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MUFG、新型ブロックチェーンを開発

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株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長平野ひらの信行のぶゆき、以下「MUFG」)と、Akamai Technologies, Inc.(最高経営責任者 Tom Leighton、以下「Akamai」)は、「決済処理速度2秒以下、世界最速の取引処理性能毎秒100万件超の取引」を可能とする新型ブロックチェーンを開発した事を発表した。

MUFGのペイメント事業に係る専門性と、Akamaiの全世界に配備された クラウド基盤上で実現される先進的ブロックチェーン技術を融合させることにより、2019年度以降、IoT時代の決済に対応した取引速度と処理容量を備えた、ペイメントネットワーク※1のサービス提供を目指していく。
※1 多様な決済を支えるインフラ

ブロックチェーン技術は、取引の改ざん防止強化とコストを大幅に引き下げる可能性から 近年注目を集めており、これまで世界で多くの金融機関、IT企業により様々な実証実験が試行されてきた。
このような中、Akamaiの高速ネットワーク網と分散コンピューティング技術※2に着目し、MUFGとAkamaiは協働で研究を重ねてきた。その結果、Akamaiのプラットフォーム上における、新型ブロックチェーン技術の採用により、実際のビジネスシーンを想定した環境下で「決済処理速度2秒以下、世界最速の取引処理性能毎秒100万件超の取引」が可能であることを検証した。

この処理性能は、機能拡張により毎秒1,000万件超への展望も可能となる。
※2多数のコンピューターを協調動作させる技術

技術について
ブロックチェーンの取引速度や処理容量(単位時間あたりの取引件数)は、ブロックチェーンを構成するノード※3間の合意形成の速度に依存する。これには主に、「ノード間のネットワーク速度」および「ノード内のブロック生成、検証処理に要する時間」という二つの要素がある。今回MUFGとAkamaiは、以下のシステム構成を採用することにより、取引の 高速化と大容量化を可能とした。
(1)合意形成を担う全ノードをAkamai Intelligent Platform※4上に配置し、ノード間高速通信を実現
(2)ノード内のブロック生成、検証処理を高速・大容量化するための独自プログラム開発

従来、ブロックチェーンを高速化する取り組みは、ブロックチェーンの本質的な構造や特徴の一部を犠牲にすることで追求されてきた※5。今回MUFGとAkamaiが共同開発したブロックチェーンは、本来のメリット※6を保持した上で、取引の高速化と大容量化を実現するものとなる。

※3 情報を中継するコンピューター
※4 インターネット上で130カ国、3,800箇所以上の拠点に配備されたサーバ群によって構成されるクラウド配信基盤。インターネット上の最速ルートで高速通信を行う
※5 例えば、「ノード間の通信速度を高めるため、同一拠点に設置した少数のノードでブロックチェーンを構成する」方法や、「特定2者間の個々の取引を記録せず合算結果のみブロックに記録する」方法。前者はブロックチェーン本来の高可用性(システムが継続して稼動できる能力)が失われ、後者は詳細な取引記録が残るという本来の機能が損なわれる。
※6多くの地点で安定稼動するノードで共有されるブロックチェーン上に、全ての取引を改ざんできない形で記録すること。

実現を目指すネットワークの概要
新たなペイメントネットワークは、ブロックチェーン内での価値移転・加減算管理の機能に加え、多様なペイメントサービスの通信網として活用できるインタフェースを備える。これにより各種ペイメントサービスの取引コストを大幅に引き下げることを可能にし、キャッシュレス社会における大幅な取引件数の拡大に備えることが可能となる。

MUFGとAkamaiは、全世界に展開されたAkamaiの高速・高セキュリティなプラットフォームを通じ、新型ブロックチェーンの高速処理性能や安全な価値移転等の特性を活かし、IoT時代の「使っただけ課金(時間単位課金)」や「マイクロペイメント(少額支払い)」等の新しいペイメント手段や、「シェアリングエコノミー(共有型経済)」等の多様な決済シーンをサポートするためのオープンなプラットフォームの提供を目指していく。