工場のプラントや生産ラインで高稼働率かつ安定的な生産を維持するためには、設備機器の故障兆候を早期に発見し、保全(メンテナンス) を行う 「設備診断技術」 を導入することが効果的であると言われている。具体的には、振動のデータを取得し、その波形(パターン)を認識する技術(SVM)や、特徴抽出手法(ランダムフォレスト)によってよくある故障の原因を明らかにするためにAI(人工知能)を活用することに期待がかかっている。しかし、振動による異常診断、特に1KHzの高周波数帯の振動は目に見えないため、一部の熟練の技術者にしかできないことや、技術習得のために数年の歳月をかける必要があるため、技術継承の難しさと、効率的な事業継承を実現する仕組みが急務となっている。そこで同社では、「振動データ」による異常判定(ベアリングに傷、歯車の傷、ミスアライメント等)をいち早く顧客に提供してきた実績があり、また、今回九州大学大学院との共同研究によって新たに「電流データ」の研究をすることで、「振動データ」からは現れにくい異常を電流値から判断する手法を創出する。電流値はすでに大抵の設備では取得されている手元にあるデータであるため、電流値からの異常判定が可能になれば、新規のデバイスの追加なしに当社のSkyAI(スカイエーアイ)で解析するだけで、異常診断ができるようになる。この産学連携により、ビジネスの現場ですでに導入しているノウハウと大学院研究室での知見を融合させ、より簡単に、精度の高い異常判定モデルを作成し、産業現場への寄与を目指す。今回の共同研究では、工場内の設備保全を実現するために、「振動データ」をAI(人工知能)によって解析、学習モデルを作成する。モータにより動作する軸受にセンサデバイスを取り付け、各種異常状態(※)を発生させることができる「軸受異常発生装置」から集めたデータを元に、機械学習の異常判定モデルを作成する。作成したモデルにより、正常・異常の判定及び異常箇所の推定を行う。※軸受のギア・ベアリング・ミスアライメントの各部分に異常がある状態を作り出すことができます同社は、軸受異常発生装置の調達及び装置の振動データ・電流値のデータのセンシングを行い、九州大学大学院は、軸受のデータを元に異常判定モデルを作成する。