テストマーケティングの手法まず、主なテストマーケティングの種類について紹介していきます。ホームユーステストホームユーステスト(HUT)は、いわゆる“モニター調査“と言われているものです。食品や化粧品などのサンプルを家庭に配布し、その製品の使い心地や感想などの評価を集めます。開発した新製品の受容性がどれくらいあるかや、既存品の改良チェックなどに役立てます。会場テスト調査対象となる既存/新規顧客を特定の会場に集め、新製品の感想をヒアリングする手法です。事前に告知をかけて参加者を会場に集めるケースと、当日呼びかけを行うストリートキャッチの2種類があります。店舗テスト特定のエリアにて実際の販売と同じ状況でテストを行う方法です。一般的に中規模都市を選び、全国販売するのと同様の広告、商品PRなどを通じて一定期間商品を販売する形となります。全国展開を踏まえて、人口分布や市場規模などを基準に、できるだけ異常値の出にくい地域を選ぶことが重要です。上記の方法以外にも、通常の質問では得られない個人の奥深くに秘められた心理や感情、考えなどを聞き出す面接形式のデプス・インタビューなどがあります。オンライン上でのテストマーケティングテストマーケティングという言葉を聞くと、予算に余裕のある大企業しか行えないと考えている方も多いのではないでしょうか。市場利用や会場でのヒヤリング以外にも、インターネットを介したオンライン上でのテストマーケティングも活発的に実施されています。アンケートインターネット上でアンケートを実施すると、ユーザーの回答を簡単に集めることが可能です。ターゲットを絞りこんだ上で、できるだけ多くのユーザーからの回答がもらえるよう、シンプルな質問を心がけておくと効率的です。Webモニター特定のホームページ上でモニターにアンケートの回答をしてもらったり、サービスを活用してもらったりする方法です。明確なターゲッティングができていれば、より詳細な回答を得ることが可能でしょう。SNSFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSページを活用し、いいね、シェア数、コメント内容などからユーザーからのリアルなフィードバックが得られます。SNSアカウントを持っている企業であれば、初めてのテストマーケティングにはぴったりの手法です。クラウドファンディング実行しているプロジェクトの商品やサービスに価値を感じた支援者から資金を集められるクラウドファンディング。どれほどの人が商品を欲しがっているのか、サービスを受けたがっているのかなどの指標がよく分かるため、近年では新たなテストマーケティングのひとつとして人気となっています。テストマーケティングの成功事例味の明太子「ふくや」http://www.pencil.co.jp/success/fukuya/博多に本社を置く辛子明太子メーカー・ふくやは、サーバーやシステムにお金をかけず、テストマーケティングを実践しました。現物を見て買うものと思われてきた生鮮食品の明太子を、ECで買うユーザーがいるのかというところからスタート。明太子をプレゼントするというキャンペーンを月1で設けたところ、1年間でなんと5万人もの「明太子好き」のデータを収穫する結果となり、多くのお客さんから明太子を食べたいという声が寄せられたそうです。その後、インターネット通販専用商品を開発したところ、それまで半年に3個しか売れなかったふくやの明太子は、1ヵ月で1万個の注文が殺到。テストマーケティングの導入によって売り上げの繁盛を見事に成功させました。エナジードリンク「レッドブル」http://energydrink-jp.redbull.com/エナジードリンクのレッドブルは、テストマーケティングとして商品のブランディング、そして広告宣伝活動を実施。皆さんも渋谷や原宿などで一度は見かけたことがあると思いますが、レッドブルは不定期に宣伝カーを走らせ、それに遭遇すると通常200円かかるレッドブルがタダでもらえるというキャンペーンを行っています。その場で飲んだ方に直接感想を聞くことができ、初めて飲む方にはレッドブルの味を理解してもらえるいい機会にもなります。また、レッドブルは若者に人気のあるスポーツや音楽など、あらゆるところでスポンサーシップを獲得し、レッドブルという名前の売り込みにも積極的です。その結果、レッドブル=クールでかっこいい商品だという認識が広まり、次第に人気を得るようになりました。宣伝カーを走らせて無料で商品を配ったり、スポンサーシップになったりと、コストと時間は膨大にかかっていますが、それを上回るほどの売り上げにも繋がっているようです。日本文化の博覧会「Japan Expo」http://www.japan-expo-france.jp/jp/Japan Expo(ジャパンエキスポ)は、JTS Group主催により、2000年から毎年フランスやアメリカで開催されている日本文化の総合博覧会です。フランスにおける日本のアニメや漫画のブームを背景に、3人の日本好きなフランス人によってスタート。2015年の来場者数は約25万人で、近年特に大きな発展を遂げています。また、最近では、日本のコンテンツや日本文化と関係のあるヨーロッパ・日本の企業にとってかけがえのないビジネスプラットフォームにもなっています。Japan Expoでは、来場者に向けた新商品の発表を行うため、その場でリアルな反応を見ることができます。同時に、消費者のニーズやターゲット層の把握にもつながり、さらに販売価格の設定の参考にもなります。海外の人向けに日本文化の需要を確かめるには最適な環境と言えるでしょう。まとめさて、今回はテストマーケティングの方法と成功事例について紹介しました。テストマーケティングは、明確な目的・目標を持った上で多くの情報を集めるという姿勢でないと、ニーズの把握や商品の改良などにつなげることはできません。世の中に商品として提供するクオリティに仕上げるためにも、テストマーケティングの段階から本番と同じ行程で実践してみることが大事です。