1. TOP>
  2. 社長・代表 取材・インタビュー
  3. 米道利成氏インタビュー /個人がお金の使いみちを選べる最適化社会を目指して:ソーシャルレンディングでESG投資を促進する

米道利成氏インタビュー/個人がお金の使いみちを選べる最適化社会を目指して:ソーシャルレンディングでESG投資を促進する / インタビュー株式会社LBI
代表取締役 米道利成

  • feedy

株式会社LBIは来たるべき最適化社会を見据えて、ブロックチェーン技術やAI技術を用いた金融プラットフォームの構築をしている。現在、同社は「第ニ種金融商品取引業」と「貸金業登録番号」の資格を有しており、役員も金融分野で豊富な経験を持つメンバーで固められている。

「ロボアドバイザーや、プラットフォームまで構築してあり、多くの人に日々使って頂ける総合金融になるというのが最終目標だと思っています」

そう語るのは株式会社LBIの代表取締役である米道 利成 氏である。今回の記事では米道氏に事業内容、経歴、そしてLBI社が目指すビジョンを伺った。

事業概要:現在はソーシャルレンディングに注力

「弊社は第ニ種金融商品取引業と貸金業の資格を持っています。これは金融業としては大きな柱です。匿名組合など金融商品の募集をし、必要なところにお金をお貸しすることを主業としています。今までファンドの募集なども行っていたのですが、これからはソーシャルレンディングに力を入れていきます。現状はソーシャルレンディングが出来る会社が国内にまだ多くない。その中で2つの資格を有しており、財務局とお話させていただいていてソーシャルレンディングに取り組める状態を作っております。あとは、システムのリリースを待つのみです」

経営陣について:金融を熟知するメンバーで構成

「経営メンバーについてご説明します。代表が私、米道 利成です。会長は加曽利 勉さんで、プロミス株式会社(現 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)の創業者の1人です。貸金業の中ではかなりしっかりしている布陣と思います。もうひとり、山口 省藏さんという方を社外取締役でお迎えしています。この方は日銀で長く務められた方で、金融に深い造詣をお持ちの方です。4人目の津村 幸作さんは旧大蔵省(現 財務省)出身です。私も山一證券出身ですので、しっかりと金融のメンバーを固めた陣容で進めています」

ソーシャルレンディング:キーワードは「ESG投資」

同社の主な事業内容として以下の4つである。

  1. ソーシャルレンディング
  2. ファンド考案・組成
  3. 資産運用・資金調達コンサルティング
  4. 貸金業務

今回は4つの中で、最も注力しているというソーシャルレンディングについて詳しくお話を伺った。

ソーシャルレンディングとはお金を借りたい企業と、お金を貸したい個人をマッチングさせるサービスである。個人が1万円程度の少額から貸付をすることができることから注目を集めている。日本よりも海外で発展を見せており、その市場規模はアメリカでは2025年に15兆円を超えるとの予想もでている。国内でも複数の企業がソーシャルレンディングサービスを提供しているが、LBI社はどのような特徴を持つのだろうか。

「すでにシステムができて、BANKNEXTという名前でローンチ予定です。『銀行の次に来るもの』という意味の名前にしました。ソーシャルレンディングは直近で一番注力している分野です。この領域にはすでに複数の企業が参入していますが、弊社は他の企業様と比べて主に2点大きな特徴があります。」

ESG投資と長期のレンディング

「弊社のソーシャルレンディングでは、ESGを意識した投資、貸付を行っていきたいと考えています」

ESGとは「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の頭文字をとったものである。ESG投資は環境・社会・企業統治に配慮している企業を選出して投資を行うものであり、近年欧米の投資家を中心に注目を集めている。

また、ESGを意識することに加えて、従来のソーシャルレンディングの課題の解決を目指している。

「従来のソーシャルレンディングには弱い部分がありました。それは、どうしても期間が短くなってしまう、つまり借りてる人も、貸している人も3ヶ月や6ヶ月というものが圧倒的に多いのです。借りている人は成果を出すのを焦ることになりますし、運用したい人にとっても、3ヶ月ですぐに次の貸し先を考えなくてはいけない。借りる人も貸す人も、安定して運用したいというニーズが多いです」

今までのソーシャルレンディングが長期で貸付できない理由は、ファンドであり契約が発生することにある。同社は長期での貸付を可能にするため、権利の譲渡を可能にしていくと言う。

「ファンドなので、契約になります。契約の場合、途中で中止すると言えません。そこに関して、流動性を付ける形工夫をすることによって、運用する人には1年、2年規模でのレンディングを始めることが可能になります。つまり、途中で匿名組合契約であるとか、自分の権利を他人に譲れれば良いのです。匿名組合は最初から最後まで持ち続けなくてはいけないのですが、譲渡できる体制をとれば貸付期間も長くなります。そうすれば、貸している人も3ヶ月と言わず、長ければ3年の間貸付ができる状態を作れます」

