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熱中の肖像

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書類選考通過率が28%に到達 求人・求職マッチングを科学する / 熱中の肖像 インタビュー前編

株式会社アトラエ 代表取締役社長 新居佳英

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キャリアアドバイザーの紹介業務をITで代替してプラットフォーム化

アナログ業務領域にイノベーション機会が多いことはわかり切っているが、突き抜けるにはコアコンピタンスが絶対条件だ。2016年6月に東証マザーズに上場したアトラエは、IT・Web業界に特化した求人メディア「Green」で、人材紹介市場にダイレクトリクルーティングを確立した。通常はキャリアアドバイザーが行なう紹介業務をITで代替し、求職者と求人企業を直接マッチングさせている。

社長の新居佳英氏は「当社は人材紹介企業でなく、転職プラットフォームを運営するIT企業だと思っています」と語る。

2003年に設立されたアトラエがGreenを立ち上げたのは2006年。当初2~3年は低迷したが、求人側・求職側双方のプロフィールデータ、アクションデータ、選考プロセスデータ、活動プロセスデータなどビッグデータの蓄積によって書類選考通過率を向上させた。この実績から知名度が上がって軌道に乗り、利用社数は4000社を超える。

書類選考通過率はマッチング精度の指標である。2011年に10%だった通過率は、2014年に19%、2015年に26%、2016年には28%に達した。Green経由の採用人数も増加を続け、過去3年の実績は2014年620人、2015年997人、2016年1416人を記録した。

アドバイザー不要のシステムで成功報酬は紹介会社の半額以下

キャリアアドバイザーを介せば能力や経験など属人性がマッチング精度を左右するが、Greenはビッグデータの蓄積で優位性を確立した。さらにキャリアアドバイザーを雇用しない分、コスト競争力を発揮できる。報酬体系は初期設定費40~100万円と成功報酬で構成され、成功報酬は勤務地によって30~90万円と開きがあるが、平均70万円である。

「紹介会社もGreenも求人内容はほぼ同じで、20~30代のIT人材を年収500万円前後の条件で仲介しています。この年収に対して、紹介会社の成功報酬は150万円なので、Greenを利用すれば半額以下で済みます」(新居氏)

こうした利点を見て、大手人材紹介会社が次々に同様のサービスを開発して、追随してこないのか。

新居氏は「GreenのようなWEBサービスは始めないだろう」と読んでいる。大手人材紹介会社は、大量の紹介コンサルタントを雇っている。紹介業務をIT化すると、コンサルタントとガニバリゼーション(共食い)を引き起こし、コンサルタントを解雇せざるをえない事態にも陥りかねない。だから侵食される懸念はないという。

2016年9月期年間売上高は前期比56・7%増の13億1200万円。営業利益は採用効果の低かったスマホへの広告投資を見直したことで313・9%増の3億9000万円、営業利益率は18・5ポイント増の29・7%と劇的に向上した。2017年9月期はGreenの拡大を受けて売上高17億6800万円(34・7%増)、営業利益4億9100万円(26・1%増)を見込んでいる。

Greenの優位性を裏付けるのは、ビッグデータを蓄積・解析する技術だけはない。新居氏のマッチングスキルが投入されていることが特徴に挙げられる。「私のノウハウと当社のテクノロジストのノウハウの合体がキモです」という。

インタビュアー:経済ジャーナリスト 小野 貴史

ライター:小野 貴史

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