出典:経験曲線効果|マーケティング用語集|アクシスコンサルティング
上記のグラフは、製品ライフサイクルの図に単位あたりコストの曲線が示されているものですが、特に成長期から成熟期へシフトする段階において、単位あたりコストが減少していることが分かります。
このような「経験曲線」の関係が起こる理由は明確になっていませんが、同じ製品を繰り返し作ることで、従業員の習熟度が上がり能率が向上することが理由の1つとして考えられます。
そのため、単位あたりコストの減少する割合は製品や業界により異なるものの、人的作業の多い業務において、大きなカーブが描かれる傾向にあるようです。
では、ビジネスの場で経験曲線はどのように活用できるのでしょうか?
例えば、ある市場においてA社が先に製品を生産し、販売していたとします。
その後、B社がその市場に参入し同様の製品を販売しようとしても、A社の製品の累積生産量はB社よりも多く蓄積されているため、A社の単位あたりコストはB社よりも低くなります。
よって、A社はB社と同じ価格で製品を販売しても、B社よりも多くの利益を得ることができます。さらにA社は、B社が赤字になるほどの価格にまで販売価格を下げてしまえば、B社を市場から撤退させることも可能になります。
他にも、来店数の多いスーパーでは接客機会が多いために接客能力が向上し、効率的な店舗運営へつなげることができるというように、サービス業にも経験曲線の関係を適用できる場合があります。
しかし、この経験曲線はいかなるときも当てはまるというものではないので注意が必要です。生産方法の変更や技術革新が頻繁に起こる業界・製品においては、過去の経験があまり蓄積されないため、経験曲線のような関係が成り立たない場合があります。
また、経験を蓄積するために大量生産を行うと過剰在庫につながることもあるため、その点を考慮した上で経験曲線を活用することが必要になります。
最後にご紹介したように経験曲線の関係が成り立つ状況には幾つか条件がありますが、もし成り立つようであれば、競合企業に差をつけるための戦略策定に役立つかもしれません。
自社の置かれた状況を把握した上で、経験曲線を活用した戦略策定を行ってみてはいかがでしょうか?
【参考文献】
エクスペリエンス・カーブ(経験曲線)とは何か? BCG発案、生産効率向上の理論 事例や図版でフレームワーク解説|ビジネス+IT
経験曲線効果|マーケティング用語集|アクシスコンサルティング
経験曲線|用語解説|野村総合研究所(NRI)