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ソシャゲのガチャはあと2年で終わる。ブロックチェーンゲームの可能性

CryptoGames株式会社代表小澤 孝太

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CryptoGames株式会社は、ブロックチェーン技術を用いたゲームを開発、運営し、世界を代表するブロックチェーンゲームを生み出すことを目指す企業だ。

同社は現在CryptoSpells(クリプトスペルズ)というブロックチェーン技術を用いたカードゲームを運営しており、ユーザー数は8500人ほど、クラウドセールを行った当初は初日に600ETH、合計で900ETH(当時のレートでおよそ3000万円)を販売し、好調な歩みを見せている。

今回はCryptoSpells(クリプトスペルズ)を制作するCryptoGames株式会社代表の小澤孝太氏にお話を伺い、ブロックチェーンゲームを開発するに至った経緯や、ブロックチェーンゲームの特徴、そして今後の展望などについて詳しくお話いただいた。

ブロックチェーンゲームに携わるまでの経緯:クリプトキティーズに衝撃を受ける

私がブロックチェーンに関わるようになった背景からお話しさせていただきますと、もともと中高生時代に引きこもりのMMOゲーマーでした。なので学校が終わると、すぐに家に帰ってゲームをプレイするような生活でした。

当時は10万円ほどゲームに課金していたのですが、ある日ゲームのサービスが終了してしまい、とても悲しい思いをしました。

2014年にサイバーエージェントに入社して、そこでいくつかゲームの新規事業を行ない、2018年にクリプトキティーズに出会いました。

起業した理由① ゲームでお金を稼げるという世界観

クリプトキティーズはゲームのキャラクターの所有権がユーザーにあって、ゲームが終了してもユーザーにキャラクターが残り、今までのゲームで出来なかった「お金を稼ぐ」という事が可能な世界観でした。この世界観が非常に革命的だと衝撃を受けました。

サイバーエージェントに所属していた時には、eスポーツ事業を行っておりまして、ゲーマーの社会的地位の向上や、ゲームでお金を稼げるようになるといいなと考えておりました。eスポーツは1人が1億円稼げる世界だと言えますが、それに対してブロックチェーンゲームは100人が100万円稼げる世界観になってきたかなと思っています。

従来はゲーマーを職業にするのは博打的要素があったんですけど、今はお金を稼げる人の裾野が広がって、ブロックチェーンゲームはゲーマーの社会的地位の向上になると思っております。

起業した理由② ブロックチェーンゲームはベンチャー企業にこそチャンスがある

また、サイバーエージェントに所属していた時、ブロックチェーンゲームに取り組もうという話も出ていました。しかし、当時は仮想通貨交換業など含めて法律が整っていなかったことや、トークンの取り扱いなどの法律も整っていなかった部分もあり、大企業はなかなか参入ができませんでした。また、ソーシャルゲームに関しては、現実世界の現金や電子マネーを、ゲーム内におけるバーチャルなお金と交換する部分に問題がありまして、法律面と業界面からなかなか参入ができない状態でした。

そうなりますと大企業は入れないので、ベンチャーでやるしかないですし、ベンチャーでこそ勝てる領域だなと思いました。そこで、当時は少し怪しいイメージがあり、法律的にはグレーな部分もあったのですけれども、あえてブロックチェーンを使ったベンチャー企業としてチャレンジしました。

ブロックチェーンゲームの特徴

ブロックチェーンゲームの特徴は大きく分けて3つあると思います。

1つ目がデジタルデータの資産化です。

今までデジタル化が進んでいく中で、音楽でも動画でもテキストでも写真でも全てコピーが自由にできるようになってきました。一方でオリジナルと言うか、現場みたいなものがなくなってしまったという背景があります。

しかし、ブロックチェーンを使うことでデジタルデータにもオリジナルが作れるようになりました。なのでそのオリジナルのデータを売買できるようになり、それがユーザーのものになります。その点で、デジタルデータの資産化が一つのポイントになってきます。

2つ目の特徴は、誰かがサーバー上のデータベースだけでトークンを記録している訳ではなくて、非中央集権的に複数のユーザーがデータを持っているので改ざんがされにくく、不正も起きにくいという点です。

