キャリアアドバイザーを介せば能力や経験など属人性がマッチング精度を左右するが、Greenはビッグデータの蓄積で優位性を確立した。さらにキャリアアドバイザーを雇用しない分、コスト競争力を発揮できる。報酬体系は初期設定費40~100万円と成功報酬で構成され、成功報酬は勤務地によって30~90万円と開きがあるが、平均70万円である。
「紹介会社もGreenも求人内容はほぼ同じで、20~30代のIT人材を年収500万円前後の条件で仲介しています。この年収に対して、紹介会社の成功報酬は150万円なので、Greenを利用すれば半額以下で済みます」(新居氏)
こうした利点を見て、大手人材紹介会社が次々に同様のサービスを開発して、追随してこないのか。
新居氏は「GreenのようなWEBサービスは始めないだろう」と読んでいる。大手人材紹介会社は、大量の紹介コンサルタントを雇っている。紹介業務をIT化すると、コンサルタントとガニバリゼーション(共食い)を引き起こし、コンサルタントを解雇せざるをえない事態にも陥りかねない。だから侵食される懸念はないという。
2016年9月期年間売上高は前期比56・7%増の13億1200万円。営業利益は採用効果の低かったスマホへの広告投資を見直したことで313・9%増の3億9000万円、営業利益率は18・5ポイント増の29・7%と劇的に向上した。2017年9月期はGreenの拡大を受けて売上高17億6800万円(34・7%増)、営業利益4億9100万円(26・1%増)を見込んでいる。
Greenの優位性を裏付けるのは、ビッグデータを蓄積・解析する技術だけはない。新居氏のマッチングスキルが投入されていることが特徴に挙げられる。「私のノウハウと当社のテクノロジストのノウハウの合体がキモです」という。
経済ジャーナリスト
小野 貴史