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クラウドファンディングに関する詐欺にはどのようなものがあるか?

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オンラインのクラウドファンディングプラットフォームを活用した支援は、誰でも気軽に始められる反面、顔が見えない相手とやり取りするからこそ詐欺などのトラブルも発生しやすくなっています。

今回は、クラウドファンディングに関する詐欺にはどのようなものがあるか、事例を交えてながら見ていきたいと思います。

この記事はBatteryからの引用です。

ポンジ・スキーム詐欺(金融型クラウドファンディング)

金融型クラウドファンディングにおける詐欺として、中国最大のP2P金融プラットフォーム「e租宝」が違法な資金集めを行った例があります。この事件はインターネット上で、高い配当を謳い文句として企業が進めるプロジェクトへの融資を募る詐欺で、Searchina社のニュースによると、「e租宝」からのキックバックを目当てに、実際には融資関係のないプロジェクトの名義を利用することを認めた企業も多かったそうです。「e租宝」が集めた金額は700億元(約1兆2866億円)の規模に登り、事実上の被害総額は500億元(約9190億円)以上だと言われています。被害者は中国全土の投資家90万人と見られており、被害額、被害者数ともに中国史上最大の事件となりました。また、詐欺で得られたお金は、「e租宝」の元会長や会長などの個人資産などに悪用されたとのことです。

P2P金融とは、以前にもお伝えした通り、オンライン上のプラットフォームを利用して、お金を貸したい投資家と借りたい中小企業・個人のマッチングを行うことです。Searchina社のニュースによると、e租宝の場合、投資利回り9-15%を謳っているものの、投資対象の事業の95%は偽物だったことが分かっています。

また、被害者数では世界最大規模のポンジ・スキーム詐欺と言われています。ポンジ・スキーム詐欺とは、一言で言えば自転車操業のような詐欺のことです。手口は、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に還元する」などの謳い文句で資金を集めますが、実際には資金運用を行わず、後から参加する別の出資者から新たに集めたお金を以前からの出資者に「配当金」などと偽って渡すことで、まるで資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装う、というものです。

被害総額や投資対象の事業の95%は偽物だったことを見ても、悪質性が非常に高いことがわかりますね。

購入した商品が届かない(購入型クラウドファンディング)

次に、購入型のクラウドファンディングで生じやすい商品関連の詐欺について見ていきましょう。残念なことに、欧米のプラットフォームでは頻発している事件のようです。

具体的な例としては、ZANOという、小型ドローンのプロジェクトは大きな注目を集めました。ZANOは、Wi-Fiでスマートフォンと接続し、写真や動画の撮影も可能な手のひらサイズの小型ドローンで、Kickstarterにいて目標額12万5千ポンドの20倍近い233万ポンド(約4億2500万円)の資金調達に成功しました。しかし、製品の出荷は遅れに遅れ、1万5000台を越えるオーダーに対してようやく出荷した600台程度に対しては、飛行性能や画質も悪く、予定されていた機能も搭載されていないなどの苦情が続出しました。この時点で既にプロジェクトを作成したTorquing Groupは資金不足に陥っており、ZANOの開発で中心的な存在だったIvan Reedman氏の退職後、会社は任意清算を発表したため、投資者側に返金が行われる可能性は極めて低い状態にあります。

本プロジェクトではTorquingの経営陣には高い給料が支払われていたものの、浪費や詐欺といった形跡はみられないとのことで、詐欺に該当するかという点では議論があります。しかし、最初の出荷時には製品のプレオーダーで注文した人に出荷が優先されたことなどから、投資者側からは詐欺同然だという声が上がっています。

※2017/08/30 追記

事業者による詐欺

クラウドファンディングを通じて資金を提供しても、支援者のもとに商品が届かなかったり、届いても使い物にならない商品だったりといった詐欺が時たま起こっており、特に寄付型, 購入型に多いです。クラウドファンディングが国内でも普及した現在、起案者による詐欺には以下のような事例があります。

  1. 復興支援のための資金だと偽り寄付金を騙し取る
  2. リターン商品を支援者に届けない
  3. 用意されていたリターンと違う商品を届ける
  4. 開催予定のないイベントの運営費を調達する

プロジェクトを実行すると期待を与えておきながら、結局プロジェクトを白紙にしたり、支援者と連絡を絶ったりという、いわば”裏切り行為”を行なう事例が時たま存在します。しかし、実際のところ、プロジェクトを実現させるのが想像以上に難しかった・時間がかかったといったケースもあるため、必ずしも詐欺であると言い切ることはできません。そのため、事業者の行動やプロジェクトの進捗状況などを、SNSを通じて随時チェックすることが一番でしょう。

運営会社による詐欺

前回の記事では、金融型クラウドファンディングにおける詐欺として、中国最大のP2P金融プラットフォーム「e租宝」が違法な資金集めを行なった「ポンジ・スキーム詐欺」について説明しました。運営会社が詐欺を行なうというケースは非常に稀であり、先に述べた中国の例はクラウドファンディング業界でも衝撃の事実として捉えられています。

そんな中、極めて稀有な例として考えられるのが、運営サービス会社が支援者から資金を集めたのち、”意図的に経営破綻を行なう”ことで、資金を騙し取るという恐れも考えられます。もちろん、運営会社自体が倒産すると、会社側も苦しい状況に追いやられることは言うまでもありませんが、それと同時に支援者にとっても、お金を出しただけで何の報酬もない形に終わってしまうため、リスクのみが残る悪質な詐欺と言えます。

アイデアによる詐欺

最後に、プロジェクトのアイデアに関する詐欺について説明します。

世界最大のクラウドファンディング『Kickstarter』では、実際に過去に何度かアイデアにまつわるトラブルが起こっており、第三者がすでに実行したプロジェクトや開発した商品を、他の誰かがそのアイデアを盗作してプロジェクトをパクったという事例がいくつか存在しています。

たとえば、イスラエル在住の起業家・Yekutiel Shermanさんが開発した自撮り棒付きスマホケース・STIKBOX (スティックボックス)は、スマホケースの背面に折りたたみ式の自撮り棒を収納したデザインで、商品化に向けて約400万円の資金調達を開始しましたが、わずか1週間後、中国のオンラインショップで類似した商品が900円と低価格で販売していることが発覚。しかし、STIKBOXは目標金額を上回ることができ、激安の類似品と比べ、たしかなクオリティを持っているため、現在も従来通りの価格・品質で販売されています。

まとめ

このように、クラウドファンディングの拡大とともに、商品が届かない、もしくは届いた商品が想定されていたものと大幅に異なるケースが頻発しています。このようなプロジェクトに誤って支援してしまうのを避けるためにも、起案者の情報を確認し、起案者が信用出来るのかを判断することや、実現可能な製品・スケジュールかどうか、などを自身で確認することがより大事なポイントとなってきます。起案者の名前や掲載特許などをインターネット上で検索して、問題なさそうだったら初めて支援を考えるという人もいます。また、プラットフォーム側のプロジェクトの審査の有無もポイントです。ただ、いくら審査を行っても、詐欺が0になることはなさそうですので、最終的には個々人で判断する必要があります。

本日はクラウドファンディングに関連する詐欺を事例とともにまとめました。クラウドファンディングは商品・分配金など魅力的なリターンの一方で詐欺などのリスクが存在するスキームです。個人でクラウドファンディングを行う際には事業を実施する事業者、並びにクラウドファンディングのプラットフォームの情報を確認し、リスクについて学んだ上で開始することを勧めます。