ソーシャルレンディングの権利の譲渡はどのような仕組みで行うのだろうか。

「譲渡の仕方はブロックチェーン技術を使って、より安心で安全に行えるようにし、詐欺にあったり、乗っ取られたりしない形にしていきます。貸付という事業自体はアナログで、昔からあるものですが、そこから少し改善する、未来形になるためにブロックチェーン技術を使ってより安全・安心で譲渡できる形を作っていくことが会社としての使命だと思っています」

「新しい技術を導入しようとしたきっかけは、従来の金融が紙ベースということがあります。なぜ紙から離れられないかと言いますと、偽造の防止や、法的要件が紙ベースなことが挙げられます。それらを乗り越えるためには、書き換えられない技術としてのブロックチェーンは非常に大切になります」

「実は、今の紙ベースでも登記などは要件さえ満たせば書き換えられてしまうので、紙も完全ではない。そのあたりも理解した上で、ブロックチェーン技術は安全な技術だと認識しています。確実に全員で確認し、譲渡していく場所、技術をもちこむことが必要だと思っております」

ソーシャルレンディングの権利を譲渡する際にブロックチェーン技術を用いるとして、気になるのは法規制の面だ。米道氏は法規制にはしっかりと対応していると言う。

「法規制の部分では、ブロックチェーンで取引するものに価値があると現在は問題になります。しかし、譲渡の証拠として取引をします。あくまでもサポートの使い方をするという形になっています。将来的には匿名組合の契約書でも暗号通貨でも一緒になって、そのものが動いてしまうのが一番簡単な仕組みとなると思います。」

「弊社は今後、第一種金融商品取引業の資格を取る手続きを始めています。ただし、ソーシャルレンディングのなかで解決しなくてはいけない課題は、ものを価値あるものとして動かすことよりも、動かせるものであることが大切だと思っています。ソーシャルレンディングの貸付期間を長くすることを第一の目的としつつ、そのなかでブロックチェーン技術を使っていくという考えです。ソーシャルレンディング市場はアメリカなどに続き、日本でもまだまだ伸びると信じていますし。借り主も、貸主も広がっていくのだと思っています。そこで安全で、相手が見えることで貸付先を広げていける土台になっていきたいと思っています」

経歴:山一證券から医療・介護分野へ

山一證券時代:人を大切にするという信念

「もともと私は山一證券で個人営業をしており、様々なところに訪問してお客様と話し、株や社債、投資信託を買って頂くということをしておりました。その後は本社の債権部で国内外の債権も含めてディーラーをやっていました。山一證券では中小企業などの社長さんとお話させていただいて、人の優しさや、人柄をよく見るようになり、勉強になったと思っております。良いお客さんに恵まれないと、金融業というのは成り立たないと実感し、今でも大切にしています。金融業がより未来形になったとしても、そういったベーシックなところは大切にしていかないと金融業は成り立たないと思います」

医療介護領域へ:規制領域のなかで変化を起こす

米道氏は山一證券を退社した後に、医療法人に務めた。そのまま金融機関に勤めることもできたはずだが、なぜ医療分野に携わるようになったのだろうか。

「身内に医療従事者がいたこと、また大学の友人にお医者さんが多かったことから医療に興味がありました。そして、仕事の原点として、規制業種や昔からの業種は工夫できることがもっとあるのでは、と考えていました。同じことをずっとやっているよりも、いろんな縛りがあるなかで少しの工夫することで仕事が伸びる。そこに仕事の面白みがあるのではと思っています。医療が身近だったことに加えて、規制業種に興味があったこと、2つの視点から医療業界に入ろうと考えました」

「医療というとお医者さんが主人公のところなので、医療法人で私に何が出来るのか手探りではじめました。医療法人での期間も非常に勉強になりました。病院の事務方で自分の仕事を見つけるにはなんでも屋になることが重要でした。病院で使っている薬の勉強もしますし、お医者さんの使用する医療材料の勉強もします。銀行さんとの交渉の窓口になり、病院を新築するときには、土地を扱う不動産業務も行うことになります。医療法人に入ったことで、非常に多岐に渡って学びを深め、様々な仕事が出来るようになりました」

医療法人の後に医療のネットワークを作るような会社や医療・介護施設の流動化をする会社にもいました。病院での土台をベースにしながら、やはり医療や介護、福祉の世界のなかで、金融の切り口からできるところを中心に仕事をしています」

