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企業のインキュベーション施設とは?メリット・デメリットまとめ

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起業や創業をするために活動する入居者を支援するインキュベーション施設。日本では、1990年代後半頃から数多く設置され、現在200箇所以上の施設が稼働しています。
インキュベーション(英:Incubation)とは、英語で「(卵などが)ふ化する」という意味です。これになぞって、起業家の育成や新しいビジネスを支援するオフィスを、インキュベーション施設と呼んでいます。

インキュベーション施設とは?

インキュベーション施設とは、創業初期段階にある起業者の支援を目的に、事務所スペースを低廉で提供するほか、事業立ち上げにまつわるアドバイスを行う人を配置するなど、創業初期段階に不足している経営ノウハウを補完した、スタートアップを目指す人に向けた施設です。

新規事業を興そうと思った時、初めから十分なインフラが整っているとは限りません。インキュベーション施設は、起業家のための支援付きレンタルオフィスに相当します。地方自治体や大学が運営するインキュベーション施設も少なくないです。

どのような支援が受けられるのか

インキュベーション施設の最大の目的は「事業拡大・事業成功のための支援」を行うことです。

インキュベーション施設に入居した起業者には、新規事業が軌道に乗るよう、入居から卒業(退居)までの期間、事業立ち上げにおけるアドバイスを行う専門家が、経営に関する支援を行ってくれます。専門家は主に「起業家の育成」「事業達成の支援」を目標に、入居者と「課題認識の共有化」「事業進捗度の確認」「課題解決」を進めながら、連携を図っていきます。

入居できる期間・費用について

場所によって異なりますが、インキュベーション施設の利用可能期間は、原則として1年間です。ただし、多くの施設では延長することが可能であり、3年〜5年延長できるところもあり、1年ごとの更新を申請できる施設もたくさんあります。

また、インキュベーション施設の利用費用は、公的機関のものと民間業者のものによって1ヶ月間のレンタル料金が異なります。1平方メートルあたりで換算した場合、公的機関は2,500円〜3,000円ほど、民間事業は10,000円〜15,000円ほどかかるようです。

インキュベーション施設のメリット・デメリット

では、インキュベーション施設のメリット・デメリットとは一体どのようなものがあるのでしょうか。ここでは「家賃が安い」「インキュベーションマネージャーの支援が受けられる」といったメリット、「自由度が少ない」「手続きが面倒」といったデメリットについて見てみましょう。

家賃が安い

一般的なレンタルオフィスよりも、インキュベーション施設の方が低価格で利用することができます。立地や広さによって異なりますが、おおよその1ヶ月の家賃は3万円〜5万円が相場です。

自治体が運営しているインキュベーション施設であれば、家賃が補助されるところが多いです。実際に、東京都中小企業振興公社では、創業支援の取組を拡大し、東京の産業活力の向上を図るために、施設運営のレベルアップ等を行う取組に必要な整備・改修、運営経費 に関する補助を行っています。賃料補助制度が適用されれば、実質賃料負担は50%~70%ほどになることが多いです。

インキュベーションマネージャーの支援が受けられる

1企業につき1人のインキュベーションマネージャーがついてくれます。インキュベーションマネージャーは、起業間もない起業家に対して、経営計画のアドバイスや経営のノウハウ、人やハード面の紹介、その他あらゆる範囲での相談に乗ってくれます。この支援が受けられるというのは、起業して不安な起業家たちにとっては非常に心強いものとなるのではないでしょうか。

自由度が少ない

インキュベーション施設は、基本的にレンタルになるため自由にスペースを使えないということがあります。賃貸オフィスであれば、コストをかければ間仕切りを自由にできるのですが、レンタルオフィスだと間仕切りを変更できず、設備も自由に選ぶことができません。

そのため、もう少し高速な回線がほしいなと思っても、回線は最初から設置されているものを使わざるを得ないため、その辺の自由度はあまり高くないです。また、レンタルオフィスであることから、家具の入れ替えなど、自分好みのオフィスに改装することもできません。

手続きが面倒

一般的なレンタルオフィスと比べて、インキュベーション施設は入居までの手続きが多いです。問い合わせ、事前面接、審査、契約入居など、さまざまなステップを踏まなければなりません。事業計画の提出、家賃の補助申請手続きなどが多いため、書類関係が苦手な人にとっては少し面倒でしょう。

インキュベーション施設の現状

インキュベーション施設は、各地の公的機関や大学によって数多くの施設が設置されていますが、初期の成果を上げられていないところが多くあります。その原因として、インキュベーションマネージャーと起業者との間に、目的・目標とするものの不一致が生じ、両者のモチベーションが異なったまま事業が進んでいくといったケースが多いためです。また、実際に十分な事業支援を行うことが出来ず、ただの「貸しオフィス」となってしまったインキュベーション施設もいくつかあります。

事業者にとってさまざまなメリットがあるインキュベーション施設ですが、事業を進める上での明確なビジョンがなければ、インキュベーション施設を利用している価値はなくなってしまいます。何のためにインキュベーション施設を活用するのか、きちんとした構想を立てた上で、利用してみてください。

Battery(バッテリー)企業のインキュベーション施設とは?メリット・デメリットをまとめました」より転載