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注目ベンチャー

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ダイヤモンドがブロックチェーンを創る!ラボグロウンダイヤモンドとマイニングを掛け合わせた『ピュアダイヤモンドブロックチェーン』 安部秀之氏を取材! / 注目ベンチャーインタビュー

ピュアダイアモンドラボ 代表 安部秀之

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ピュアダイヤモンドブロックチェーン安部代表

皆さんは、『ラボグロウンダイヤモンド』をご存知だろうか?
ラボ(=研究室)でグロウン(=育つ)ダイヤモンドということで、工場で人工的に製造するダイヤモンドのことだ。
合成ダイヤモンド或いは人工の宝石というのは、もしかすると真新しいものには聞こえないかもしれない。人為的にエンハンスメント(石の質を変える意味での加工)されている宝石は五万とあるし、真珠のように生物が創り出す類は養殖で生産されている。

しかし、ラボグロウンダイヤモンドはこれまでの人工宝石とは一線を画すと言って良いだろう。完全に人工的に作られるダイヤモンドだが、天然のダイヤモンドと全く同じ化学組成を有しており、その生い立ち以外、天然ダイヤモンドと何ら差異はないと言われている。

ラボグローンダイヤは天然ダイヤと差異がない

故に、宝石の世界的な鑑定機関であるGIA(米国宝石学会)からも、ラボグロウンダイヤモンドには鑑定書が与えられる。

ラボグローンダイヤの鑑定書

このラボグロウンダイヤモンド、電気を使って工場で製造されるわけだが、ブロックチェーンを知る人には仮想通貨のあの行為が連想されるかもしれない。そう、マイニングだ。

仮想通貨ではそのネットワークの維持のために、マイニングと呼ばれるサーバー事業が行われている。マイニングを行う者はネットワークに貢献する代わりに報酬として仮想通貨を得られるが(故に、仮想通貨を”掘る”という意味で、マイニング(採掘)と呼ばれている)、マイニングで得られる報酬はあくまで”仮想”のもので、バーチャル空間での行為に過ぎない。
対してラボグロウンダイヤモンドは、工場内に製造マシンを設置して電気と原料を使い、本物のダイヤモンドを製造する。故にこれも、ダイヤモンドを”掘る”ことに掛けて、マイニングと呼んで然るべきだが、当然得られるのは本物のダイヤモンドだ。

この、リアルなマイニングとバーチャルなマイニングを掛け合わせたのが、今回取材した『ピュアダイヤモンドブロックチェーン』というプロジェクトだ(ビジネスモデル特許出願済み)。本記事では、同プロジェクト代表の安部秀之氏にインタビューを敢行し、リアルなマイニングとバーチャルな仮想通貨を掛け合わせブロックチェーンを構築するというその壮大なビジョンに迫った。

安部氏にインタビュー!ダイヤモンドとブロックチェーンはどう繋がるのか!?

記者:本日はお忙しい中ありがとうございます。まず、ピュアダイヤモンドブロックチェーンとはどういうプロジェクトなのか教えていただけますか?

ピュアダイヤモンドブロックチェーン安部代表

安部代表:
「ピュアダイヤモンドブロックチェーンは、ラボグロウンダイヤモンドと呼ばれる合成ダイヤモンドの製造・販売を行い、さらにダイヤモンドの個体情報をブロックチェーンで管理するというものです。厳密には、我々はメイドインジャパンラボグロウンダイヤモンドの製造技術及び設備を有しており、販売面では国内最大手のラボグロウンダイヤモンド販売元であるピュアダイヤモンド社と提携しています。

我々のプロジェクトの特徴は、まずラボグロウンダイヤモンドの優れた生産技術を有しているということです。このプロジェクトは工業用ダイヤモンドの製造メーカーとして数十年という経験に裏付けられており、宝飾用のラボグロウンダイヤモンドとして世界最高品質のものを作れるに至りました。
しかし、いかに優れていても、単にダイヤモンドを作るだけでは市場は開拓できません。我々は、日本で最大手のラボグロウンダイヤモンド商社であるピュアダイヤモンド社と提携し、国内及び海外でラボグロウンダイヤモンドを販売していきます。もちろんラボグロウンダイヤモンドはアメリカを始めとして海外でも製造されていますが、全く需要に追いついておらず、我々が高品質で豊富な量を製造できるので、世界的に引く手数多な状況なのです。」

ラボグロウンダイヤモンドとは?

