画像出典:ブッキング・ドットコム、日本の事業拡大に本腰、コールセンター倍増200名体制・宿泊施設1万軒へ|トラベルスタイル
外資系のOTAサービスは、世界中の人が使うサービスであることから日々多くのフィードバックの中から改善されてます。多くのABテストの中から改善が繰り返されており、サイトを見るたびに細かいデザインの修正やギミックも変わっているように見えます。
気になるホテルのページを閲覧している時、現在の閲覧数や残りのホテルの部屋数が表示されていることから思わず予約してしまった人も少なからずいるのではないでしょうか?
このような細かいインタラクションや工夫も重要なのですが、他にも重要なポイントとして旅行するというユーザー体験とサイトの接点をうまく活用しているのが外資系のOTAサイトの優れたポイントでもあります。そこで今回は、ユーザー体験という観点から外資系の旅行サイトがなぜ優れているのかについて考えたいと思います。
そもそも旅行するというユーザー体験にはどのような行為が含まれているのでしょうか?
よく「友人との旅行を計画している時は旅行当日よりも事前にあれこれ計画しているときのほうが楽しい。」という話があるように、旅行というユーザー体験には当日だけでなく、事前の宿探し、予約、観光地のグルメスポットやアクティビティの散策など数日間に及んで旅行に関するユーザー体験は始まっています。
旅行サイトの特徴としてユーザーに対する価値の提供期間が長いところにあります。
仮に旅行の宿探しをPCやアプリなどの旅行サイトから予約しようと思った場合、ホテルサイトを探し、予約して実際にチェックインするまで最低でも1週間くらい。長いと1~2ヶ月くらい前から始まっているのではないかと思います。
日用品や洋服などのECサイトの場合、サイトにアクセスしてから商品を購入して、郵送されるまで早ければ1日、長くても1週間くらいではないかと考えると旅行サイトのほうがより提供期間が長くそれだけユーザーとの接点も多くなります。
外資系のOTAはターゲットユーザーとサービスがどこで接点をもつのかを分析し、その一つ一つの接点においてユーザーにとってメリットとなる価値を提供するよう改善を繰り返しています。この一連の体験の中でどれかひとつでも不愉快な思いをを感じさせてしまったらそのサイトにストレスを感じてしまいます。
宿泊を探すところからチェックイン当日まで、サイトとユーザーにはどのような接点があるのでしょうか?一部を紹介したいと思います。
旅行が決まった、日程も目的地もなんとなく決まったら次に探さなければならないのは目的地のホテルです。サイトが重視しなければならないのはユーザーが求めているホテル情報に最短のステップ数でたどり着けるかというところです。最適なホテルを見つける切り口として、価格/日程/季節/外観の写真/口コミといったホテルの情報だけでなく、サイトを見ているユーザーの環境や状況も加味する必要があります。
例えばですが、Booking.comはPCで見た時は検索画面から日付と目的地を絞り込む画面であるのに対し、スマートフォンでは、目的地が現在地周辺、日付は本日に設定されています。ゆっくり後日の宿を探す場合が多いPCと、スマートフォンではその日の近場の宿を探すというケースを配慮して、不要情報はあらかじめセットするという工夫がされております。
画像出典:>お得な宿泊料金を検索|Booking.com
アプリを起動すると目的地が現在地周辺、日付は本日に設定されている。
外資系のOTAサイトが優れている点の一つとして予約のしやすさがあると思います。もともと、予約した時点で宿泊料金を払わなければならない、「マーチャント・モデル」と言われる仕組みが前提だった時代にBooking.comはチェックアウト時に宿泊代を払えばよい「エージェンシー・モデル」を採用しました。決済がその場で発生しないので、キャンセルのしやすいUIに設計されており、購入のハードルを下げる工夫ができています。
一度予約を行うと旅行の前日までサイトに訪問する必要はないように思うのですが、外資系のOTAサイトは当日の旅行がスムーズに進むための工夫が施されております。googleカレンダーに同期されたり、リマインドを促すメールや、当日のレンタカー予約や目的地の観光スポットやグルメ情報などあらゆる方法でユーザーを再起させます。
以上のような接点はごく一部だと思いますが、外資系のOTAは旅行するというユーザー体験とサイトの接点をうまく活用しております。
接点が多くなるサービスの特徴を生かした細かい気遣いやユーザーがまた使いたくなるような動機付けができているからこそ、優れたユーザー体験が実現できているのではないかと考えます。本来サイト設計ではサイトにアクセスしてから購入するまでの購入のしやすさやデザインといったところに焦点を置いてしまいがちですが、それ以外にもユーザーとの接点がないか考えてみることも重要な要素です。また各接点においてユーザーが考える思いや行動を考えて、極力不安をなくしてあげる努力をサイト側も行わなければなりません。