現状、OMM法律事務所のクライアントは大きな企業が多いが、ベンチャー企業からの依頼にも積極的に応えていきたいと考えている。ベンチャー経営者にはどんな法的リスクが想定されるのかも含めてアドバイスを聞いてみた。
「一昔前であれば、創業段階には従業員の労務リスク以外にはあまり法的リスクは考える必要はなかったように思います。少し規模が拡大してきた段階で取引契約に絡む御相談が想定され、さらには上場を検討する段階で会社法や金商法に強い弁護士を入れようといった流れが基本であったと思います。一方、最近では、特にIT分野において、無形物やサービスを取扱った、いわば仕組みを用いたビジネスモデルで起業する場合や、早い段階から資本や取引関係において大きい企業やVCにパートナーやスポンサーになっていただく場合には、最初に法的スキームをしっかりと作り込んで自分の立場を確保した上でスタートする必要があります。これをやらないと、せっかく良いところまで持っていっても、目立った段階で大企業に全て持っていかれてしまうというパターンを良く見かけます。やはり、スタートアップの目立たない段階から優秀な弁護士と組んで、曖昧にせずに、自らの権利を確保しておくことができるようなビジネススキームに関わる契約書等を作り上げておくべきです」
スタートアップから弁護士と組むメリットは大きいと語る大塚和成弁護士だが、ベンチャー経営者にとってどのようなストロングポイントを持ち合わせているのかが気になる。
「私自身、大企業の側で数多くの案件を担当してきました。大企業の立場から紛争に関わった経験も多く、彼らがどういうアプローチで攻めていくかを熟知しています。それだけに、そのような大企業を相手に丁々発止をしなければならないスタートアップ企業にとっても、心強いパートナーとなれる自信があります。私としても、これから事業を大きく伸ばしていけるベンチャーは、しっかりと応援していきたいと思っています」
ライター
袖山 俊夫