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バッカスの横顔

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業態の幅と深さが業界平均を常に上回る既存店売上高を支える / バッカスの横顔 インタビュー前編

株式会社ジェイグループホールディングス 代表取締役社長 新田治郎

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他社に真似されないオンリーワン業態を開発し続ける

飲食店の実力を評価する指標のひとつに既存店売上高昨対比があるが、何人かの上場外食企業経営者から「既存店売上高は自然に下がるもので、これを指標として評価することは適切ではない」と指摘を受けたことがある。この指摘の当否はともかく、注目したいデータがある。

日本フードサービス協会の調査によると、居酒屋業態の既存店売上高は、2016年に入ってから前年同期比90%前後で推移している。この平均値に対して、「芋蔵」「ほっこり」「てしごと家」などを展開するジェイグループホールディングスの場合、既存店売上高は今第2四半期(3~8月)に前年同期比98・2%を記録した。

2016年2月期通期実績は、売上高138億2300万円、経常利益7200万円。コストコントロールと新規出店店舗の改善などで2017年2月期には売上高150億円(8・5%増)、経常利益1億2000万円(65・8%増)を見込む。

何が同社の競争力を裏付けているのだろうか。

社長の新田治郎氏の説明を整理すると、業態開発、多業態展開、社員の人心掌握、おもにこの3つが競争力を培っている。この3つを設立時から実践したことが、創業10年目に東証マザーズに上場できた要因である。

まず業態開発について、新田氏はこう語る。

「外食市場では、流行する業態を開発して多店舗展開をすると、その途中に他社が模倣してきて類似業態が乱立する傾向があります。すると業態が衰退して、既存店の業績は悪化してしまうのです。当社は創業時から他社に真似されないオンリーワン業態を開発し続けてきました」。

業界の非常識400坪の複合型スペインバル

たとえば芋蔵には焼酎セラーを設置して300種類以上の焼酎を揃えているが、この仕入力を真似することは至難である。他社が類似業態を開発したものの、これだけの種類の仕入れを継続できず、撤退を余儀なくされた事例があるという。

2013年に東京・日本橋の日本橋川沿いにオープンさせた和食料理店「豊年萬福」も、オンリーワン業態だ。この店は日本橋地区の再開発プロジェクトに参加させてもらう形で、好立地に店舗を構えることになった。川沿いにテラス席を設け、さらに日本橋の老舗企業と協業し、にんべん(鰹節)、山本海苔店(海苔)、日本橋鮒佐(佃煮)、日本橋神茂(はんぺん・かまぼこ)などから食材を仕入れ、メニューには「にんべんさん」「日本橋鮒佐さん」などと協業先の社名が記入されている。ここまで極めたら、真似のされようがない。

競争力を支える第二のポイントである多業態展開の背景は、単一業態の多店舗展開は業態の短命化によって持続的な成長が難しいと考えたことにある。現在の業態・店舗数は70業態・143店舗。直近では2016年11月に名古屋駅近くにスペインバルとフードコートの複合店舗「La Boca Centro」をオープンした。約400坪の大箱で、開業資金は4億円。新田氏が旅行したバルセロナで体感した「人、食事、文化の自由な発想」を名古屋から発信しようという意図でオープンさせた。

インタビュアー:経済ジャーナリスト 小野 貴史, KSG ヴァイスプレジデント 中塚 進悟

ライター:小野 貴史

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