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バッカスの横顔

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「塚田農場」を支える生販直結モデル 次の仕掛けは低単価の焼鳥店チェーン / バッカスの横顔 インタビュー前編

株式会社エー・ピーカンパニー 代表取締役社長 米山久

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金儲けだけではモチベーションに限界
新たな提案を求めて外食業界に進出

エー・ピーカンパニー代表取締役社長の米山久氏が外食業界に参入したのは、意外な動機からだった。

「それまでの事業では、経営者としてモチベーションがつづかなかったのです。物品販売、不動産、海外挙式プロデュースなど複数の事業を展開して、利益も出していましたが、お金儲けだけではモチベーションに限界があります。手がけていた事業はどれも差別化された内容ではなく、世の中に新しい提案ができていませんでした。どれもが自分にとって、一生やっていく事業には思えなかったのです」。

その過程で、不動産事業を通じて取得した居抜き物件でダーツバーを始める。これが飲食業に関わる契機となったが、米山氏の視野に、月並みな飲食店経営はなかった。あくまで革新性を求めたのである。

「農家が直接経営するよう店を打ち出せばおもしろいだろうと。地鶏という高品質な食材をいかにリーズナブルに提供できるか。高品質・中価格を考えたのです。高品質な食材を高価格で一部の富裕層向けに売ることは誰でも考えることですからね。そこで、高品質な食材を一般の方に食べていただくために農場や工場を自社で持てば、どのぐらいコストダウンできるかに関心を持ちました」。

良質な地鶏を提供すれば客単価1000円の差をカバーできる

宮崎県の生産地を訪ねて試算したところ、食材生産を内製化すれば仕入価格を3分の1に削減でき、且つ、取引する生産者にもより多くの支払いができることがわかった。この仕入価格であれば、客単価を一般の居酒屋よりも1000円程度高く設定するだけですむ。1000円の差なら美味しい地鶏を食べたいというニーズはあるだろう。そう見通して、従来は客単価6000~8000円が相場だった地鶏専門店を客単価3800円で展開する計画を固めたのである。

「新しいマーケットの開拓というよりも、大きなマーケットから拾い上げるという視点で始めたのですが、この視点が上手く事業にかみ合ったのだと思います」

2004年、宮崎県産地鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」を使用した1号店「わが家 八王子店」をオープン。2006年には宮崎県日南市に自社養鶏場を建設し、みやざき地頭鶏の生産を開始する。以降、北海道上川郡新得町や鹿児島県霧島市などに自社養鶏場を建設して、それぞれの地域の地鶏生産を開始し、さらに自社漁船による定置網漁業にも参入した。

この取り組みを通じて、同社は、農業や漁業など生産から、物流・加工の流通、外食店舗などでの販売までを自社で一貫して手がける「生販直結モデル」の確立に向かう。

この時期には、デザイナーズレストランとかカジュアルダイニングと呼ばれるスタイリッシュな飲食店が続々とオープンし、外食市場を賑わせていた。同社も新興の成長企業として同列に扱われることもあったが、同じ土俵に立たず、一線を画していた。

米山氏が「お皿の上をどう表現するかというよりも、食材が生産されてお皿に盛られるまでのプロセスに重点を置いたのです」と話すように、いわば商品の実質に徹したのである。

インタビュアー:経済ジャーナリスト 小野 貴史, KSG シニアコーディネーター 関 幸四郎

ライター:小野 貴史

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