上記の図は、主に企業において顧客をどのように管理するかの一連の流れをまとめたものです。
MAは主に①②の見込み客の傾向や情報の管理の役割を担い、SFAは③④の受注が決まった際の金銭や契約書の管理などを担い、今回のテーマであるCRMは主に⑤の領域を中心に担います。
会社のサービスによってはMAが③まで担っていたり、今回の情報が必ず全てのサービスに当てはまるということではありませんが、いずれにしてもこれらの3つのサービスの役割が違うことは理解しておいた方がいいでしょう。
では、CRMを導入するメリットはどのようなところにあるのでしょうか?
まず一つ目は、顧客情報の共有ができるということです。特にスタートアップに当てはまることとして、今までの業務があまりにも属人的であり、業務拡大と共に新しく入社したメンバーに教育/タスクの共有をする際にそれぞれも指導がバラバラで、事業の成長に組織の成長が追いつかないという問題が生まれます。
そこで全ての社員が顧客情報を共有できるようにCRMを用いて営業活動を行えば、他人の営業内容が可視化され、同じ画面を見ることによりスムーズな情報共有やアドバイスが可能になるということです。
上記の社員間での共有が可能になった後は、同じ共有ツールを用いたことによって、今までより顧客情報の共有が可能となるので、営業戦略の質の向上にも繋がるケースも多くなります。
もちろん社員間同士で顧客情報を管理し、業務の「見える化」をすることだけでも大きな価値があります。しかしそれ以上に、CRMを活用した営業戦略にまで繋げることができれば、さらにCRMの魅力を感じることができるかもしれません。
次に、実際にCRMを導入した事例を見ていきましょう。
大正7年に創設されたという歴史的な旅館である陣屋は、宿泊客の予約管理がホワイトボードを使用していたり、非常に属人的かつアナログであったそうです。その結果急な予約変更に対応できなかったり、同じ部屋に別の宿泊客を入れてしまうという課題がありました。
抜本的な業務の見直しを考えた代表の宮﨑富夫氏は、『Salesforce』の導入を実施。その結果、調理場を含む全ての従業員で情報共有が可能になり、情報漏れや二重予約の削減、宿泊客の声をすぐに旅館経営に反映させる戦略が可能となりました。
主にゲーム事業やコミック事業を手がける同社は、セミナーなどで獲得したリードへのフォローに取りこぼしがあったことや、顧客が多様化したことによる営業戦略の見直しが課題となっていました。
そこで同社は、『Microsoft Dynamics 365』を導入した結果、事業部を超えた営業フォロー、リードへのフォロー業務のマニュアル化に成功し、通常1ヵ月かかっていた作業を1週間まで短縮し、より多くのリード獲得に繋がったとのことです。
もちろんCRMを導入するには、今までにないコストや、社員全員がCRMに慣れるまでに時間がかかるなどのデメリットも存在し、一概に導入すればいいというわけでもありません。
しかし顧客のニーズ/課題が多様化している現在の市場において、細かく社内で顧客や自社サービスの情報共有をし、業務の見える化をしながら質の高いPDCAを回すことは、非常に大切であるといえます。
一度CRMの導入を考えることは、非常に価値のあることかもしれません。
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