では、具体的に両者はどのような違いがあるのでしょうか。
発想の起点
マーケティングの場合、「自社の商品の特徴とは何か?」をまず考え、その特徴から何を抽出し価値を提供していくかという考え方を行います。
一方、ブランドマーケティングの場合、「生活者は何によって感情が揺さぶられるのだろうか?」という部分にフォーカスを当てます。
生活者にとって、何を実現したいか、より良いライフスタイルを送られるものとは何かが重要であり、商品やサービスを提供する企業はあくまでそれを支える存在でしかありません。
自社の商品の特徴を考えるよりも、生活者のことを第一に考えることで、顧客のニーズを図ることも可能となり、世の中に価値のあるモノを提供することができます。
ブランドマーケティングは他のマーケティング以上に生活者のことを考えます。
他の商品よりも優れていることに重きを置くよりも、シンプルにその商品を好きになってもらうことに力を注いでいるのがブランドマーケティングです。
たとえば、アメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」は、決して燃費の良いバイクでもなければ、エンジン音も大きく高価格、スペックも他のバイクと比べるとそれほど高くはありません。しかし、熱狂的なファンが多い上、世界でも有名なバイクブランドとして地位を確立しています。
機能や実利的な価値の高さを優先されることももちろんありますが、自分の生活をより豊かなものにしてくれる”かっこよさ”に惚れる方も多くいます。そのため、ハーレーを乗り回すかっこいい自分でいたいと思わせるブランド力が十分に備わっており、ハーレーを持つことで今まで以上に豊かな自分でいられるという付加価値があるため、シンプルにハーレーを好きだと思わせる魅力によって人気は衰えていません。
顧客一人一人のニーズに合わせる考え方が一般化されている現代において、顕在ニーズはさほど発見しにくいものとなっています。しかし、一般的なマーケティングの場合、大抵はその顕在ニーズを見つけることに頭を働かせています。
ブランドマーケティングになると、顕在ニーズを探るよりも、顧客や開発者さえ気付いていなかった”潜在ニーズ”の部分に目を向け、商品やサービスにおけるさらなる価値観を生み出そうとします。少しでも早く潜在ニーズを発見し、より良いライフスタイルを提供できる市場を創り出していくことが重要となってきます。
マスコミ4媒体が強かった時代から一変し、今やインターネット、ソーシャルメディア上で流れる情報も多大なる影響力を発揮しています。さまざまな情報が渦巻く社会において、他よりも商品の優位性を主張するためには、名前を覚えてもらうアプローチが必要ですが、今となってはそれも難しい状況です。
一方、ブランドマーケティングはこれまで紹介した通り、生活者の感情に訴えるものを形成していく取り組みが行われており、これら2つを掛け合わせた「感情に訴え、覚えさせる」という視点があります。
商品やサービスのプロモーション積極的に行うのは悪いことではありません。しかし、多くの情報が行ったり来たりしている昨今において、ただ露出が多いだけでは他の情報に埋もれてしまうだけのパターンもあります。
そのため、生活者が見込み客となり、購入、リピート、ファン化に至るまでの流れを考え、その流れの中にある数々の接点を通じて、ブランドへの感情移入を形成する取り組みが必要です。
どの企業でも目指すポイントとして共通しているのが、その市場において「最高」の価値を提供できることでしょう。競合他社よりも優れた最高の製品を開発および提供することは、企業にとっても生活者にとっても悪いことではありません。
ただし、最高を求めすぎていると、過剰品質にこだわる可能性が出てきます。
これまでライバルよりも最高品質をキープしていたのに、つい最近発売されたあの商品はうちのよりも高品質でスペックが高い!といった場合、それ以上の最高を求め改良しようと試みます。しかし、それによって従来よりも魅力や価値が軽減することもあり、最終的に自社のオリジナリティや生活者のニーズを損なう場合も出てきます。
そのため、最高を求める考え方は良いことでありながら、マイナスに働く場合もあるのです。
ブランドマーケティングでは、こうした最高を目指していながらも、生活者にとって「最愛」の価値があるモノを一番に目指しています。
ブランドマーケティングを実践することにより、もたらす利益は主に以下の6つです。
ブランドマーケティングを実践することにより、長期的に知名度を高め、多くの人からより強い感情移入を形作ることが可能です。これまでは多大なる広告宣伝費を費やさないと買ってもらえなかったという状態から、広告宣伝費を使わなくとも買ってもらえるという状況に変えることができます。
そのため、安定的な売上や継続的な利益を得られるようになり、企業として長期的な利益向上に寄与するのがブランドマーケティングです。
さて、いかがでしたでしょうか。今回はブランドマーケティングについて解説しました。
ブランドマーケティングはマーケティング戦略の一つであり、顧客が感情移入できるような価値を提供し、より多くのリピーターを獲得していきます。それによって、競合他社との市場競争にも巻き込まれないために注力すべきマーケティングでもあります。
みなさんも自社の目指しているブランドイメージや商品・サービスの価値を見つめ直し、ブランドマーケティングにトライしてみてはいかがでしょうか。
配信元記事:Battery(バッテリー)「愛されるブランドを作る!ブランドマーケティングとは?」