では、こうしたクラウドファンディングとメガバンクが提携する理由とは一体何なのでしょうか?今回は「メガバンクがクラウドファンディングと提携する理由」について紹介していきたいと思います。
冒頭で紹介したMakuakeとみずほ銀行の提携を例に挙げてみると、みずほ銀行はまず顧客の中からクラウドファンディングを希望している企業をMakuakeに紹介し、Makuakeはクラウドファンディングキャンペーンの実施およびサポートを行います。プロジェクトの中身は多種多様ですが、新規事業に取り組むスタートアップや中小企業、新店舗展開を考える飲食店などが主です。みずほ銀行とMakuakeは互いにクラウドファンディングの啓蒙/促進のために、クラウドファンディング活用をテーマにしたセミナーやイベントを開催しています。
クラウドファンディングとメガバンクが提携することによって生まれるメリットは、銀行から実行者への融資を円滑に行うことができるのに加え、新たな実行者の発掘にも役立つという点です。またクラウドファンディングのウェブの世界における情報の拡散力を活かし、地域企業と生活者をつなげられるのもメリットのひとつであります。
メガバンクがクラウドファンディングと提携を結ぶことで、顧客に新たなソリューションを提供し、顧客の事業支援や成長戦略支援の取り組みをより一層加速化させることができ、クラウドファンディング側も企業/事業主が新製品や新サービスを提供していくための積極的な支援を行なっていきます。
国内では先に述べたMakuakeとみずほ銀行のビジネスマッチングサービス契約の締結が話題となっていますが、海外ではそれ以前からクラウドファンディングとメガバンクの提携が広く行なわれており、たとえばイギリスのサンタンデール銀行がCrowdfundと、フランスのSociété GénéraleがSPEARと提携している事例もあります。
そんな中、2010年に設立されたアメリカのメトロ・バンクは、現在ソーシャルレンディングプラットフォーム・Zopaと提携を結んでいます。その背景には、メトロ・バンクの”赤字問題”がありました。メトロ・バンクはロンドン市内を中心に36支店構えており、2020年までにはロンドン市外も含め150支店へと拡大する予定です。ファミリーの囲い込みを意識した子供と犬を対象としたサービスが実施されており、小学生向けに金融教育プログラムの提供、児童をターゲットにした銀行金庫への案内、顧客の飼い犬を対象に各支店にドッグフードや飲料水などを置いたドッグコーナーが設けられているなど、メトロ・バンク独自のユニークなサービスが豊富となっています。
しかし、そうした一連のサービスはコスト高につながり、赤字の連続となっていました。そこでメトロ・バンクはZopaと提携を結び、サービスに必要な資金を調達し、メトロ・バンクの融資拡大につなげるというメリットを生み出すことに成功し、現在では黒字を叩き出すほど上昇しております。
さて、今回は「メガバンクがクラウドファンディングと提携する理由」について紹介しました。
海外と比較すると、日本のクラウドファンディングが”全国規模でサービスを展開している”メガバンクと提携を結ぶのは稀有なことであり、まだまだ浸透されていません。事業やプロジェクトの将来性について市場の反応を見極める手段として有効であるため、今後Makuakeとみずほ銀行のように、クラウドファンディングと金融機関が互いに協力し合う取り組みは増えていくのではないでしょうか。