集まった金額が目標金額に到達しなかった場合にはファンディングは行われず、出資額は出資者に全額返金される「All or Nothing方式」を採用しています。成約した場合はKickstarterに、成約額の5%の手数料を支払うことが定められています。
現在までの支援実績は、プロジェクト数で11万8千件にのぼり、総投資額は28億ドルと言う規模を誇ります。サイトの規模が大きく、世界中から支援者が集まるKickstarterは、目標を達成すれば日本と比べてもかなり高額の資金調達が実現します。実際にプロジェクトあたりの平均単価を算出すると、およそ2万ドルと、日本の平均単価の100万円と比較しても大きいことがわかります。
また、プロジェクトの審査も比較的厳しめであるため、プロジェクトの質が高いのが特長です。そのため、クリエイターやアーティストを発掘したいプロのプロデューサーもサイトをチェックしており、Kickstarterで立ち上げられた映画関連のプロジェクトのうち、アカデミー賞を受賞したものもあります。
indiegogoは、2008年にアメリカでサービスを開始したプラットフォームです。新しい技術・デザイン・サービス、非営利プロジェクトなど広範囲にわたるプロジェクトが掲載対象となっており、世界中の誰もが簡単に出展できる点が特徴です。
Indiegogoが採用しているファンディングの方式には、設定した目標に達しなかった場合には全額出資者に返金される「Fixed Funding」と、設定した目標に達しなかった場合にも、出資者への返金は行われず、集まった分のお金が主催者側に送られる「Flexible Funding」という2つがあります。掲載されいる90%以上のプロジェクトがFlexible Fundingを採用しています。
現在までの支援実績は、支援者数は1000万人、総投資額は10億ドルにのぼります。
サイト掲載の審査基準が厳しめなKickstarterに比べると比較的寛容なため、プロジェクトが成功するかどうかに関わらず、ユーザーのフィードバックを得ることを主な目的としてテストマーケティングのような使い方をするケースもあるようです。
また、2014年から日本のクラウドファンディングサイトMotionGalleryと提携しており、MotioGalleryに掲載されるプロジェクトのうち、世界規模での活動を視野に入れるプロジェクトはIndiegogo内のMotionGallery特設ページに同時に掲載されるため、日本発のプロジェクトでも世界中の人から支援を集めることができるようになっています。
市場が台頭し始めているアジアでは、クラウドファンディングの歴史はまだ浅いですが、複数のプラットフォームが立ち上がっています。
2011年に中国の北京で生まれたサービスで、中国最大のクラウドファンディング。
主に中国や台湾、東南アジアをベースとするクラウドファンディングサイトです。
2012年3月に設立された、インドネシアのクリエイティブ業界を対象にしたクラウドファンディング。
ヨーロッパ、オーストラリア、南米といった地域でも、数多くのプラットフォームが存在します。欧米では投資型のクラウドファンディングが中心ですが、購入型のうち代表的なサイトを以下に紹介します。
2010年からサービスを開始し、ドイツのクラウドファンディングプラットフォームを先導するまでに成長。芸術的クリエイターや社会政策プロジェクトに重点を置いているが、エンジニアリングや化学向けプロジェクトも扱っています。
南米最大のクラウドファンディング。2011年8月にサービス開始。
クリエイティブジャンルに特化している。学術的なプロジェクトも存在。
さて、海外の主要な購入型のクラウドファンディングを地域別にまとめてきました。アメリカはクラウドファンディングの成立の歴史も長く、今回ご紹介したサイト以外にも多数のプラットフォームが存在します。一方、アジアやヨーロッパでは数年でサービスを終了するプラットフォームも多く、市場が確立していない印象を受けます。今後、アジアやヨーロッパ圏でのクラウドファンディング市場の拡大に合わせて、現在よりさらに多くのプラットフォームが提供されるようになると考えられます。
次回は、国内の主要な寄付型のクラウドファンディングのプラットフォームについて考察していきます。日本では主流ではない寄付型ですが、海外やアメリカでは広く取り入れられている支援方法です。企業毎に特徴を比較することで、クラウドファンディングに対する理解を更に深めていければと思います。