そう語るのは、短期人材であるアルバイトの紹介をメーンに、給与計算などの雇用管理代行も展開する、人材サービス最大手のフルキャストホールディングスの坂巻一樹社長だ。
情報セキュリティの面で万全を期したうえ、アルバイトのマイナンバーの収集と本人確認、付記や保管、そして廃棄までの一連の業務を代行する。5月20日の東京での開催を皮切りに、既存クライアント向けに関連セミナーを東京と大阪で合計5回開催する予定だが、どの回もほぼ〝満員御礼〟となったそうで、関心の高さを窺い知ることができる。
「1カ月当たり2000社~3000社のクライアントにご紹介しているアルバイトは、クライアントと直接雇用の関係にあることからマイナンバーの対応が求められます。当然、アルバイトの数が多くなればなるほど一連の作業が煩雑になり、新たな管理システムや専任担当者の配置の検討が必要となるケースも出てくるでしょう。しかし、コストのことを考えると難しい面もあるわけです。もともと当社が持っている雇用管理代行のセクションで、マイナンバーの対応も併せて行えば、そうしたお客さまにリーズナブルで質の高いサービスを提供できるようになります」
この坂巻社長の言葉からわかるように、フルキャストHDは年間を通して継続して取り引きのある既存クライアントだけでなく、短期人材サービスの知見を活かして、短期雇用のアルバイトを抱える企業も今回の新サービスのターゲットに捉えているのだ。
将来、預金口座への登録や医療情報での活用も検討されるマイナンバーの情報が漏えいすると、大きな社会問題に発展する可能性が高い。それだけに厳重な管理が求められ、従業員が故意にマイナンバーの情報を外部に漏らした場合、漏らした本人は最高で4年以下の懲役もしくは200万円の罰金が科せられる。しかし、それだけではなく、会社も同じ罰金刑が科せられるのだ。また、外部に委託した場合、委託元の企業は委託先に対する監督責任を負うことになる。
その点においてフルキャストHDは、既に社内にマイナンバー管理のための専用サーバーやシステムを設置し、そこへアクセスする際の2重、3重のセキュリティも確立済み。また、データセンターでの情報保管のバックアップ体制も万全で、クライアントは安心して任せることができる。
さらに、マイナンバー対応で実績のあるITコンサルティングのITbookとの提携を行なっており、「制度対応について検討しているがまだ決まっていないというお客さまは、ITbookによるコンサルティングの支援を受けることができます」(坂巻社長)というから心強い限りだ。
「マイナンバーの収集だけ、付記や帳票の発送の代行も一緒になど、クライアントが必要とするサービス内容はさまざまで、その料金体系について検討を進めている段階です。基本的には、1人のアルバイトについて既存のお客様は月額200円~300円に収めたいと考えています。実際の契約締結は個人番号の配布が始まる10月に入ってからになりますが、スタート当初で最低でも5万人以上のアルバイトで活用していただけるものと期待しております」
食品メーカーにとってクリスマスや正月を控えた年末や季節の変わり目は、〝超繁忙期〟を迎え、1週間、1カ月単位でのアルバイトが大勢必要になる。その採用のみならず、給与計算とともにマイナンバーの対応も安心して任せられるフルキャストHDは強い味方になるはず。そう考えると坂巻社長の「最低でも5万人以上」という控えめな見通しは、いい意味ですぐに書き換えられ、同社にとって収益を支える柱の1本に大きく育っていきそうだ。