文化においても共通していたことは、みんな生き残ることに必死だということです。一方で彼らは、日本に行けば道でお金が拾えると思っています。でもそうではありません。日本人はとてもたくさん働きます。やはり、どれだけ勤勉であるかによって成功は左右されます。よく働かなければ、どこの出身であろうと、貧しくなるでしょう。

人とテクノロジーが共存する社会を

記者:テクノロジーが進化する中、将来の社会はどのようなものになると思われますか?

キングスリー氏:
何事にもプラスとマイナスがあると思います。世界はもっとデジタル化され、なんでもワンタッチでできるようになるでしょう。しかし同時に、とても退屈な世界になるかもしれません。人々は互いに話さなくなり、子どもたちはスマートフォンを離しません。facebookでは1万人の友達がいても、現実世界では友達がいないという現象が起こるでしょう。私が若い頃は、好きな女の子がいたら声をかけて、「こんにちは、お綺麗ですね」と話しかけたものでした。しかし今はTinder(注釈:男女のマッチングアプリ)で女の子に近づきます。これはおかしなことです。人生は全て、人との関わりなのです。一緒に映画を観た友人が隣にいるのに、ソーシャルメディアで感想を語るなんていうのはおかしなことなのです。
テレビを観ていると、貧困や飢餓を伝える映像があります。でもみんなそれを見るだけで、助けには行かないのです。助けることより、自分のYouTubeチャンネルに投稿することの方が忙しいのです。これは人間本来の姿ではありません。人間本来の姿とは、まず先に人を助けることです。
私はみんなに、これまでの人としての生き方や、他人のことを気にかける心、感情といったものを忘れないでほしいと思います。ありのままでいながら、デジタルテクノロジーを使っていけば良いのです。

Kingsley Kobayashi FGC

収益の一部はチャリティに

キングスリー氏は様々な事業を手掛ける中、収益の大部分をチャリティ活動に投じている。日本国内のチャリティのみならず、ナイジェリアで精神障がいを抱える子どもたちの支援活動も行う。その理由はなぜかを聞いた。

記者:事業で得られる収益の一部はチャリティに入れられると聞きました。

キングスリー氏:
チャリティは人生においてとても大きな部分です。持っているから与えるのではなく、与えたいから与えるのです。
私は、何かを得たら、必ず他者に分けられる割合が含まれていると考えます。例えばパンをもらったとして、少しだけ切って隣の人にあげても、飢えることはないですよね。これが真実です。与えるというのは、裕福だから与えるのではなく、与えたいから与えるのです。
お金がない地域の人たちは助け合っています。そこに空腹の者はいないのです。ナイジェリアの私の村へ来てください。人々はなにをしていると思いますか?もし私が米を持っていて、あなたが持っていなかったら、私はあなたに米を分けます。これでみんなOKなのです。
昔アフリカで次のような出来事がありました。宣教師がアフリカに来たとき、20人程の飢えている子どもたちがいました。宣教師はリンゴを10個持ってきて、子どもたちの前方に置きました。そして、「走れ!」と言ったのです。「リンゴを手に入れられない者は、食べることはできない」と。子どもたちは互いを見て、手を握り、一緒に歩き始めました。そしてリンゴをシェアしたのです。宣教師は、「なぜだ?」と聞きました。「仲間が飢えて死んだら、例え空腹を満たせても、何が残るというのですか?」そう子どもは答えました。
一人で満腹になるより、分ける方が良いのです。そうして一緒に生きる、これが共同体です。

記者:とても大事なことですね。

キングスリー氏:
とても大事なことです。全てのものを持っていたら、他人のことを気にかけません。私も最初は何も持っていませんでした。たくさん働いて得たのです。ですから、何も持っていないというのがどういうことかを知っています。私は与えたいのです、私の持っている少しのものから。

記者:そうしたお考えは、若い頃からお持ちだったのですか?

キングスリー氏:
私たちは子どもの頃からこの価値観を持っています。私の故郷にはとても強固な家族システムがあります。とても強いコミュニティのシステムです。両親だけが子どもを見るのではなく、コミュニティ全体で見ます。日本とは違い、ナイジェリアでは、子どもがいけないことをしたら、コミュニティで叱ります。これは重要なことです。異なる大人たちに接する中で、子どもはより多くの能力を育めるのです。

日本も昔はコミュニティがあった

昨今の日本は核家族化が進み、地域で子どもを育てるという姿はあまり見られなくなった。日本人は人の子どもを気にかけなくなってしまったのだろうか?

キングスリー氏:
今の日本はたしかにそうかもしれません。でも昔の日本は違ったと思います。昔の日本は社会が子どもを育てたでしょう。しかし、どんどん国が発展する中で、そういった家族の形からみんなが離れていきます。例えば子どもが地方から東京に移り住んで、故郷の両親と関係が薄れてしまいますが、昔はそうではありませんでした。昔はおじいちゃんやおばあちゃんも家庭にいて、孫たちの面倒を見てくれたのです。どの国も昔はこういうシステムでしたが、現代はそれが忘れられています。ですから、こうしたコミュニティのシステムというのは失くさない方が良いのではないかと私は思います。
先ほどお伝えしたとおり、発展することにはプラスの面とマイナスの面があります。

記者:日本人にももっとチャリティ活動に関わってほしいと思いますか?

