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新規事業チームの編成でよく用いられる”多様性”には落とし穴がある

  • feedy

多様性は必要だが、全てのフェーズで万能とはいえない

多様性が良いとされる理由

一般的に新規事業を行う場合「多様性」を重視したチーム作りが推奨されている事が多いです。
その理由は、新規事業とは新しいものを創造する作業であるため、まずはアイデアを発散させることが必要だからです。
この時に画一的な視点ではアイデアの方向性も限られてしまうので、どれだけ多くの着眼点からアイデアを出すか(例えば家族構成・ライフスタイル・趣味嗜好など)が重要になるため、新規事業のチームには多様性が必要だと推奨されているのです。

しかし、なぜかアイデアは出るけど事業として上手くいかなかった、事業化のフェーズに中々至らなかったという経験を持っている方も少なくないはずです。

この記事はBatteryからの引用です。

多様性という言葉の誤解

多様性と聞くと大人数のチームを想像しがちですが、多様性の有無は人数に左右されるものでは無く、大人数でも多様性が無いケースもあれば、少人数であっても多様性を満たすケースはあると我々は考えています。

例えば同じ部署から、経歴や性年代も似たような人材を10人集めたとして、多様性を持ったアイデアが出せるでしょうか。不可能ではないですが同じ様な意見や考えになる可能性が高いと思います。

逆に、少人数でも異なる性年代、業務・経験を持った人が集まれば、多様性のある意見がでる事が多いと思います。極端ですが一人だけのチームであってもその人が固定化されない視点で物事を考えられるのだとすれば、多様性は満たしていると言えるでしょう。

つまり「多様性=人員数」ではないということです。

事業のフェーズにより違うチームに求められるもの

新規事業には大きく分けて2つのフェーズが存在します。
一つ目は事業のアイデアを発散し考えるフェーズ。二つ目は事業を実行推進していくフェーズです。
前半は冒頭にも記載した通り、事業の可能性を広げるため様々な着眼点からアイデアを出していく事が求められるので多様性を持ったチームが最適だと考えられます。

では後半の実行推進フェーズでも多様性は同様に良い効果を発揮するでしょうか。
新規事業はひたすら仮説を立て検証し、改善点を見つけ実行する。PDCAを忍耐強く繰り返していかなければ事業は失敗に終わってしまうと、多くの新規事業をサポートしてきた我々は考えています。その際、多様性を人の数と考え人員だけが肥大化してしまったチームでは、スピード感を持ってPDCAを回すことは難しくなるでしょう。
多様性は様々な観点で意見が出せるメリットがある一方で、意見が分散しすぎて方向性が決まらないといったジレンマが起こりやすくなり、速度を低下させる要素になる場合があります。
つまり、後者の実行推進フェーズでは、PDCAスピードが出せるチーム編成の方が重要になってくると思います。
「新規事業といえば多様性のあるチーム」と一辺倒に考えていると、実行推進フェーズで求められるファクトとズレが生じ、スピーディーな動きがしにくいチームに意図せずしてしまう、という落とし穴にはまる可能性が高くなります。

落とし穴にはまらないためには

アイデアを発散する段階では多様性をもちどれだけ多くの着眼点からアイデアを出すかが重要ですが、いざ事業を推進する段階になったらいかに合理的に先に進めるか、スピード感を持ってPCDAを回せるかを重視してチームを考えるべきでしょう。
これはあくまで方法の一つに過ぎませんが、アイデア発散のフェーズのみ例えば全社に公募を掛けるなどで意見を集め、実行推進は限られたメンバーで行うというやり方もあります。
または公募でアイディアが採用された人を実行フェーズにもアサインするというやり方も考えられるでしょう。重要なのは新規事業を立ち上げきることで、アイデアを出し合うことが目的では無く、事業推進をすることが目的ということです。

それぞれのフェーズで何が求められているのかを意識しすることで、自ずと最適なチームは見えてくるでしょう。
これから新規事業のチームを立ち上げる方は参考にしてみてください。