水産庁が発表した「平成28年度 水産白書」によると、食用魚介類の1人1年当たりの消費量は、2001年の40.2kgをピークに減少しており、2015年度には、前年より0.8kg少ない25.8kgとなっている。また、経済産業省の商業統計によると、1972年には56,165軒あった鮮魚小売店、いわゆる町の魚屋は、2014年には11,118軒までに落ち込み、旬の魚やさばき方、調理方法といった彼らが担ってきた「魚の情報流通」という機能が失われ、生活者が魚の楽しみ方に触れる機会が少なくなっている可能性がある。そのような現状に着目し、博報堂アイ・スタジオとフーディソンでは、それぞれの強みであるテクノロジーとITを活用した水産プラットフォームを掛け合わせ、漁師、鮮魚小売店、生活者の3者間の情報流通を活性化し、“未来のお魚屋さん”として生産者と生活者をつなぐことを目指す。プロジェクトの第一弾として、博報堂アイ・スタジオでは魚の骨格をARで可視化するツール『スケルギョン - SEEfood glass -』のプロトタイプを開発した。フーディソンが主催する10月7日開催のイベント『もっと理解したい、魚と米のこと。』にて展示をする。博報堂アイ・スタジオではこれまでにも、社会や企業が抱える課題をクリエイティブとテクノロジーの力でイノベーションを起こし、解決を試みる研究開発を行ってきた。スケルギョンの開発にあたり、魚のさばき方や調理方法を知らないことが、魚離れの背景にあると考え、魚をさばく際のガイドになると言われる「魚の骨格」に着目した。魚の骨格を可視化することで、販売者が行うショーケースの魚の説明をもっと分かりやすくする販促ツールとして開発中である。店頭で顧客と店員が魚について同じイメージを共有することでコミュニケーションの活性化を目指す。『スケルギョン - SEEfood glass -』は、さらなる機能拡張に向けて研究開発を行っていく。「未来のお魚屋さんプロジェクト」では今後も、テクノロジーを活用して魚の売場を活性化させる活動を行っていく。