そこで今回は、CVCについての基本とメリット・デメリットについてご紹介します。
VCとは ”Corporate Venture Capital” の頭文字を取ったもので、事業会社とベンチャー企業の連携方法のひとつです。
基本的には自社の事業領域と重なる、またはシナジーが期待できる企業に投資します。
ベンチャー企業への投資の形態は大別すると3種類で、
①自社で出資するもの(本体出資)
②外部のベンチャーキャピタルを挟んで出資するもの(VC出資)
③子会社を作ってそこから出資するもの(CVC出資)
に分けられます。
VC(ベンチャーキャピタル)は、リターンを得ることを主目的にしています。
そのため、成長が見込める事業であれば特に投資先の領域を限定することはありません。
一方でCVCでは自社の事業領域と重なる事業に出資します。
VCと比較して業界のトップにいる事業会社は、ベンチャー企業の最先端の技術が持つ価値をより理解することができるといえます。
M&Aでは、対象企業を吸収します。経営権を握り、生まれた利益を全て享受することができます。
反面、損失が発生した場合は全てを被ることになります。
それに対して、CVCでは主に技術のみを利用します。M&Aとは異なりもちろん、経営権を握ることはありません。
M&Aと比較して、CVCはローリスク・ローリターンといえるでしょう。
もっとも、後々のM&A候補を探す目的でCVCを行うことがあるようです。
さて、CVCについての概要を掴んだところで、そのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
CVC投資は事業会社の子会社が行うことが多く、事業会社の意思を迅速・正確に反映させやすいです。
意思決定をスピード感を持って行える、投資金額が比較的小さな投資に適当といえます。
また、前述の通り技術に投資するだけの関係なので、ローコスト・ローリスクです。オープンイノベーション的に開発を行うことができます。
さらに、情報収集の手段としても有効です。
最新の技術について情報をやり取りすることで、M&Aの候補を探すことにも繋がるでしょう。
CVCのデメリットとしては、ノウハウ不足によるコストがあげられます。全てを自社内でまかなうため、ベンチャー投資に精通している人材を調達する必要があります。
そして、CVCの選定先が自社の事業と密接に関連しているものに偏りがちになってしまいます。
全く協働していくのであれば問題はありませんが、シナジーを生むような事業領域からベンチャー企業を発掘するのはやや難しいといえます。
また、ベンチャー企業への投資の成功確率は高くありません。
自社の領域から離れた事業であれば尚更のことです。
成功させるためには継続的に投資を行い、多くの時間と資金を費やす必要があります。
CVCについて、そしてそのメリット・デメリットについてイメージが湧いてきたでしょうか?
オープンイノベーションもトレンドになっている今、新たな企業連携の形として日本にもっと定着していくことでしょう。
【参考文献】
・CVCの目的、メリットやデメリットとは? 大企業の投資事例まとめ | PILES GARAGE
https://piles-garage.com/article/4217
・「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(第三版)」を取りまとめました (METI/経済産業省)https://www.meti.go.jp/press/2019/04/20190422006/20190422006.html
・急増するも困難も多いCVC運営 成功に導くためのカギは? | プロシェアリング
https://circu.co.jp/pro-sharing/leaders-campus/article/2086/