「当社のメンバーが現場に入って改善すれば、すぐに業績が上がると思います。しかし、それでは3人の手が離れて以降は、業績が元に戻ってしまうかもしれません。業績の向上を持続させるために店長やスタッフを育成が大切ですが、人財はすぐに育つものではありません。一定の時間がかかります。その意味で、クライアントには細く長く関わっていく考えです」
いわば成長体質を築き上げることをサポートの根幹に置いているのだ。「細く長く」の方針に従って、報酬単価は同業のコンサルティング会社の約半分に抑えているという。
同社は設立以降、パチンコホール運営企業に加え、遊技機械メーカーもクライアントに加わった。今後は、渋谷氏が500件以上の店舗物件を精査した経験を投入し、物件仲介やM&Aアドバイザリー、あるいはカプセルホテルなどへの業態展開サポートも計画している。その先に構想しているのがホール経営だが、これは難題ではないのか。
「個人がホール経営に乗り出すことについては、10人中9人が『失敗する』と意見してきます。しかし、私はできない理由を並べるではなく、できる理由を挙げて仕事をしてきました。このスタンスでホール経営も考えていきます」
20年におよぶ業界経験にもとづくホール経営者への助言も聞いておきたい。「私から助言することはおこがましいと思いますが…」と断わったうえで、渋谷氏はこう述べる。
「私が知る限り、2代目や3代目の若手経営者には、先代と比較されるプレッシャーや、業界につきまとうグレーなイメージに悩んでいる方が多い。しかし、許認可事業であるホール経営は、遊技機械の交換ひとつとっても所轄警察署の許可が必要で、きわめて透明性の高い事業です。透明性の高い事業に取り組んでいることに、胸を張っていただきたいと思います」
経済ジャーナリスト
小野 貴史