今回は新規事業の創出プロセスについてご紹介します。
この記事一本で大枠はつかめると思われるので実際に事業を立ち上げる際に参考にしていただけると幸いです。
そもそも新規事業の創出タイミング、必要性はどこにあるのでしょうか?
もう既に収益性を確保できている企業なら新たな収益を求める場合や、新たな事業を作ることによって既存事業の質を高める場合などが考えられます。
まだ会社ができたばかりの場合は会社の顔となる事業、会社維持のため収益性のある事業を創出する必要があります。
では、新規事業創出の課題はなのでしょうか?
多くの課題は、経営資源のヒト・モノ・カネ・情報の要素に集約されると言われています。
つまり、この4要素の扱い方がわかると立ち上げ時の問題は最小化されるとも言えます。この4つの要素が元に起こる問題についてもう少し深ぼります。
どんなスキルの人間に任せて良いかわからない、エース人材を既存事業から引き抜けない、任せられる立ち上げ人材がいない。
今まで築いてきた資産(特許や技術などを含む)を活用したいと思いつつもどのように活用して良いのかわからない。
どれくらい予算を確保して良いかわからない、あるいは予算がそれほどない。
どんなプロセスで進めるべきか、どんな枠組み(フレームワーク)で取り組むべきか、どんな企画書を是として評価すべきか、わからない。
このような問題が考えられます。
事業をスタートする前に潰せる問題はありそうですね。
今から起業、新規事業立案を考えている方はこの問題を考えて回避できるリスクは回避しましょう。
①アイディア⇨②構築⇨③サービス化⇨④分析⇨⑤改良・修正⇨①…の繰り返しで事業の質を高めていきます。
では、①〜⑤のポイントについて書いていきます。
~社内のリソース(資源)から考える~
既存事業がある企業の方は始動のしやすさなどからまずはここから始めると思います。
その場合は以下のことを意識するとアイディアが出て来やすいです。
・私たちが今まで「時間」をかけて、やってきたことは何だろう?
・私たちが今まで「お金」をかけて、やってきたことは何だろう?
・私たちが今まで「情熱」をそそいで、やってきたことは何だろう?
〜利益率から考える〜
新規事業を考える場合、利益率の高さに気をつけることは、とても大切です。この場合は競合他社などを参考にして大体の相場を考えるとアイディアが出て来やすいです。「Yahoo!ファイナンス」で、業種や会社名を検索すると上場企業の利益率が調べられます。
〜ある分野の市場をリサーチする〜
これも事業を始める上でとても大事なことです。レッドオーシャンに飛び込まないことは大事ですが、新規事業がとても自信があるか、潜在成長性がない限り全く新しい、今までない業種に参入してはいけません。全く新しい分野に参入すると、お客さんに認知してもらうために大きなコストがかかってしまうからです。
大体のアイディアが定まったら大事になってくるのがサービスの仕組みの構築です。
・マーケティング(売れる仕組み)
・業務改善(業務を標準化する仕組み)
・リスクマネジメント(事業リスクに対処する仕組み)
この辺りの仕組みの構築、整理を確実なものにしましょう。
仕組みの構築ができたらいよいよサービス化となります。
サービス化までいったら顧客の反応を確かめ、要望に応えることが大事になって来ます。
その際に意識することはサービスサイクルがあるということを理解しておくことです。
・導入期(新製品・新サービスの普及)
・成長期(利益が上がり競合が出てくる)
・成熟期(売上が鈍化し競争が激しくなる)
・衰退期(他の代替品が出てきて利益が下がる)
このサイクルを④の分析などを踏まえつつ考え、サービスの質を上げていきます。
顧客の要望、市場の特性、自社の強みなどを様々な分析を用いて競合他社に差別化し、より使われるサービスへと変えていきます。
分析方法について詳しいことは次の章で書きます。
実際にサービス化してみて見つかった穴や改善点などについて可能な点は変更しサービスの向上につなげる。
ここで大事なのは投資・撤退判断を早くすることです。
この判断を早めると大きく損を出すことを防ぐことができ、次の事業に投資できる費用が増えます。
ここでは新規事業開発の際に使えるフレームワークを紹介していきます。
MVV分析とは(ミッション、ビジョン、バリュー)の略であり、組織が社会において存在する意義や役割を定義し、メンバーで共有するためのフレームワークです。
MVV分析は企業やプロジェクトの存在価値や方向性を定めます。新規事業を起こしたり、会社を新しく作るときにはMVVは非常に大切になってきます。
