今回は意外と知らない、しかし知っておきたいRPAの基礎知識について事例と共にご紹介します。
この記事はBatteryからの引用です。
RPAとは「Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)を、ルールエンジンやAI(人工知能)などの技術を備えたソフトウェアのロボットが代行・自動化する概念、と定義されています。
また、このRPAという概念を実現するツールのことを、RPAツールと呼びます。
現在、RPAという言葉が様々な形で利用されていますが、広義のRPAとはRPAという変革全体を表し、狭義のRPAというとRPAツールを表すケースが多いです。
RPA・・・ルールに沿って単純に作業をこなすのが特徴で、比較的安価で導入できる点にメリットがあり、導入もAIほど難しくない
AI・・・大量のデータをもとに分析し、結果を出力するのが特徴で出力する結果はどちらもビッグデータにもとづいている
AIは学んでデータを積んでいく代わりに導入障壁が高いです。
RPAは学びが蓄積していくことはないが先に入力したルールに沿って単純作業を正確にし、低コストで導入障壁は低いです。
このように能力面やコスト面が大きく異なるので用途によって使い分けされそうです。
ではRPAはどのような場面で使われるのか?
各業務における人間とRPAの作業速度の比較やヒューマンエラー(人為的ミス)の多い業務の見極めなど、 RPAに適した業務の洗い出しを行うことで、より効果的にRPAを活用することが可能 となります。
具体的には、財務/経理、人事などのバックオフィス、審査業務の多い金融、保険、政府関連、顧客情報を処理する通信やヘルスケア、小売など、幅広い領域で活用が進んでいます。
内閣府がHPで紹介しているRPA導入による企業へのメリットを5つご紹介します。
上述しましたがRPAはオフィス業務の代行を可能とします。
誰もが簡単に業務の効率化・自動化を実現できるのがRPAを導入する大きなメリットです。
従来は人間にしかできなかったオフィス業務をRPAに代行させることにより、担当者は他の業務に時間を割くことができるようになるため、生産性の向上が期待できます。また、新たなビジネスを推進する余裕も生まれます。
特に人材不足に悩む企業の場合、生産性向上は大きな課題です。
RPAを導入することにより、業務改善に大きく寄与することでしょう。
人間が行う作業には、意図せず、ミスが起こってしまうことがあります。人間が集中力を持続できる時間は限られており、特に繰り返し行う作業の場合は、問題が発生していても気づきにくくなるでしょう。
他にも、月次で数日しか対応しないがミスが許されず作業量も多いような繁閑差のある作業は、担当者にとって大きな負担になったりミスした際の手戻りが大きかったりすることがあります。
一方、RPAは一度記録した作業を正確に再現してくれるので、人的ミスの防止になります。ロボットであるRPAはどれだけ作業しても、人間のように集中力が途切れて精度が下がると言ったこともありません。
このことから、時間のロスや損害を回避することや、業務品質向上に大きく貢献してくれることでしょう。
たとえば、人間であれば10分かかる作業が、RPAであれば半分以下の作業時間で済むようになったという声はとても多く聞かれます。
また、RPAは時間や曜日が関係なくいつでも作業が可能であり、設定次第で決められた日時に作業を実行することもできます。
つまり、日々の作業工数削減・残業削減・休日出勤不要となり、その結果、人件費削減につながるという考え方ができるでしょう。
その他、新規事業に際して、本来はシステム開発費が発生してしまうというケースでも、システム化しようと考えていた業務の内容をRPAが代行することによって開発が不要となり、大きな費用がかからずに業務改善を行えたというケースもあります。
少子高齢化によって将来の労働人口減少が懸念されています。内閣府によると、2014年には6,587万人いた労働力人口が2060年には3,795万人に減少し、総人口に占める労働人口の割合は2014年の約52%から2060年には約44%に低下する見立てとのことです。
RPAは、日本が抱える、このような労働人口減少の問題解決にも貢献します。RPAで人間でなくてもかまわない定型業務を自動化すれば、人間が行うべき業務が精査されより効率的に業務を遂行することが可能になるでしょう。