キングスリー氏:
チャリティは個人の想いによるものです。与える人は与えるし、与えない人は与えないでしょう。先ほども触れた通り、持っているから与えるのではなく、与えたいから与えるのです。
ナイジェリアでは、日本にホームレスがいると言っても信じてもらえません。でも実際には、いますよね。しかし、田舎にはいません。なぜなら、みんな助け合っているからです。しかし東京では、隣に住んでいる人のことすら分かりません。これが人生ですか?人の繋がりがないのです。困った時に「大丈夫?」と言ってくれる人がいないのです。
これは大きな違いをもたらします。田舎にはそれがあります。私もそれがあるところから来ました。例えば数日友達から連絡がなかったら、こちらから連絡して「元気か?」と聞くのです。これが人生です。誰とも関わらずに生きることなんてできません。問題を誰にも共有せずに生きることなんてできません。

Kingsley Kobayashi FGC

人が人らしく生きれる社会を

記者:キングスリーさんの夢やライフプランはありますか?

キングスリー氏:
私は既に夢を生きれていますが、これからの夢は、子どもたちに安定した社会を遺すことです。宗教は当初、社会の秩序やルールを形作るために機能していましたが、今は全く異なる方向にいってしまいました。大事なのは精神性です。他者を傷つけてしまうことに気づける能力、自分にとって良いことは他人にとっても良いことだと気づける能力、人を見て、その人と会話をすることができる能力。
私が一番嫌いなのは、人の悪いところばかりを見ることです。なぜ逆ではいけないのでしょうか?その人の悪いところを先に考えてしまってはダメなのです。その人が何をやっても、悪いところにばかりに目をやってしまいます。
例えばあるコミュニティで、子どもが人の物を盗んだとしましょう。すると、その子の親だけでなく、おばあちゃんとか近所のおじちゃんとかがたくさん出てきます。そうしてみんなに囲まれたところで、怒るのではなく、その子がこれまでしてきた良いことを言ってあげるのです。逆にその子は泣きますよ。「今までおまえはこれだけ良いことをしたのに、どうして悪いことをしたんだ?」と。みんなで怒るのではなく、「あなたはちゃんとあのときこういうことをしたよ、このときはああいうことをした、どうして今こんなことをしちゃったの?」そう諭すと、その子は自分でも考えるようになります。これはリバースサイコロジー(反心理学)ですね。毎日子どもを怒ると、その子は麻痺してしまい、「どうせまた怒られるからなんでもいいよ」となってしまいます。これだと意味がありません。右の頬を打たれたら、左の頬をも差し出すのです。
これは簡単なことなのですが、多くの人にとって難しいかもしれません。私も昔は頑固で、ここまでくるのに時間がかかりました。でも人は変われるのです。どれだけ資産を持っていても、死んだら何も持って行くことはできません。どういう遺産を遺すかというと、それは、自分が誰かを助けたという遺産です。「ああ、彼は良い人だったね。あのときこうしてくれた。」そういう風に、あなたがいなくなった後もあなたのことを思い出してくれます。これが人生です。裕福かどうかではないのです。

日本で学んだことを故郷の村で伝えたい

記者:ありがとうございます。キングスリーさんはこれからも日本でずっと仕事をしていこうとお考えですか?

キングスリー氏:
いや、いつかナイジェリアに戻りたいと思っています。私は日本で頑張ってきましたが、歳をとったら、日本で学んだことを故郷の人々に伝えたいです。自分が勉強になったことは人に伝えないと意味がありませんからね。
そして是非みんなとまた会いたいです。「あのときああいうことがあったね〜」そんな思い出話に花を咲かせられたら、最高ですね。こういう話ができるのがファミリーだと思います。みんなよくファミリーという言葉を使いますが、ファミリーとは何でしょう。私なんて自分の従業員たちの方が家族より一緒にいる時間が長いです。じゃあ、どっちがファミリーなのか?選ぶことなんてできません。両方がファミリーです。なので、両方を大事にしないといけないのです。

記者:貴重なお考えを教えていただけました。

キングスリー氏:良いおじいちゃんになるかなぁ?(笑)

記者:是非、遊びに行かせてください!

キングスリー氏:子どもたちを連れて来てね!

Kingsley Kobayashi FGC

筆者まとめ

いかがだっただろうか?
ナイジェリアから単身で日本に渡り、一代で大きな成功を収めたキングスリー・コバヤシ氏の考えは、突き進む豪快さと人を思いやる繊細さに満ちていた。異国の地から日本に渡り、様々な経験を経たキングスリー氏の考えは、私たちに何かを気づかせてくれるのではないだろうか。
少し視野を広げ、目の前の人に何ができるかを考えてみたい。そんな思いがよぎる、キングスリー氏へのインタビューだった。

KingsleyKobayashi FGC

インタビュアー
Light Sudo
Dan Lundqvist

前編はこちら >> 人とテクノロジーが共存する時代へ!FGC共同代表 キングスリー・コバヤシ氏