本稿ではこの「コ・クリエーション戦略」についてご紹介します。
「コ・クリエーション戦略」とは、企業が顧客と共に新しい価値を生み出そうとする戦略のことを指します。
近年顧客は、商品といった「モノ」ではなく、その商品を通じて得られる体験、つまり「コト」を重要視する傾向にあります。
つまり、今や商品・サービスはプラットフォームに過ぎず、顧客はそのプラットフォームを通して得られる体験を求めているのです。
商品・サービス自体では他社との差別化が厳しいケースでも、その商品・サービスを通して得られる体験であれば、企業と顧客の「共創(コ・クリエーション)」により他社との差別化を図ることができます。
従来は、企業が商品やサービスを顧客へ一方的に販売する、という形が主流でしたが、他社との差別化が難しくなっている現代において、「コ・クリエーション戦略」は無視できないものと言えそうです。
「顧客と共に新しい価値を生み出す」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。幾つか事例をご紹介します。
ディズニーリゾートには、アトラクション、飲食店やパレードなどのコンテンツが多種多様に用意されており、その点で通常のアミューズメントパークとは一線を画しています。
そして顧客はそのコンテンツそのものを求めているのではなく、楽しみ方を追求することで得られる、コンテンツを通した体験価値を求めています。楽しみ方は顧客一人一人によって異なるので、顧客独自の体験価値を得ることができます。
つまり、顧客はディズニーをプラットフォームとして、顧客独自の体験価値を作り上げることができるのです。
現代多くの人が利用するTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSですが、これらSNS自体は、顧客が何も利用しない限りはただのプラットフォームであり、あまり価値があるものとは言えません。
しかし、このプラットフォームを通して顧客が投稿、いいねやシェアをすることで、情報が蓄積され、初めて大きな価値が生まれます。
顧客はSNSというモノではなく、SNSを通して得られる体験価値を求めていると言えるでしょう。
冒頭で述べたように、現代は商品やサービスでモノが溢れており、他社との差別化も厳しいものとなっています。
商品やサービスで差別化を図るだけでなく、顧客と共に価値を創造する「コ・クリエーション戦略」で他社との差別化を図ってみてはいかがでしょうか。