RPAは作業ができる時間の制限も無く、一度覚えこませれば繰り返し作業を行ってくれるため、ホワイトカラー業務における人材不足の問題解消に大きな期待が寄せられています。
(引用元:第2章 人口・経済・地域社会の将来像/内閣府)
日本生命では人海戦術に頼らない手段を模索する中で、PC上での定型作業をソフトウエアで代替する手法にいち早く着目。
2014年、「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」という用語が登場する前から実務で活用を始めた。
本格稼働の開始から4年が経過した現在、2つの保険事務部門で49の業務にロボットを活用。当初狙いとしていた事務作業の平準化を達成したほか、年間5万時間の余力を創出した。
2018年からは、経理・財務等の保険事務以外の部門や、全国支社への展開も開始。ロボットによる代替で「作業単体」を効率化してきた実績を踏まえ、今後は「一連の業務全体」の最適化へと重点を移す見通しで、RPAとBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)の連携も一部で実証実験を開始した。
(参考:保険事務の正確さを支えているのは、経験豊かな現場の女性。ミスをしないロボットを味方に、新たな働き方を創造していってほしい/日本生命)
経営コンサルティング事業を展開する船井総研グループ。
その事業活動を支援する会社が船井総研コーポレートリレーションズ(以下、FCR)だ。
社員数約200名のうち9割以上を女性が占める同社では、業務量拡大に伴う残業の増加や、産休・育休等による人員の増減に柔軟に対応できる組織づくりが課題となっていた。
従業員のライフスタイルを支援するためにも業務を効率化する必要がある。
この課題を解決するため、同社では複数のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールを検討したなかで、2018年初頭にBizRobo!を導入。
顧客登録、DM発送など多数の業務を効率化し、残業時間の大幅削減に成功した。
(引用元:顧客管理システムへの情報登録、DM名簿メンテナンスなどのデータ管理業務をBizRobo!で効率化。残業時間の大幅な削減を成功させた/船井総研)
三菱重工業株式会社の防衛・宇宙セグメント 航空機・飛昇体事業部は、防衛省向けに戦闘機などの防衛装備品を納入している。
ものづくりを通じて「日本の空」を守る重責を担っている。
機密事項が多く、高度な信頼性が重視される現場で生産効率を高める取り組みの一環として2018年5月、PC上での定型作業をソフトウエアで代替するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール「BizRobo!」を採用。現場の実情に応じて手早く実装できるRPAのメリットを活かすため社内教育に力を入れており、15日間にわたる独自の研修プログラムを整備。2021年度までの3年間に事業部の7%強にあたる200人以上のロボット開発者を養成し、全部署にくまなく配置する計画だ。
(引用元:「日本の空を守る」ものづくりの現場で、RPA技術者200人以上の育成を目指す/三菱重工)
RPAの仕組みやできることについてご紹介してきました。
RPAは単純作業をこなすロボットという印象を受けたかもしれませんが、RPAは日々進歩しており、もしAIレベルに進歩を遂げれば安価で性能が高くAIを超えるツールになる無限の可能性を秘めています。
また、20年後には世界の47%の仕事がロボットによって行われるといわれています。それに応じて自動化できる業務の幅は広がっていくため、早い段階から情報収集を行うことをお勧めします。
・人口・経済・地域社会の将来像/内閣府
・RPAの仕組みとは?メリットや活用事例もわかりやすく解説!/ITトレンド
・RPA導入事例と効果 | AI・ロボットで業務自動化するメリット・成功のポイント/BOXIL
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは?基本から導入の進め方までまとめて解説/NTT DATA
・楽しい時代へ進化する日本のRPAはBizRobo!から/RPA TECHNOLOGIES