ミッション(使命)とは果たさなければならない役割、社会に提供する価値、存在する意義を表したものです。
ビジョン(将来像)とは、将来のあるべき姿や中長期的に目指す目標像を、その会社に関わる誰もがイメージが湧くように表現したものです。
そして、何を大切にしてミッションやビジョンを実現するのか、行動指針や姿勢を表したものがバリュー(価値)です。
ミッションがWhy、ビジョンがWhat、バリューがHowにあたります。
Customer:市場・顧客
Competitor:競合
Company:自社
の頭文字をとった3C分析は、ビジネスを行っていくにあたり市場の関係性を理解するためによく使われるフレームワークです。
なぜ3C分析を行うのか、その目的を明確にすることで、分析を行う範囲が広がりすぎて方向性がぶれる、ということを防ぐことができます。
3C分析を行うと、事業の進行方向が見えてきます。
SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字から命名されたフレームワークです。
SWOT分析を使うことにより、マーケティング戦略立案における環境分析ステップで、自社の環境要因を考える視点を提供できます。
SWOT分析のやり方としては、SWOT=強み、弱み、機会、脅威の4つを組み合わせて分析することで、自社にとっての、市場機会や事業課題を発見します。
VRIOは、
・経済価値(Value)
・希少性(Rarity)
・模倣困難性(Inimitability)
・組織(Organization)
の略であり、VRIO分析は3C分析の中のCompany:自社にあたり、自社を深掘り、経営資源にフォーカスした分析手法で市場機会(他社にはない、自社ならではの強み)を見つけるための分析でもあります。
分析対象は「業界」ではなく「個別企業」となっています。
実際に起業、新規事業創出に成功している起業家のアドバイスをまとめてみました。
〜新規事業は「顧客」と「自分」の課題から始めること(株式会社Unicorn Farm)〜
事業創出は、、
✖️アイディアベース
◯顧客の課題ベース
であることが大事である。
〜既に顕在化している需要を見つける(AnyPay株式会社)〜
データなどの分析から「これくらい伸びるだろう」という試算を持っていたら動きやすい。
〜挑戦の数を増やし、投資・撤退判断は柔軟に考える(株式会社VOYAGE GROUP)〜
早急に進退の判断をすることで次に繋がる。
〜「営業」と「エンジニア」のバランスのとれたチームを作る(株式会社メドレー)〜
顧客の声を持ち帰る営業の力が強くなってしまうと、単なる顧客の御用聞きとなってしまい、受託開発のような形に陥ってしまうので営業とエンジニアのバランスの取れたチームで事業開発に臨むべきである。
〜多くの人を巻き込みすぎない(株式会社ドリコム)〜
多くのメンバーの意見を取り入れすぎてしまうと、コミュニケーションコストが増加したり、方向転換がしづらい状態に陥ってしまう可能性があるので少数精鋭のチームで、新規事業を立ち上げるべきである。
〜自社が持たない知見・ノウハウは、外部から得る(コニカミノルタ株式会社)〜
自社のリソースでできることからの発想だと、可能性が限られてしまうので外部から人材を得るのも事業開発を円滑にする一つの手である。
〜ネットワーク効果で強固な参入障壁を築く(弁護士ドットコム株式会社)〜
自社での営業活動のみならず、バイラルでの新規顧客の獲得を試みるべきである。
新規事業作成のプロセスとして大事なことは懸念要素を1つずつ潰していくことでした。
大体の企業が陥るポイントが『ヒト・モノ・カネ』の3要素でした。ここの問題を初期的な段階で解決する為のPDCAの回し方、フレーム分析の方法を詳しく書きました。
また、タイミングとしては自分たちが発信したい新規事業の内容が決まったらすぐに発表するのではなく、予想される様々な障害を事前に回避し、様々な方法、分析による結果などから気づきを取り入れ、質を高め、改善を重ね、これを繰り返し完成に近づかせていくというものでした。
新規事業立ち上げの参考となりましたでしょうか?とはいえ、やはり自分で実際に取り掛かってみることから新規事業は始まると思います。その時に今回の記事を参考にしてください。
【参考資料】
・新規事業の立ち上げプロセス、フレームワークなど現場の事例【10選】まとめ/SELECK
・【保存版】新規事業立ち上げのプロセスと鉄板フレームワーク5選/techpartner