一方、会社設立時に打ち立てた「社員にとって良い会社」には、どう取り組んでいるのだろうか。
「おもに人間の生き方を教えています」。そう語る三好氏は、自己啓発プログラム「SMI」の創業者で知られるポール・J・マイヤーの影響を受け、SMIの販売代理店もやっている。SMIの販売においては世界1位を7回受賞した実績を持ち、SMI史上もっともSMIを多く販売した人物でもある。SMIの内容をラーメン店経営にも活かして、月に一回、社内でモティベーションのセミナーを開いている。また全店を回りはじめ社長セミナーも始めた。社長セミナーの内容は、やはり生き方に関するもので、60歳を過ぎた三好氏(1955年生まれ)の実体験も話している。たとえば、こんな話である。
「良い大学を出て一流企業に就職して出世することは、60歳までの成功です。私の同年代を見ると、60歳までの成功者で定年退職後も幸せな人はきわめて少なく、80歳まで幸せな人は何人いるでしょうか?うちは一流企業ではないので、社員も60歳までは勝ち組ではないかもしれないけど、80歳までの人生では勝ち組になろうじゃないか。そのためには準備が必要なのです。60歳までしか成功しない人のほとんどは、仕事の目標しか持っていないのです。80歳を超えても成功するためには、六つの分野(精神面・家庭生活面・社会生活面・教養面・健康面・経済面)に目標を持つことなのです。これをポール・J・マイヤーはトータルパースンとよび、若い時からこの六分野に目標を持つことを、最大のポイントとしています。これを実行すると本当に運が良くなって、幸せな人生を送れるようになります」。
いま三好氏は、29歳になる息子の三好一太朗専務に経営のほとんどを委譲している。一太朗氏は物件開発能力にすぐれ、新たな店舗展開を期待できると楽しみにしている。
「ショッピングセンターからの出店要請が増えています。売り上げを確保できる商業環境なので、できるだけ応えていこうと思います。やがて、これまでとは違ったかたちで、楊州商人がクローズアップされるのではないかと見ています」。
経済ジャーナリスト
小野 貴史