【コラム】ブロックチェーン技術は金融包摂をもたらすのだろうか？

仮想通貨はブロックチェーン技術を使用した唯一の解決策ではない。

多くの人は仮想通貨のもたらすメリットとして、プライバシー、金融の自主性、不平等の解決などを考えている。

2017年のICO（Initial Coin Offering）流行後の弱気市場を受けて、我々は色眼鏡を通してブロックチェーン技術とそのメリットを検討することはなくなった。

ブロックチェーン技術は、私たちが考えていたような、すべてを網羅するソリューションではない。その上で、金融包摂は、ブロックチェーン技術によってもたらされる実現可能なメリットと言える。（金融包摂とは今まで金融サービスにアクセスできなかった人々が、より容易にアクセスできるように手頃なコストで提供していくもの）

世界で最も富裕な1％が世界の富の45％を所有しているため、世界的な不平等は引き続き問題となっている。

この記事では、ブロックチェーン技術が不平等の問題、テクノロジーの将来の可能性、およびその限界をどのように解決するかを見ていく。

ビットコイン-最高の仮想通貨ソリューション？

政府が管理する法定通貨の問題に取り組むための解決策としてビットコインは多く言及されている。

ブロックチェーン技術を実装することにより、中央機関が供給を増やす通貨はなくなっていくだろう。

中央機関ではなく複数のノードで保護されているため、インフレーション、マネーロンダリングなどの既存の問題は、ブロックチェーン技術で潜在的に解決することが可能だ。 マネーサプライの変化は、ネットワークの少なくとも51％が同意した場合にのみ行うことができる。

分散ネットワークによって制御されるビットコインなどの通貨の価値は、ベネズエラなどの国で最も明瞭に現れている。

ベネズエラの多くの市民は、闇市場で使用するため、もしくはお金の保管手段としてのビットコインに注目している。 ビットコインは現在、ハイパーインフレのベネズエラ通貨に対するリスクヘッジとして使用されている。

ある意味では、財政的に苦しむ貧しい人々に利益を与えることになる。さらに、小規模企業が海外からの需要に対応し、米ドルの代わりにビットコインで取引する機会が生まれる。

送金会社に多額の取引手数料を支払うのではなく、送金としてビットコインを使用することは、貧しい人々のためにメリットとなる。

ただし、ビットコインは価格の変動が激しい為に、法定通貨の代替手段としての信頼性は低くなっている。

ハイパーインフレを経験している国ではビットコインが素晴らしい代替策として見られているが、この新しい資産は、価格変動が激しいため、金融包摂の解決策としての見込みは低い。

では、ブロックチェーン技術を使って金銭を含めたメリットを享受する方法はあるのだろうか？

エスクローのためのスマートコントラクト

分散型通貨に加えて、ブロックチェーンテクノロジーは、二者間のトランザクションでのエスクローに使用できるスマートコントラクトを提供することができる。

二者間の取引を仲介するするために第三者はもはや必要ない。もはや人間ではなくテクノロジーの方が信頼されているのだ。

これは発展途上国の小企業にとって大きな意味がある。 前述のように、現在の国境を越えた送金の方法では、膨大な取引コストがかかっている。

さらに、発展途上国の小企業が国境を越えた取引を行うためには、銀行が要求する信用格付けが不足してしまっている場合がある。

しかし、スマートコントラクトにより、発展途上国の小企業は、海外の企業とのビジネス取引に取り組むことが容易に可能になる。

スマートコントラクトプラットフォーム

Shake Hands Contractは、スマートコントラクトを使用して、このようなサービスを発展途上国の小企業に提供している。

例えば、日本の商社が日本の商品をアフリカの会社に販売したいと考えている。 ただし、さまざまな理由により、アフリカの企業は銀行の信用格付けを満たすことができないとする。アフリカの会社は日本の会社に支払いができないので、取引は無に帰してしまう。

Shake Hands Contractは、このような取引を容易に行うシステムを提供する。

最初に、アフリカの会社は、Shake Hands Contractによって提供されるスマートコントラクトに資金を預ける。この資金は、アフリカの会社が商品を受け取るまでスマートコントラクトで保持され、支払いはまだ行われない。商品の受け渡しが発生すると、資金はスマートコントラクトを通して、日本企業に自動的に送金されることになる。

ご覧頂いたとおり、ブロックチェーンとスマートコントラクトにより、銀行や人間の介入なしでトランザクションを実行することができる。どの企業も、信頼性に関係なく国際的なビジネスを行うことが可能になる。

完全な分散化-最後のステップ

もう一つの取引の方法は、企業がウォレットから取引することである。そのようなウォレットの1つは、安全な資金転送と暗号化されたメッセージのやり取りを容易にするRubixウォレットである。

完全な自律性を認める一方で、企業は秘密鍵や公開鍵などの技術用語を習得するために別のステップを踏む必要が存在する。

また、このウォレットは、取引の仲介者が必要でなくなった後の、次のステップである。

結論

最終的には、現在の市場の知識と、このテクノロジーによってもたらされる理想的な金融包摂の状態とのバランスをとる必要がある。

企業は、ブロックチェーン技術に精通して、より多くの機会をどのように開くかを知る必要がある。 発展途上国のユーザーは、利益を上げる機会より先を見越して、国境を越えた取引コストの削減など、他のメリットを検討する必要がある。

これには、地方自治体からコミュニティの企業やブロックチェーン支持者まで多大な努力が必要となってくるだろう。

原文：Does Blockchain Technology Bring Financial Inclusion?