もともと「ランチェスターの法則」は戦争を通じて得られた法則ですが、ビジネスに応用することで、強者、弱者それぞれの戦略を導き出すことができます。
本稿ではその「ランチェスターの法則」の概要をご紹介します。
「ランチェスターの法則」とは、イギリス人のランチェスターが第一次世界大戦中に提唱した戦闘の法則で、戦闘力は兵力の質と量によって決まるというものです。
この「ランチェスターの法則」にはさらに第一法則と第二法則があります。
第一法則とは、一騎打ちのような原始的な戦いにおいて成り立つとされている法則です。
このときの戦闘力は、下記の式で表されます。
この式が成り立つとき、武器効率が同じであれば兵力数の多い方が戦闘力が大きくなり、兵力数が同じであれば武器効率の良い方が戦闘力が大きくなります。
例えば、槍を持った兵士が10人いるグループと、槍を持った兵士が20人いるグループが闘った場合、前者のグループは全滅し、後者のグループは10人が生き残ります。
また、槍を持った兵士が10人いるグループと、銃を持った兵士が10人いるグループが闘った場合、前者のグループは全滅し、後者のグループは何人かが生き残ります。
第二法則とは、一人で複数の相手を同時攻撃する広域戦、遠距離戦のような近代的な戦いにおいて成り立つとされている法則です。
このときの戦闘力は、下記の式で表されます。
兵力数が2乗になることが第1法則と異なる点です。
兵力数の差が大きい差になるため、この戦いにおいては兵力数の多いほうが圧倒的に有利になります。
このランチェスターの法則をビジネスに応用すると、強者・弱者のそれぞれが採るべき戦略について考えることができます。
ランチェスターの法則において強者・弱者の定義は、市場シェアに基づき下記のようになっています。
よって、市場シェアが1位の企業以外は弱者と考えられます。
第二法則では少しの差が大きな差になり命取りとなってしまうので、弱者は第一法則で勝負を挑むことが適しています。
しかし、第一法則においても、武器効率が同じであれば兵力数の大きい方が勝つため、強者に負けてしまいます。
よって弱者は、武器効率を上げる戦略、つまり質を高める戦略をとるべきであると言えます。
その例として挙げられるのは差別化戦略です。その企業独自の商品を作ったり、強みを持ったりすることで競争優位性を確保します。
強者は第二法則のような戦いを行えば圧勝することができます。
よって強者には、弱者の差別化戦略を防ぎ、量で勝負するミート戦略が適しています。
武器効率が同じであれば兵力数で勝負できるので、他企業の差別化を封じ込めることが重要です。
本稿でご紹介したように、強者か弱者かによってとるべき戦略は大きく異なります。
戦略を考える際には、自社が強者か弱者かを見極めた上で、ランチェスターの法則を参考にしてみてはいかがでしょうか。