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テストマーケティングとしてクラウドファンディングを利用するのはどれくらいの効果があるのか?

  • feedy

クラウドファンディングは単なる資金調達だけでなく、プロモーション活動や地元PRなどにもつなげることが可能です。その中でも近年主流となっているのがテストマーケティングであり、市場販売を行う前にテストマーケティングとして新製品の開発やサービスの提供などを試みる事例が増えています。では、そうしたテストマーケティングとしてクラウドファンディングを活用した事例には、一体どのくらいの効果があるのでしょうか。

この記事はBatteryからの引用です。

認知度・売れ行きの向上

クラウドファンディングを活用し、たくさんの方々から支援をしてもらうことで、新製品や新サービス、またそれを扱った企業や団体の認知度が一気に高まる可能性があります。たとえば、ファッション業界の企業がクラウドファンディング上で新たに開発したスニーカーを販売した後、そのメーカーとスニーカーの売れ行き全体が倍増したというケースがあります。企業にとってその商品を一般販売する場合、ターゲット、カラー、価格などを細かく設けることができるため、需要を測って名前を売ることができるというのがメリットです。

あなたの運転特性をスマホで簡単診断!車のIoTサービス「DriveOn」
https://www.makuake.com/project/smartdrive/

2013年10月に創業した株式会社スマートドライブは、過酷なハードウェア領域に挑戦するIoTスタートアップ企業です。デバイスの製作から自動車の走行ビッグデータ解析まで、さまざまなことを手がけています。創業から1年半後、CEOである北川烈さんの「限定されたユーザーにサービスを使ってもらい、フィードバックをもらいたい」という考えから、クラウドファンディングサイト・Makuake上で初めてユーザーのもとにIoTサービスの「DriveOn」を届けました。

「DriveOn」は車にデバイスを装着してスマホで運転スキルを診断でき、自分がどんな運転をしたか、より安全に運転できるようになっているかなどをモニターできるサービスです。同サービスを考案した北川さんは、新製品のお披露目のような形で利用できるMakuakeで自社サービスをテストマーケする意味があると信じ、このプロジェクトを実施したところ、プロダクトの使われ方のデータを目の当たりにし、CO2の排出量やどの道路で急ブレーキやスピード超過が多いかなどのリアルなデータを把握することにつながりました。プロジェクトを通じて「DriveOn」の改善も行い、スマートドライブも企業として順調にサービスを展開。クラウドファンディングをきっかけに、会社・サービスがそれぞれ高いレベルへと進んでいるようです。

ファンやユーザーの獲得

先に述べたように、クラウドファンディングでプロジェクトを実施すると新しいファンやユーザーを増やすことにもつながります。インターネット上で不特定多数の人々から支援を受けられるため、たとえばアニメ化のプロジェクトの場合だと、元からアニメに興味のある人に加え、アニメに興味はなかったがプロジェクトを知って応援しようと思ったという方もいるです。そのため、クラウドファンディングをきっかけにファンになったという方も多く、新たな層のターゲットを獲得できる利点もあります。

東北ずん子アニメ「ずんだホライずん」制作プロジェクト
https://greenfunding.jp/pub/projects/1852

東日本大震災からの復興を応援する「東北ずん子」を主役にしたアニメ制作プロジェクトが、2017年にGREENFUNDINGにて実施されました。東北ずん子はアニメ化以前にも、iPhoneアプリ製作(30万円)、VOICEROID製品製作(500万円)、MMDモデルデータ製作(25万円)、VOCAROID製品製作(500万円)など、クラウドファンディングを繰り返し活用していたため、すでに一定の認知度は獲得していました。そんな東北ずん子のアニメ化には各方面から期待の声が募り、サブカルサイトで東北ずん子に注目する記事が書かれたり、既存のファンがSNS上で拡散したりしたことで、アニメ化プロジェクトの話題が一気に広まりました。

既存のファンや支援者がいると、拡散力は高まります。その結果、本来東北ずん子を知らなかった彼らの友人・知人にもアニメ化プロジェクトの話題は普及し、それをきっかけにファンになったという支援者も増えたようです。既存のファンの拡散力によってさらに認知度が高まる傾向はクラウドファンディングならではの特色と言えます。

地域経済の活性化に貢献

クラウドファンディングで実現される販路開拓が、地域活性化につながるケースもあります。SNSやWebで投稿すると、クラウドファンディングの挑戦に対して応援コメントが集まってきます。「応援の声」がリアルに見えるだけでも、地域にとっては資産となるでしょう。さらに、これまでのクラウドファンディングを通じて、実際に「認知度の向上・商品が売れる」という成果が出ており、たとえば「へべす」のクラウドファンディングでは、居酒屋さんでの新規年間利用や、地方の農家さんに注目したイベントでの活用など、実際に利用したいという動きも出ているようです。

特産品の消滅を救え!幻の柑橘「へべす」の魅力を全国に伝えたい!
https://faavo.jp/miyazaki/project/1544/report

香酸柑橘類の一種である「へべす」。健康効果が注目される一方、生産者の高齢化や後継者不足により、絶滅危機にあります。そんなへべすの魅力を全国に伝えるというプロジェクトが、地域特化型クラウドファンディング・FAAVOにて実施されました。へべすのクラウドファンディングでは、農家さんへの取材を行い地域の現状を伝え、それにより多くの方々から支援をいただき、商品に触れてもらってファンを増やしていくというプランのもと行われました。

プロジェクトに注目が高まると、へべすへの注目も必然的に高まり、それまで興味のなかった人の多くが、へべすの魅力を伝えることに協力しています。実際このプロジェクト以降、今まで注目を受けていなかったへべすはテレビのニュースなどでも紹介され、地域のPR活動にも貢献するようになりました。

まとめ

さて、今回は「テストマーケティングとしてクラウドファンディングを利用するのはどれくらいの効果があるのか?」についてご紹介しました。これまで資金不足でトライできなかった人たちにとっても、クラウドファンディングは革新的なサービスとなっています。単なる資金集めだけでなく、PR効果やターゲット層の把握なども期待できるため、まさに一石二鳥のサービスです。

今後あらゆる企業がテストマーケティングとしてクラウドファンディングを活用するかもしれません。皆さんもぜひ注目してみてください。