そして山一證券時代の金融の知識、医療・介護分野での経験を経て、LBI代表になったと言う。

今後のビジョン

LBI社の目指すプラットフォームは「ブロックチェーン」「債権のデジタル化」「AI」「eKYC(オンライン本人確認)」「電子決済」といった最新テクノロジーを活用していくと言う。

「将来的には金融プラットフォームを目指していきたいと考えています。ソーシャルレンディングで権利を譲渡するというのは、数多くなれば、プラットフォームそのものです。弊社の最終的な目標は安全資産を作るためにブロックチェーン技術を使ったプラットフォーム化だと考えて、開発を進めております」

「債権のデジタル化に加えて、運用に関してはAIを早めに取り込んで、ロボアドバイザーとして、より多くの方に個別にあったパーソナライズされた資産運用を自動的に提案できるようになるのが目標です。資産運用で一人ひとりが資産を蓄えていく時代にお役に立てるのではと思っております」

ロボアドバイザーのメリットはどの様な部分にあるのだろうか。

「やはり個別に対応できるところです。従来は、金利が上がったら債権にしましょう、という一般的なアドバイスしかできませんでした。しかし個別のニーズは個人個人で違うはずです。私が営業マンのときは、アドバイスするには100人程が限界だと感じていました。これから1万、2万というお客様に最低限アドバイスしていくと考えると、ひとりひとりの状況に応じて的確に判断するにはAIを使っていくしかないと考えています」

「次はeKYC、新しい本人確認の技術です。より簡単に個人認証ができるようにしたいと考えています。手軽ではありつつも、確実な本人確認をしていきたいと考えております」

記者も証券口座を開いた時に、身分証のコピーを送る、郵送物をやりとりするなど苦労した経験がある。そこが手軽になれば非常に便利になるだろう。

「郵送物は時間もかかりますし、費用もかかります。今日買いたいのに、2週間後とかでは意味がないのです。どんな投資であれ、スピーディーな方がいい。また、口座登録までに挫折する人が多いというデータもあります。そういう意味では技術でよりスムーズに登録できて、投資までいきつくことができるようにしていきたい。それが窓口としての弊社の役割だと考えています」

より多くの人に運用に関わってほしいという願い

「山一證券の頃からの個人的課題なのですが、より多くの人に運用に関わってほしいという思いがあります。世の中の人の多くは銀行口座を持っていても、証券口座を持っていないことが多く、そこには大きな溝があります。それを考えると、多くの人が証券の世界に参加できる環境を提供しなくてはと思っています。ソーシャルレンディングも同様です。より敷居を低くして、参加しやすくして、様々な選択肢を皆様に提供するのが役割だと思っています」

「最後は電子決済まで行き着きたいと考えています。モバイルに対応して、日々のなかで株を運用できたり、電子マネーが入っていたり、ワンストップのサービスを作るのが最終目標、LBIの目指すものだと考えています。プラットフォームの手前にはブロックチェーン技術を使った安全なやりとりをサポートがあり、窓口が開ければロボアドバイザーというAI技術を用いての運用まで扱います」

公式サイトでは「工業化社会、情報化社会の後に来るものは最適化社会であるといわれています」とあったが、この「最適化社会」とはどのようなものだろうか。

「自分たちが小さいながらも選択することが社会の方向性を導き、ESG投資のように、意味のあるものにお金が回るというのを個人が選べる社会が最適化社会だと思います。今は銀行や一部の少数の人がお金の行き先を決めています。一方で新たに誕生したソーシャルレンディングなどの金融技術は個人にフォーカスしています。個人の意思決定が全体の最適化を決めていくほうが、より安全で、自分の感覚にあった社会がつくれるのではないでしょうか。そのためにも今までと違った、個別の事例が直接見える技術がフィンテックです。フィンテックを最大限活用して、社会の方向性を変えていくというお力添えができればと思っています」

最後に代表取締役の氏は以下のように述べた。

「最適化社会は情報化社会の次に来るものだと思います。今は、受け止めていただけのものを発信するようになってきました。弊害も多いのですけれど、社会をより良くする意味で、自分の意思が世の中に反映できる社会になってきています。その一助になりたいというのが、メッセージでもありますし、会社の目標でもあります」

「その上で、弊社が重視するESG投資はまだ世の中で評価しきれていないのだと思います。どれくらい役に立っているのか。それは大手の投資家さんや投資顧問の中でもまだ定まっていない。それでもなお、弊社は今後の未来のためにESGというキーワードを大切にしていきます。ESG投資というのは自分の将来の社会に対して責任を持つことです。だからこそ、自分たちが働きかけられる一歩目としてのESG投資の入り口になりたいと考えています」