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熱中の肖像

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IPOをめざすプロセスで社長がMBAを取得して経営力強化 / 熱中の肖像 インタビュー後編

株式会社旅工房 代表取締役会長兼社長 高山泰仁

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3年前から大学教授を招いて希望者全員に月2回のMBA教育

94年の設立以降の足跡を振り返ると、旅工房にとって、転機となる出来事は2つあった。ひとつは、2013年に、設立20周年を機に実施した本社のサンシャイン60への移転である。それまで社業の拡大にともない池袋駅西口で何度か転居してきたが、「池袋のシンボルは何といってもサンシャイン」(高山氏)と小学生時代から抱いてきた憧憬を手中に収めた。

経営幹部には楽天やリクルートなど他業界の出身者も多く、楽天出身者はKPI設計やオンラインビジネス強化で成果を出し、リクルート出身者は組織活性化や人材育成に貢献している。新卒採用でも有為な人材を獲得できるようになったという。

もうひとつの出来事は、15年に高山氏が立教大学大学院ビジネスデザイン研究科を修了し、MBAを取得したことである。

「私は営業力で会社を引っ張ってきましたが、守りに弱かったのです。立教大学でコーポレートガバナンス、ファイナンス、マーケティング、組織マネジメントなどを学んで、私に不足していた知見を補うことができました」

その成果を実感した高山氏は、立教大学の教授を起用して、社員教育をスタートさせた。社歴や役職を問わず希望者全員を対象に、毎月2回、午前8時から9時30分にかけ、ファイナンスやマーケティング、リーダーシップなどを教育するプログラムだ。

法人需要の開拓とインバウンド対応
5つの課題に重点的に取り組む

今期は5つの課題に重点的に取り組む方針だ。第一に、基幹業務システム改善と顧客管理システム導入による業務効率化、オンライン予約システム強化による利便性の向上。第二に、「トラベル・コンシェルジュ」の接客力と対応力の向上など教育の強化と人員の増強。来年度は40名程度の新卒採用を計画している。第三に、単価の高いクルーズツアーとニーズが上昇中のヨーロッパ小規模都市の商品化や、国内旅行商品の開発。第四に、法人顧客の開拓とベトナム現地法人を拠点としたインバウンド客の取り込み。第五に、ベトナムから第三国への旅行需要の吸収などアジア市場の開拓である。

18年3月期の業績見通しは、売上高240億5600万円(前期比6・8%増)、経常利益3億2300万円(7・7%増)。テロが頻発する国際情勢は不測の事態の連続で、旅行需要にも直結する。高山氏は「経営者として、世界がどう動くのかをキャッチして、意思決定ができるスキルを強化しなければならないと思っています。私の能力を高めることが当社にとって一番の課題でしょう」と強調する。

たしかに企業は社長の器以上に発展しないが、IPOを果たした創業社長で、こうも率直に語る例は珍しい。たぶん、IPOをめざす渦中で大学院に通った高山氏の背中は、社員に点火して、ハイブリッド戦略の推進力になったのではないか。旅工房は、マサチューセッツ工科大学教授のピーター・センゲが提供した「学習する組織」に向かっているようだ。

インタビュアー

経済ジャーナリスト

小野 貴史

株式会社トラフィックラボ

代表取締役社長

清水 彰人

前編はこちら >> 店舗型とオンライン型の利点を導入した「ハイブリッド戦略」が持続的成長を導く

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