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注目ベンチャー

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すべての価値基準は「FAフィロソフィー」社長以下全員が問答無用で遵守する / 注目ベンチャーインタビュー インタビュー後編

株式会社フィナンシャル・エージェンシー 代表取締役 齋藤 正秀

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評価と報酬基準を全社員に開示
公明正大な環境で意欲を喚起

これだけ先進的な経営を進めるなかで、従業員数はグループで約1300人に拡大したが、育成にはどう取り組んでいるのか。柱は三つある。

一つ目は、商品知識と販売ルールを習得させる教育システムの整備。教育カリキュラムや教育ツールの専用のシステムを開発運用し、テストや履修状況の管理によって社員ひとり一人の課題も把握している。二つ目は評価方法の開示で、昇格・昇給、降格・降給などの要件を細かく規定している。「たとえば資格を取れば高い提案力によって顧客満足度と成績が上がって給料も上がるというプロセスをガラス張りにすることで、取り組む意欲が湧く環境を用意している」(齋藤氏)。

そして三つ目は思考で、「思考は言葉になる。言葉は行動になる。行動は習慣になる。習慣は性格になる。性格は運命になる」との考えをベースに、同社の役員と社員が遵守すべき思考が「FAフィロソフィー」という名刺サイズの折り畳み式のカードにまとめられており、日々携行し唱和することで徹底を図っている。

FAフィロソフィーは「企業理念」「行動精神」「品質宣言」「スローガン」「サービス信条」「私たちが約束する10のコト」で構成され、これらがすべての価値判断基準になっている。齋藤氏は毅然とした口調で「FAフィロソフィーに書いてあることは、私を含め当社全員にとって問答無用だ。遵守にさいしては議論の余地がない」と言い切る。

FAフィロソフィーは齋藤氏が同社の指針となる経営哲学として作成したが、これだけ強靭な姿勢はどのようにして形成されたのだろうか。

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お客様、取引先、従業員に「NO!」と言われないことにコミットして進化に集中する

齋藤氏は経験豊富なキャリアを築いてきた。アルバイトで入社した当時創業間もない株式会社光通信で社員を凌ぐトップ成績を上げて10名ほどを束ねるリーダーとして社員入社、その後数多くのIT関連の新規事業を成功させて部門長、役員と昇進を重ね、1999年には常務取締役に就任、国内外の事業投資を統括し辣腕をふるった。ところが携帯電話事業おける巨額の赤字計上問題によって株価が急落、数多くの出資先企業が“光モノ”と揶揄されるなど、同社に関するネガティブ報道も氾濫した。

齋藤氏は再建に奔走し、新たに保険代理業を立ち上げた。「銀行や証券業がインターネットにより激変したように、ITを徹底活用することで非効率な保険業界の流通構造を変革することが大きな商機となると確信した」(齋藤氏)。齋藤氏が社長として立ち上げた株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング(2014年にJASDAQ上場)は、2007年には年間売上高200億円、営業利益60億円以上に成長したが、またも保険業界における保険金不払い未払い問題による影響で業績下方修正を余儀なくされ、齋藤氏は経営責任を明確にするとして退任・退職した。

ニュートン社には次の展開用に設立準備していた子会社が10数社あり、齋藤氏はその1社を将来成功したら光通信に恩返しができるようにと一部株式を残す形で買い取って、フィナンシャル・エージェンシーを創業した。「信義を守るため光通信の顧客や社員にいっさい触らず、まったくゼロからで1人でスタートした」(齋藤氏)。オフィスやシステム等も独自に確保した。

このときに声をかけて支援したのがSBIグループ代表の北尾吉孝氏で、創業したばかりの齋藤氏のみの会社を30億で評価し10億超の資金をこれまでに提供してきた。齋藤氏の手腕を見込んだのだが、同時に潔さも評価したのではないか。現在もSBIホールディングスは、フィナンシャル・エージェンシーの3割超の主要株主としてさらなる成長発展に期待し経営支援している。

こうして企業経営の酸いも甘いも経験し尽くした齋藤氏は、堅実性と革新性の相反する二面のバランスを重視している。

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「足元が揺るがないようにお客様、取引先、従業員に『NO!』と言われないことにコミットし、一つでも二つでも他社より創意工夫し選ばれる革新的サービスがあれば必然的に勝てる。私は社員に『会社には良い時悪い時がつきものだが、回復できないような躓きの原因は他社との競争ではなく、クレームや不正など自社に起因する問題だ』と言い聞かせている。また現在は過去の取り組みの結果にすぎず永続力はない。その意味で、今日よりは明日と進化に集中することが環境変化を乗り越え生き残ることを許されるものであると心得て経営に取り組むことが会社を伸ばす秘訣である」。

若い経営者や起業予備軍にとって、このコメントは至言である。

前編はこちら
デジタルソリューションと顧客本位で改正保険業法を追い風に商機拡大へ | 『熱中の肖像』株式会社フィナンシャル・エージェンシー 齋藤正秀代表 前編

インタビュアー:経済ジャーナリスト 小野 貴史, KSG シニアコーディネーター 関 幸四郎

ライター:小野 貴史

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