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新規事業立ち上げ時の悩み・課題を解決!市場分析フレームワーク「SWOT分析」とは?

  • feedy

新規事業立ち上げの際だけでなく、市場分析、マーケティング戦略の立案時にも使われるSWOT分析。様々なビジネスの場で耳にする方も多いのではないのでしょうか?今回は、戦略を立てる際に役立つSWOT分析についてご紹介します。

この記事はBatteryからの転載です。

SWOT分析とは?

SWOT分析は、1920年代にハーバードビジネススクールで開発されたフレームワークです。内部環境である「強み(Strengths)」・「弱み(Weaknesses)」、外部環境である「機会(Opportunities)」・「脅威(Threats)」の頭文字を取って「SWOT」分析と名付けられました。

経営分析に用いるツールの中でも、現状を客観的に分析することに優れていると言われています。SWOT分析を用いると、自社の現状分析によりビジネス機会を明らかにすることができるので、事業戦略の策定や、マーケティング計画の決定の際に多く使用されます。

表にすると下記のようになります。

プラス要因マイナス要因
内部環境強み
(Strength)
弱み
(Weakness)
外部環境機会
(Opportunity)
脅威
(Threat)

目的

SWOT分析を行う主な目的は、事業戦略の方針を決定したり、マーケティングプランを策定したりすることですが、組織としての目標設定や個々人の目標設定などのためにも行われます。いずれにせよ、今後の行動指針を決定するための手段として有効な分析手法であることはたしかです。

SWOT分析のコツ

それでは、SWOT分析はどのように進められるのでしょうか?手順を確認してみましょう。

外部環境から分析する

SWOT分析を行うことで、市場や業界で競合に勝るために必要な戦略を明らかにすることができます。そのため、市場や業界でどのような変化が起こっているのかに着目して分析を行います。

この際に、ひたすら思いついた項目を並べることは避けるようにしましょう。偏りのある分析となってしまい、客観的な結果を得ることが難しくなってしまいます。

また、自ら仮説を立てることも重要です。SWOT分析では、内部環境から外部環境に至るまで幅広い範囲を分析することになるので、自分なりの仮説を立ててから各項目を洗い出すようにした方が良いでしょう。

内部環境を分析する

内部環境の分析では、外部環境の分析結果を前提として、自社や自社のコンテンツの強み・弱みを洗い出します。具体的には、経営資源である「人」「もの」「金」「情報」や、ケイパビリティ(組織としての能力)などに着目します。

競合企業と比較し、相対的に、また事実に基づいて客観的に自社に関するコンテンツを見てみましょう。

クロスSWOT分析

これまでまとめた結果を掛け合わせて、戦略立案に役立てていきます。これをクロスSWOT分析と呼びます。

①強み×機会…強みを活かして機会を勝ち取るには?

②強み×脅威…強みを活かして脅威を機会に変えるには?

③弱み×機会…弱みを克服しつつ機会を勝ち取るには?

④弱み×脅威…最悪のシナリオを回避するためには?

これらの項目から、会社や事業がとるべき戦略を考えていきますが、クロスSWOT分析において重要視されるのは「①強み×機会」の項目になります。自社の強みを活かしながら市場でのシェア拡大を狙うことが可能になるため、最優先で考えるべき項目と言えるでしょう。

SWOT分析のメリット・デメリット

シンプルさが特徴のSWOT分析ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリット

企業内外を一目で理解できる

内部環境と外部環境に目を向け、さらに同じ表に全てまとめることで、一目で全体の状況を捉えることが可能になります。そのことにより、内部環境に外部環境を織り込んで戦略を考えることができるので、広い視野をもって戦略を立案することが可能になります。

事業への理解が深まる

強み・弱みを考える際に、「どうしてこの項目は強み・弱みなのか?」といった議論が行われることにより、分析対象となった事業への理解を深めることができます。また、対象事業に対する参加者の認識が統一されることも、メリットとして挙げられるでしょう。

デメリット

強みと弱みの分類が偏っている

SWOT分析は、どの企業にも強み・弱みがあることを前提とした分析手法です。しかし、企業が持つある特徴も、戦略によって、強み・弱みのどちらに捉えるべきかが変わってしまいます。さらに、企業が持つ特徴の中には、強み・弱みに分け難い要素もあるでしょう。これらも無理やり強み・弱みに分類することになるので、分析自体に厳密性が担保されているとは言い難いかもしれません。

SWOT分析を活用した事例

最後に、身近な企業にSWOT分析を活用した事例をご紹介します。

マクドナルド

まず、マクドナルドに関してSWOT分析を行います。

強み:世界的知名度を持つブランド、立地の良さ、効率的な店舗経営

弱み:低価格による利幅の縮小、安全性への不安

機会:景気が回復傾向にある、個食化

脅威:他ファーストフード店との競争激化、健康志向

これらの項目を元にクロスSWOT分析を行います。その結果、例えば、強みと機会を掛け合わせると、都心店舗の拡大や、高価格帯商品の開発などが考えられます。また、弱みと脅威を掛け合わせると、食品の安全性に対する信頼の醸成、ブランドイメージの維持などが考えられます。

トヨタ自動車

次に、トヨタ自動車に関してSWOT分析を行います。

強み:強固な系列、ハイブリッド車市場で地位を確立

弱み:ブランド力の低下、大規模なリコール

機会:新興国市場の拡大、環境意識の高まり

脅威:IT企業の参入、人口の減少

クロスSWOT分析を行った結果、例えば、強みと脅威を掛け合わせると、ベンチャー企業への投資による技術力の確保が考えられます。また、弱みと機会を掛け合わせると、商品力の強化が挙げられます。

オリエンタルランド

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドのSWOT分析も見てみます。

強み:入場者数世界最大の東京ディズニーリゾートを運営

弱み:チケット代の度重なる値上げで来場者数が減少

機会:通信販売やディズニーストアなど舞浜以外のストアに収益化の機会がある

脅威:人口減少と少子高齢化により国内市場の縮小が予想される

クロスSWOT分析を行ったところ、例えば、弱みと脅威を掛け合わせると、学生向けに割引チケットを販売したり、日本初のイベントやショーを企画したりと趣向を凝らして来場者数を回復させることが考えられます。

セブン&アイホールディングス

最後に、セブン&アイホールディングスに関してSWOT分析を行います。

強み:業界トップのコンビニエンス・ストアでセブンイレブンを運営

弱み:フードサービス事業の赤字が継続

機会:異業種との共同店舗によるコンビニ出店に注力

脅威:雇用情勢の悪化や所得の減少を受けて、消費者の節約志向が高まっている

クロスSWOT分析を行った結果、コンビニは順調に推移しているものの、フードサービスが赤字となっています。そのため、コンビニ事業は安定を維持しつつ、フードサービス事業により注力する施策が挙げられます。

まとめ -SWOT分析は正しく使いましょう-

SWOT分析は古くから使われているツールではありますが、正しい使い方をすれば、戦略を立てる際に大変役立つツールとなります。

この記事を参考に、SWOT分析を活用してみてはいかがでしょうか?