今回はそんな『ESG投資』について説明します。
『ESG投資』とは、投資をする企業を選別する際に、環境(Environment)・社会(Society)・企業統治(Governance)を大切にしているか否かを重要視する投資活動を意味します。
画像出典:ESG投資とは? 企業の見えない価値と企業・社会・地球の持続可能性|PILES GARAGE
上の図のようにESG投資は、特に欧米を中心に行われている投資手法であり、日本での普及はこれからであると言えるでしょう。
では、なぜESG投資が近年注目されるようになったのでしょうか?
考えらえれることの1つに、『価値の高い企業』の定義が大きく変わった、ということが挙げられます。
これまではとにかく企業の商品を売り、短期での発表でどれだけ大きく利益をあげたか、という短期的かつ定量的な情報だけが注目されてることが主でありました。
しかし近年は人口も減り情報過多になり、ただ数を売れば企業が成長するという時代ではなくなり、中・長期的な視点でいかに社会に貢献をして、顧客の満足度を高められるか、というところが新しく注目されつつあります。
その時に見る指標として、環境への配慮やどれだけ社会に大きく貢献し、企業を持続できるようなガバナンスを設計しているのか、などが注目されるようになり、そこからESGを重視して投資の意思決定を下す、という流れになったと言われています。
よくESG投資という言葉の中にある『環境』『社会』という言葉を聞くと、『ボランティア』などと似ているものだと思う方もいます。しかし、ESG投資はあくまでも『投資活動』であり、投資をした先には利益を求めるのは変わりません。
「ボランティアを多く実施している企業が投資対象になる」という認識は誤りですので、注意しましょう。
確かに日本での普及率はまだまだ低いですが、ESGを意識した取り組みを行なっている企業も存在します。
今回は、その中の2社を紹介します。
1つ目の事例として、『UNIQLO』で有名なファーストリテイリング社を紹介します。
同社はNGOの指摘を受け、取引先である中国の工場の労働環境を調査し結果をウェブサイトに公開をしたり、世界220社の労働環境に対する通報制度の導入をし、消費者だけではなく従業員にとっても価値が高い企業を目指しています。
言うまでもなく、消費者の満足度を高めることは大切です。しかし同社はそれだけではなく、従業員も満足してもらえるような労働環境の構築も同時に行なっています。このような取り組みは、ESG投資で注目される要素の1つになります。
味の素社も、ESGを重視している企業の1つと言えるでしょう。
同社は、従業員の離職率や、メンタルヘルス休職者などの割合などの財務だけではない情報を、CSR報告書に載せて公開しています。ファーストリテイリング社同様に、従業員への配慮も行う企業であると言えます。
さらに同社は2030年をめどに、グループでのプラスチックの廃棄をゼロにするという目標を掲げています。
このように企業の透明性を伝えることによって、将来性のある企業だと伝えられています。
簡潔にまとめると、ESG投資は①環境②社会②企業統治という3つの視点で、『投資価値のある企業』に投資する手法と言えるでしょう。
とはいえども、全てのESGを重視している企業の価値が高いとは言えませんし、日本には馴染みのない投資手法かもしれません。しかし時代の変化と共に、投資の価値に値する企業の定義も変わってきたのは事実でしょう。
今後企業を見る際には、利益や財務状況などの定量的なデータだけではなく、社会への貢献度合いや透明性などの定量的な情報も注目してみると、新たな発見があるかもしれません。