背景歯髄細胞は、歯の神経である歯髄に含まれる幹細胞の一種で、乳歯や親知らずなど抜去歯から得られる医療廃棄物である。親知らずは18歳前後に萌出し抜かれることが多く、乳歯は20本全てが抜け替わる。身体に大きな負担がないことと非常に高い増殖能力をもつことから幹細胞を必要とする再生医療において、近年大きな注目を集めている。脊髄損傷や加齢黄斑変性症、パーキンソン病など最新の再生医療に使われるiPS細胞の誘導にも使うことが可能。岐阜大学では、2016年2月に「しずい細胞プロジェクト」を立ち上げ、日本人の歯髄細胞収集、ハンガリーと協力した世界規模の歯髄細胞収集、京都大学iPS細胞研究所と連携した日本人のiPS細胞ストックの充実、再生医療に携わる人材の育成を目的に活動を続けてきた。今後、同プロジェクトを母体とした大学発ベンチャー企業「株式会社しずい細胞研究所」設立も予定しており、歯髄細胞の培養技術や検査技術を通じて、歯髄細胞取扱のサポートを担っていく予定。目的データの改ざんを防ぎ、耐障害性と可用性に優れ、取引の自動化・透明化を実現するブロックチェーンの特性を活かし、歯髄細胞に紐づく個人情報を保護しつつ製造品質管理、流通経路、利用実績などを記録管理することで、乳歯や親知らずから得られる歯髄細胞の活用促進と再生医療の発展に寄与すると言う。