今回のイベントは「マネー」に焦点を当て、仮想通貨だけでなく、投資、決済方法など様々な取り組みを学べる機会となった。特に「マネー」に関わる有識者の方々のご講演は非常に興味深いものであった。
今回記者は開催された講演会のうち、「投資家本音トーク 『仮想通貨、正直どう考える?』」と「マネーの未来、ビジネスの未来」という2つの講演会に注目してレポートを届けたいと思う。
ココスタ 代表取締役 佐々木 徹
こころトレード研究所 坂本 慎太郎(Bコミ)
BlockTower Capital アジア代表 スティーブ・リー 他
モデレーター:日経CNBCアンカー 岡村 友哉
冒頭、佐々木氏から仮想通貨のこれまでの流れについて解説が行われた。
佐々木氏:
CME へのビットコイン上場がキーポイントであり、ビットコイン価格の天井だった。
その後もビットコインは一万ドルを維持していたが、2018年1月26日コインチェックNEM盗難事件を機に、下回るようになる。
2018年2月7日、CFTC公聴会でジャンカルロ氏は仮想通貨について、「過大な規制は良くない。見守りたい。」と語った。また氏は講演会の中で、自身の息子についてこう言及した。「若い人は株とか債権は興味ない」「息子にお金を与えたところ、買いたいと言ったのはビットコインだった」
このことからも若い人の間で仮想通貨がまだまだ注目を浴びていくであろうことがうかがえる。
続いて、アメリカ在住のスティーブ・リー氏に質問が投げかけられた。
Q.日本で仮想通貨のバブルは去ったと言われているが、アメリカではどうか
リー氏:
トレンドについてはイーサリアムのような、インフラストラクチャーに投資するのが流れだった。それに基づいてリテールの方々も付いてきた。ICOで資金調達をして、いざ使う段階になったら、まだ誰も使っていない。実用が進んでいない。そこから不安が生じて、マーケットの冷え込みに繋がった。
現在はインフラでもプログラムでもアプリでも、使えるものを作ろう、と言う流れができている。使えなければ投資しないのが投資家のスタイルとなっている。この流れの理由としては、
①テクノロジー:去年までビットコインはトランザクションが遅かったが、今はどんどん増えてる。
②UI:アプリを綺麗に、かわいく、使いやすくする人、が最近入ってきている。
③ユーザー:現在200万人ほどの人が仮想通貨を使っている。トレーディングから、実用の時期に入ってきている。
以上の3点があげられる。
Q.世の中の機関投資家はいつ入ってくるか
リー氏:
最近、イェール大学がクリプトのアセットに学校年金に投資した。イェールが入れば、他の大学、そして機関投資家が入ってくる流れが歴史的に存在する。ヘッジファンドに最初に投資したのもイェール大学。機関投資家が入るのは時間の問題だと言われている。
Q.今後仮想通貨はどのようになるか
佐々木氏:
値段の上がり下がりは分からないけれど、他人のいうことをあまり信じすぎてはいけない。暗号通貨の凄いところは、誰かの発信で値段が動いてしまうところにある。そのためツイッターなどでインフルエンサーの影響を受けやすい。発信者が値段を動かそうとしている場合もあるので注意が必要である。
リー氏:
日本ではツイッターでの情報が信用される。これは、アジアの特徴で、アメリカではちゃんと個人がリサーチする。仮想通貨は株に投資、よりもスタートアップに投資するという意味合いが近い。投資するなら「人」に注目して投資する姿勢を持って臨みたい。
坂本氏:
日本人はランキング好き。江戸時代から番付などが人気で、自分で調べるより口コミを信頼する国民性が存在している。本質と中身を自分で調べて投資してほしい。
Q.来年の展望について
リー氏:
2つポイントがある。
1 .仮想通貨はどこに使うのか
仮想通貨は産業全部に使える。アマゾンやアップルが大量の現金をスイスに置いてるように、ビットコインはみんなのポケットの中のスイス銀行と考えれば良い。これはすごく画期的なことである。
2 .ブロックチェーンとは何か
昔は信用はフェイストゥフェイスだった。現在はフェイスブックなど大手企業がが情報を独り占めしている。しかし、次はブロックチェーンの時代。人と人の信頼関係を作る新しいやり方で、仮想通貨の将来は明るいと考えている。
C Channel 代表:森川 亮
ビットポイントジャパン代表:小田 玄紀
One Tap BUY 代表取締役社長CEO:林 和人
進行:日経CNBCキャスター:瀧口 友里奈
Q. 3年間でマネーの世界はどのように変わってきたか
林氏:
基礎は変わっていない。ペイメント手段などが応用されているだけ。しかし、その応用がお金を稼ぐ手段になってくる。
Q.どのような法制度は国に何を求めるか
小田氏:ICOは禁止されているが、今後方向性が決まるのではないかなと思っている。
林氏:
おそらく新しい制度、事例を作り促進していくだろう。仮想通貨は今後、法定通貨をサポートする存在になりうる。仮想通貨が利用された事例がたくさんでてくると、政府も動き出していくはずだ。あとはアイデア次第になるでしょう。
Q.仮想通貨が法定通貨をサポートする形とは
林氏:
法定通貨を駆逐する仮想通貨は考えられない。法定通貨と仮想通貨がいろんな形でシナジー、共存共生していくことになるだろう。
Q:日本はお金に対する教育が少ないと言われているがどうか
林氏:
今後はアイデアが具現化されていくので、教育というより、現場で学ぶ方が知識はついていく。マクロ経済学の基礎と日本の決済制度を紐解くと答えが見えてくるので、難しいことではない。
小田氏:
国によって、そして時間の経過によって価値観はどんどん変わっていく。今後はいろんな国に展開するのは、いろんな国で使えるからこそ価値がある。BitPointは今後の利便性のために国際的に展開する。
Q.まとめ
森川氏:
日本は歴史上安定してきた国なので、変化より守る方が好きだ。しかし、これからは変化しないと生き残れない時代になっていく。現在は変わらない方がリスクだ。これからは一歩踏み出す方が、リスクヘッジになってくる。いま日本が持っているものを、その次に進める必要があるだろう。
小田氏:
まずはやってみること。ビットコインは六十円くらいから投資できるので、実際にやってみることがいちばんの勉強法になる。
林氏:
基礎を勉強すれば、難しいことはあまりない。基礎と応用は英語にすると、「foundation」と「application」。一般的に皆さんは「application」ばかりに注目している。しかし、基礎を理解すれば結局のところ「人間がなにやりたいか」にまとまっていく。勝負所は何回も訪れので、焦らずにじっくり構えて、勝負をかけて基礎を学ぶ。タイミングを待ちつつ、基礎を深めていくことが大切になっていくだろう。
いかがだっただろうか。ビットコインキャッシュの分裂後に市場は冷え込んできたかのように見える。しかし、使いやすい技術というのは様々な時期を経て広がっていくものだ。そのような展望を期待できるような本イベントであった。今後の仮想通貨・ブロックチェーン業界の動向を見守りたい。
インタビュー・執筆
塚田愼一
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