ラボグロウンダイヤモンド

安部代表が見せてくれたブルーダイヤモンド。こちらは製造マシン内で”育つ”のに1年近い時間がかかったらしく、非売品扱いだそう。

ラボグロウンダイヤモンドとは、単なる合成ダイヤモンドだと思われる方も多いかもしれないが、天然のダイヤモンドと全く同じ組成を持つ合成ダイヤモンドだ。その輝きや美しさは全く引けをとらず、天然のダイヤモンドに比べて以下のような利点がある。

・環境に優しい
・消費されるエネルギーが少ない
・不純物を一切含まない
・安定的な供給が可能

対して、天然ダイヤモンドには以下のような課題が存在する

・環境破壊
→天然のダイヤモンドは採掘量が減少しており、需要に応えるにはさらに自然環境を破壊して採掘が必要
(膨大なエネルギーの消費、土壌や水資源への悪影響等)
・劣悪な労働環境
→天然ダイヤモンドは貧しい途上国で採掘されることが多く、女性や子どもも含めた劣悪な労働環境が問題視されている
・紛争問題
→天然ダイヤモンドにまつわる利権問題で、地元組織や国、企業の争いが絶えない

こうした背景から、欧米を中心にラボグロウンダイヤモンドへの肯定的な意見が広がっており、その市場規模は2020年には現在の100倍を上回ると言われている。
モルガンスタンレーの報告書では、ラボグロウンダイヤモンドが従来の天然ダイヤモンドの市場に食い込むとされており、スワロフスキーデビアスといった世界最大手のダイヤモンド商社もラボグロウンダイヤモンドの取り扱いに着手すると表明した。

ラボグロウンダイヤモンドの市場規模

ラボグロウンダイヤモンドの市場規模と今後の推移

記者:なるほど。ラボグロウンダイヤモンドというのは、天然ダイヤモンドに取って代わるものとして世界的に注目されているのですね。しかし、もしラボでいくらでもダイヤモンドが作れてしまうのなら、希少性という意味でその価値を保ってきたダイヤモンド市場が、将来崩れてしまうのではないでしょうか?

安部代表:
そうはなりません。まず、現在ラボグロウンダイヤモンドは、天然のダイヤモンドに比べ凡そ50%の値段で取引されていますが、これは工場で製造されることにより削減されたコスト分が反映された結果であり、ラボグローンダイヤモンドそのものにはしっかりとダイヤモンドの価値が宿っています。

また、合成ダイヤモンドとは言え、好きなだけ作れるということではないのです。ダイヤモンドは炭素でできていますが、製造マシンの中で炭素の結晶を”育て”ます。良質なものを作るには数週間から一年以上という時間がかかりますし、色がついたダイヤモンドを作るにはさらに高度な技術が必要です。天然のダイヤモンドに引けをとらない美しさを実現するには、時間とコストがかかるのです。

レインボーのダイヤモンドを生み出す

また、色がついたダイヤモンドという意味では、いわゆるファンシーカラーダイヤモンド市場はいつの時代も成長傾向にあります。

カラーダイヤモンドの価格チャート

ファンシーカラーダイヤモンドの価格チャート
Histrical Diamond price 1960 to 2010 source by Ajediam より

私たちはラボでレッドダイヤモンドやブルーダイヤモンド等、色のついた大変希少価値の高いダイヤモンドも製造していきます。しかし最も貴重なのは、レインボーダイヤモンドという、自然界では生成されない虹色のダイヤモンドです。ラボグロウンダイヤモンドは人工的に虹色のダイヤモンドを合成することも可能なので、まだ技術は完成に至ってはおりませんが、近い将来虹色のダイヤモンドを製造し、市場に新たな価値を提供したいと考えています。

ダイヤモンド業界にはブランドというものがあります。我々は製造メーカーとして良質なラボグロウンダイヤモンドを作りますが、市場形成においては、上述のようなカラーダイヤモンド等を活かして、販売会社がラボグロウンダイヤモンドならではの新たなブランドを作っていくでしょう。
我々はその点において、ラボグロウンダイヤモンドそのものも魅力的でありながら、ブロックチェーン技術も活かされると思っています。ブロックチェーン技術については後述しますが、簡単に言うとブロックチェーン技術をラボグロウンダイヤモンドと紐づけることで、情報という新たな価値を組み合わせます。ダイヤモンドをただ持つだけでなく、そのダイヤモンドの誕生日時、誕生地、組成、カット情報、鑑定情報、そして占い等の統計データを紐づけることで、”モノ”としてのダイヤモンドに、”情報”という付加価値がつきます。

ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーンの関係性とは?

安部代表:
では、ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーンの関係性をご説明させていただきます。
私たちは、ブロックチェーンのトレーサビリティ(追跡性)や改竄されないという特徴を活かして、我々が製造するラボグロウンダイヤモンドを全てブロックチェーンに登録していきます。つまり、ラボグロウンダイヤモンドの個体情報が全てブロックチェーンで管理され、購入者は自分のダイヤモンドがいつどこで作られ、どのような特徴を兼ね備えているのかをいつでも確認することができるのです。
これは単に、ダイヤモンドの個体情報が改竄されないようにブロックチェーンを用いる、ということだけではありません。もしあなたのダイヤモンドが、その生まれ育った背景から、個性、価値、化学組成まで全て情報として記録されているとしたらどうでしょう?これまで単に”モノ”だったダイヤモンドに、”情報”という価値が宿ります。各個体の正確な”差”を知ることで、それぞれの秀でた部分が認められ、売買市場にさらなる多様性がもたらされます。
また、もしかするとあなたは大切な人に、その人の誕生日と同じ日に誕生したラボグロウンダイヤモンドをプレゼントしたいと思うかもしれないし、或いはブロックチェーンと統計的なビッグデータを融合させて、ダイヤモンドの誕生した日や化学組成から占いや運気を導き出すこともできます。ダイヤモンドと情報が紐づくことで、ダイヤモンドが本来持つ魅力を大いに活かすことができるのです。

