次に、社員のスキル向上ということがあげられます。MBOをするには、自分自身の力量の把握や、その目標に向かって進んでいく自走力など、今まで以上に能動的な行動力が求められます。そして能動的に行動することは、自らの思考力が鍛えられたり、今まで以上に成長することが期待されるでしょう。
もちろん、MBOにはデメリットも存在します。
まず考えられるデメリットとして、評価が曖昧になってしまうということです。全員が同じようなキャリアパスや、評価基準があれば給与の決定がスムーズになりますが、個人の仕事の重さや目標達成度合いがバラバラになってしまうと、どうしても客観的な評価が曖昧になってします。
対策としては、綿密な社員とのコミュニーケーションによって双方が納得のいく形にするか、複数の人事や社員によって評価を下すことなどがあげられます。
従来の仕事スタイルから急に自分達で目標設定をすることが義務付けられると、間違いなく社員は戸惑ってしまい、目標への自走ではなく、単なるタスクの管理を自分自身で行うだけに終始するだけになってしまう可能性があります。
これに対する対策としては、忍耐強く何度も説明するのが、一見遠回りに見えるが一番効率的な方法であるといえるでしょう。また、部下だけではなく、部下の目標を判断する上司側にも理解させる事が大切です。
では、実際にMBOをする際にどのようなことに気をつければよろしいのでしょうか?
まず1つ目に、細かく設定するということです。例えば「今までよりなるべく早く仕事を終わらす」という言葉ではあまりに抽象的であり、「早く」の定義が人それぞれになってしまいます。
この場合は例えば「今までよりも3時間早める」などと数値に変えたりして、誰が見ても同じ解釈をするような目標設定をする必要があります。
次に、実現可能性があるかということです。例えば、今まで英語の読み書きが出来なかった人が急に明日から海外の顧客を獲得するなどと言っても高すぎる壁であり、無責任だと言う上司もいるかもしれません。
目標設定の際は自分の力量を把握し、それより少しだけ成長できるように一歩前に出れるような目標設定が一番いいでしょう。
3つ目に、時間軸を定めるということです。いつまでに何を達成するのかを明確にしないと、タスクの優先順位が決められずに、結局全て中途半端になってしまう可能性があります。
そうならない為にも、わかる範囲でこの目標は何月までに、これは何月までと時間で区切ることが大切です。
目標を定めたとしても、それに対するアクションプランがなければ、結局は絵に描いた餅になってしまいます。前述した実現可能性の話と重なるところもありますが、目標を定める際には、しっかりと達成までの手段をセットで考える必要があるでしょう。
今回説明したようなMBOの働き方に明日から急に変えて、社員自身に仕事に任せるのは難しいかもしれません。しかし少しずつ、目標の設定をさせたり、より具体的に発言させることは可能であるでしょう。
社員のモチベーションに課題を感じているのであれば、この機会に、仕事の方法を見直して、いずれはMBOの導入で、抜本的に制度を変えることを考える価値はあるでしょう。
目標管理制度(MBO)とは? 意味、手法、運用方法、必要性、メリット・デメリットについて|カオナビ