従来のデータの品質担保手法では、入力時の人為的なミスや、いつもと違うデータの発生傾向を把握することに限界があった。
野村證券と同社は過去のデータの発生傾向や頻度に着目し、共同で実証を行い、富士通研究所が開発した機械学習要素技術と高速化技術を用いて、データを投入するだけで、事前の予習を行うことなくデータの正常パターンと、”いつもと違う”(アノマリ)パターンに分類し、自律的に分析を行えるかどうかを検証した。
野村證券では、この実証結果を踏まえて、これらの技術をベースとしたデータ分析用のAIを導入予定である。
これまで、大量の業務データは人手による全件確認が難しく、通常のシステムチェックでは網羅しきれないケースがあり、野村證券様での実証では、分析用のAIを適用することにより、数千万~数億件規模のレコードから、数十件程度をいつもと違うパターンに分類でき、そのうちの数件は有識者でも気づくことができなかったパターンとして新たに発見することができた。
分析用のAIは、日々の”いつもと違う”パターンを高速に検知できるため、大幅な作業効率化を実現でき、検知した内容の中から新たな気づきを有識者のノウハウとして蓄積することで、継続的にデータ品質および分析精度の向上が見込める。
これまで、システムのテストを行う際のテストケースの作成は、有識者のノウハウに依存せざるを得ませんでしたが、分析用のAIを適用することにより、日々発生している業務データを自律的に学習させ、新たなデータパターンをテストケースに反映することが可能となった。
業務的に必要性の高いデータパターンを網羅的に抽出できると同時に、不要なデータパターンを省いて効率的なテスト検証が可能になったため、テスト品質・生産性の向上に貢献できる。