このように、天然ダイヤモンドの美しい輝きに、情報と透明性という要素を付け加えたのがラボグロウンダイヤモンドです。ラボグロウンダイヤモンドは、環境に負荷を与えることなく安定的に製造ができ、出荷前に全てをブロックチェーンに登録することで模造品が流通せず、透明性とトレーサビリティ(追跡性)を保証します。これは、21世紀というデジタル化時代に評価される宝石の在り方だと我々は考えています。

記者:なるほど。このブロックチェーンには、ダイヤモンドという”実態”がアセットになっているのですね?

安部代表:
そうです。このプロジェクトは、仮想通貨ではなく本物のダイヤモンドをマイニングし、そこにブロックチェーンを繋げるというものです。仮想通貨においても、マイニングとは新たな通貨を生み出す行為で、まさに無から有を生み出すことに値します。ラボグロウンダイヤモンドも、これまでそこになかったダイヤモンドを新たに製造するので、無から有を生み出します。ということは、これまでになかった価値がそこに生み出されるので、この新たな価値を我々はネットワークに還元したいと考えています。
つまり、ダイヤモンドが生まれることによってもたらされる価値から少しの利益だけをとり、残りは例えばトランザクションフィーを軽減するためにネットワークに還元したり、より高度なブロックチェーンの開発に充てることを考えています。

記者:単にダイヤモンドを作ってブロックチェーンで管理する、というだけのプロジェクトではなく、さらに大きなビジョンを目指しているのですね?

安部代表:
そうです。将来はダイヤモンドというリアルな価値によって支えられるこのブロックチェーンが、日々の決済等多くの場面で使用されるようになることを目指しています。
我々は単に合成ダイヤモンドを作り出そうとしているのではなく、新しい時代に合った、よりフェアで、民主的で、人間に合った宝石の形を創り出そうとしています。それには、ブロックチェーンが一番適しているのです。ブラックボックス化され、独占市場であったダイヤモンド業界に、透明性と追跡性、そして分散型という新たな形をもたらします。そこで生み出される価値と利益は、より人々のニーズに則したプラットフォームの形成へと還元していきます。

記者:なるほど。とても興味深いです。ダイヤモンドは美しいけれど、そこには多くの問題も内在しているというのは、誰もが感じていることだったと思います。ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーンの組み合わせで、世界にダイヤモンドの新たな在り方を提案できると良いですね。
今後のロードマップを教えていただけますか?

安部代表:
はい、現在は製造設備が十分でないため製造数は限定的ですが、設備の拡張に努めており、来年の春ごろまでにラボグロウンダイヤモンドの市場提供を始めたいと考えています。また、ブロックチェーンについては随時改良を施していきますが、これも来年中にどこにも負けないものを作り上げたいです。

ピュアダイヤモンドブロックチェーン安部代表

合成ダイヤモンドとブロックチェーンという組み合わせは革命をもたらすか?

いかがだっただろうか?
ラボグロウンダイヤモンドという全く新しいダイヤモンドと、ブロックチェーンという新しい価値基盤を組み合わせるというアイディアはとてもおもしろい。無論、ブロックチェーンの肝である”トラストレス”という観点でみれば、ピュアダイヤモンドブロックチェーンが頓挫したらこのブロックチェーンのトラストはなくなってしまうという論点もあるかもしれない。しかしそれはどの仮想通貨プロジェクトでも言えることだし、そもそも何の裏付けも持たずに人々の信用だけで成り立っているビットコインやイーサリアムよりも、ダイヤモンドという実態に下支えされているブロックチェーンの方が信頼できると思う人もいるかもしれない。

尚、ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーン上の情報はどう紐付けられるのかについてだが、各ダイヤモンドには顕微鏡で見ないと見えないくらい小さな数字や記号が刻印されており、これがブロックチェーン上に登録されているとのことだ。

ラボグロウンダイヤモンドとブロックチェーン、全く新しい者同士を掛け合わせたこのプロジェクトにいったいどのような化学反応が起きるのか。意欲的な試みに是非注目したい。

ピュアダイヤモンドラボ社 公式サイト

ピュアダイヤモンドブロックチェーン安部代表

インタビュアー

執筆者

ルンドクヴィスト ダン

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