世界市場がスピードを上げて変革する中、企業は競争力を高めるために、事業の選択と集中、そして海外展開を進めており、知的財産戦略も高度化・グローバル化している。国際的な出願動向についても、2016年に特許庁が受理した国際出願件数は約45,000件、2015年に世界全体で出願された特許出願件数は約290万件にのぼり、いずれも過去最高を記録した。そのような状況の中、企業の研究・開発部門では、開発競争力の向上とスピーディな製品開発が求められている。その中でも特に特許調査業務は、量的・時間的にも大きな負担のかかる業務となっており、作業の効率化や負担軽減が大きな課題となっている。一方で、人工知能を使ったサービスが様々な分野で導入されるようになり、特許調査業務にも利用可能な環境が整ってきた。同社では、人工知能技術を使い、研究・開発者や知財担当者の負担の大きな遡及調査や日常継続調査における関連特許の抽出とスクリーニング作業の負担軽減、加えて調査後の再検証による調査精度の向上を図ることを目的として、R&D知財AIシステム「Deskbee(デスクビー)」を開発した。「Deskbee」は、人手によるこれまでの評価済みの特許と未評価の特許データをExcelで取り込み、ディーブラーニングによる機械学習で人手評価特許に対する未評価特許の類似性評価を行う。これを使えば、特許調査の事前処理や調査後に重要特許の見落としがないかどうかの事後検証など、特許調査効率の向上と負担軽減に加え、特許調査の精度アップも実現する。また、同社が開発し、大手企業を中心に導入が進んでいるR&D知財グループウェア「THE調査力」とデータ連携しており、さらに、一般財団法人日本特許情報機構が提供している日訳特許データに優れた世界特許情報全文検索サービス「Japio-GPG/FX」とも組み合わせて利用することができ、研究・開発や知財部門における国内および世界特許調査の大幅な効率アップが可能となる。