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新規事業の戦略立案に役立つ「PLC(製品ライフサイクル)」とは?

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顧客のニーズが多様化している現在のビジネス環境下において、「PLC(製品ライフサイクル)」を把握することの重要性が高まっています。「PLC」という言葉は聞いたことがあるけれど意味は良く分からない、という方々に向けて、今回は「PLC」についてご紹介します。

この記事はBatteryからの引用です。

PLCとは?

人が生まれ、成長し、老いていくのと同じように、製品にも寿命が存在します。人気が何十年も続く製品は稀であり、ほとんどの製品はいつか市場から去る運命にあります。「PLC」とは、製品ライフサイクル理論(Product Life Cycle)の略であり、製品の寿命を、①導入期→②成長期→③成熟期→④衰退期の4つの段階に分けた理論を指します。

その4つの段階の間、製品に対する売り上げは下記のグラフように変化するとされています。

各段階によって特徴が異なっているため、会社が取るべき戦略も異なってきます。

それでは、各段階を詳しく見てみましょう。

導入期

製品が市場に投入されたばかりであるため、製品の認知度・需要量ともに低い段階です。この段階では、製品の認知度を上げることが最優先になります。買い手に製品を使用する光景をイメージしてもらえるよう、見込み客へのサンプリングを行ったり、製品コンセプトや機能、使い方などを買い手に伝えたりすることが必要となります。

成長期

需要が喚起されたことにより売上が伸びる一方で、新規参入業者も増える段階です。ここでは、追随する企業に勝つために、市場におけるシェアの拡大・確立が課題になります。そこで、ブランドイメージを浸透させることや、ターゲットへ告知することが重要です。また、設備や営業力の強化のためにさらなる資金が必要となることもあります。

成熟期

市場成長が落ち着きを見せ、マーケットシェア、競争相手も安定する段階です。売上高が逓減を見せ始める中、製品間で機能の差がほとんどない状態でのシェアの奪い合いとなるため、市場におけるポジショニングの防衛が課題となります。企業またはブランドに対する選好イメージを強化し、ブランド・ロイヤリティを高めることが必要です。

衰退期

市場が縮小し、売上高、利益、競争相手ともに衰退し始める段階です。この段階では、流通業者や消費者にアピールしてもあまり効果が見られないでしょう。経営的には撤退のタイミングを伺う段階でもあり、いつ撤退をするかのタイミングを見極めることが重要となります。

もちろん、このサイクルに一致しない製品(超ロングセラー商品、ブームが再燃した商品など)も多く存在します。しかし、PLCは、マーケティングにおける基本的な理論であり、戦略立案において力を発揮する分析手法です。

PLCの短期化

ここまでPLCの概要を説明してきましたが、なぜPLCを把握することの重要性が高まっているのでしょうか?

その要因として、PLCが以前よりも短期化したことが挙げられます。下記のグラフは、2015年に経済産業省が行った調査結果を示したものです。製品ライフサイクルが10年前と比べどのように変化しているかという質問に対し、多くの企業は「あまり変わらない」と回答していますが、全ての業種において「長くなっている」という回答より、「短くなっている」の回答が多くなっています。

このようにPLCが短期化した状況では、「適切な製品を適切な時期に適切なコストで市場に投入すること」が重要になります。上で述べた通り、PLCは4つのステージに分かれており、それぞれのステージによって取るべき戦略が変わります。PLCを基に会社が取るべき製品戦略や事業戦略が変わるという点では、PLCは重要な意思決定基準であると言えるでしょう。

PLCに沿った製品事例

それでは、PLCを実際の製品に当てはめてみましょう。

Pepper

ソフトバンクのロボット事業である「Pepper」は導入期での販促が成功した事例です。導入期にイベントや、テレビCMを始めとしたPRを積極的に行ったことで、世間一般へと認知を広めることに成功しました。現在は既に300種類以上のアプリケーションが用意されており、アプリストアから手軽にダウンロードすることもできます。今後は成長期に入り、さらに普及することも予想されています。

現在、AIを搭載したロボットが多く開発されていますが、その多くが導入期にあると言えるでしょう。AI搭載ロボットの先駆けとなった「Pepper」ですが、今後どのような道を辿っていくのか、その動向が注目されます。

mixi

SNS「mixi」は『直感的に人との繋がりが理解できるエンターテイメント・コミュニティを目指すサイト』として2004年にリリースされました。当時は国内SNSの先駆けとして注目され、たった3年で会員数が1,000万人に達しました。さらに2010年に招待制を廃止すると、同年4月には登録会員数が2,000万人を突破しました。

しかし2011年以降は、LINE、Twitter、Facebookなどの海外発SNSの台頭に苦しむようになります。2012年にはアクティブユーザーの数をFacebookに抜かれたように、かつて築いたシェアを奪われる姿も目立ち始め、そして、2013年には赤字を計上することとなりました。

サービスをリリースした当初は確固たる地位を築いていた「mixi」ですが、スマートフォンへの対応遅れや競合の台頭により、利用者が離れてしまったようです。導入期・成長期に商品・サービスが好調でも、成熟期・衰退期に対応を誤ってしまうと、短期間で赤字へと転落してしまうことがわかります。

まとめ -PLCを用いた戦略立案

PLCが短期化されたことで、より商品のPLCを把握することが重要となっています。商品計画や事業計画を練る際には、PLCを頭の片隅に置きながら、その商品に適した売り方を考えてみてください。

引用

  1. 製品ライフサイクル理論(PLC)とは|マーケティング用語集|株式会社エスピーアイ
  2. 第2回PLC(プロダクト・ライフサイクル)<経営に役立つフレームワーク>|連載コンテンツ|東京商工会議所
  3. PLC分析とは?
  4. 「プロダクトライフサイクル」とは?理論や戦略、マネジメントから事例までをご紹介|BizHint(ビズヒント)-事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア
  5. なぜ、製品ライフサイクル管理が必要なのか──開発力・ブランド力・収益性の向上を目指して-ITmediaエンタープライズ
  6. 第1部第1章第3節 市場の変化に応じて経営革新を進め始めた製造企業:2016年版ものづくり白書(METI/経済産業省)
  7. mixiの軌跡〜衰退から売上2,000億へ〜|Jobby[ジョビー]
  8. ミクシィ赤字で無配 14年3月期、スマホ対応遅れ :日本経済新聞