3つ目が、イーサリアム上のオープンソースなので、第三者による拡張が自由にできるところです。オープンソースを使って2次創作が自由にできます。

クリプトスペルズの概要:透明性と資産性を備えたカードゲーム

弊社はブロックチェーンを使ったカードゲームのCryptoSpells(クリプトスペルズ)というゲームを開発しています。カード自体がノンファンジブルトークンと言われる ERC 721で発行されていまして、ユーザーに所有権があるカードになります。

なのでユーザーがそのカードを自由に売買したり、ブロックチェーン上にカードが記録されていることで世界にカードが何枚存在するのか、誰が持っているのか、実際にいくらで販売されてきたカードなのか、そういうことが証明されているゲームになっています。

既存のカードゲームの文脈でお話すると、アナログTCGは、実際のカードを現物で所持することができました。しかし、ブロックチェーン以前の従来のデジタルTCGは運営会社のサーバーにデータを持っているため、自由なトレードもできなければ、ゲームが終了すると無になりました。

これはソシャゲのガチャのビジネスモデル上、このような発展を遂げてきましたが、フラットに考えると、自分が買った電子データも自分で取引できるのは自然なことであり、時代の流れだと思われます。

一方でソシャゲの文脈で行くと、ガチャのビジネスモデルはユーザーも消費され尽くされてきたり、海外では禁止が始まったりと、2年後はないかもしれません。新しいビジネスモデルへの転換のタイミングです。

そこでユーザーが資産を獲得し、なおかつゲーム業界的にも新しいビジネスモデルの可能性となるのが、ブロックチェーン技術を用いたゲームなのです。

ゲームとしての魅力:不平等がゲームの前提にある

カードゲームの文脈でお話させていただきますと、今までのカードゲームは少しeスポーツの要素が強かったです。つまり、全てのユーザーが同じカードを持った上で、どういう風にデッキを組んで戦うかという平等な条件での戦いだったのですが、クリプトスペルズの場合はそもそもその発行枚数が限られているので不平等な条件になります。

しかし不平等がつまらないわけではありません。既存のゲームの中には、不平等なものも多く存在します。スポーツでも、資産を持っているところが、高い金額で選手を獲得して戦っています。

クリプトスペルズに関しては、カードには5種類のレアリティが存在しておりまして、リミテッドレジェンド、レジェンド、ゴールド、シルバー、ブロンズの各レアリティによってカードの販売価格、発行上限枚数、などに違いがあります。

例えば、レアリティの一番低いブロンズだけのノーマルデッキを組んでレアリティの高いレジェンドカード倒すと沢山ポイントがもらえるというシステムを採用することで、今まで体験できなかった新しいトレーディングカードゲーム体験を作り出しています。無課金の人がレジェンドを倒す事例も大会ではかなり発生しています。

 

ブロックチェーンの誤解:アプリケーションレイヤーはそこまで難しくない

今のブロックチェーン業界に対して誤解があるかなと思っていまして、「ブロックチェーン=難しい」というイメージがあるんですけれども、アプリケーションレイヤーで言うと難しいことはないです。

プロトコルなどの研究開発は難しいですけれども、アプリケーションレイヤーに限って言えば、ERC721の雛形を使って作ることもできます。クリプトスペルズのトークンもほぼマイクリプトヒーローズのトークンのコントラクトのコピーで作ってます。なので誤解があるのは研究開発みたいな部分とアプリケーションを作る上での基礎的な技術には乖離があることです。なのでアプリケーション開発は特段難しいというわけではありません。

また、業界全体としてもブロックチェーンゲームを広げていこうという取り組みがございまして、『My Crypto Heroes』を制作したdouble jump.tokyo(ダブルジャンプトーキョー)さんがブロックチェーンゲームの開発支援を行う「MCH+」というプログラムを始めています。そのプログラムに参加していただけると、ブロックチェーンゲームの作り方のノウハウやコントラクトも全部提供していただけるので、簡単に作ることのできる環境が整いつつあるかなと思っています。

むしろ難しかったのは技術面ではなく、面白いゲームを作れるかどうかという部分です。

ブロックチェーンゲームといえど、面白いゲームを作るのが本丸

ブロックチェーンゲームといえど、面白いゲームを作れるかどうかが本丸だと思っています。ソーシャルゲームほどのコストをかけないでどうしたら面白いゲームが作れるかが課題でしたね。

カードゲームにした理由も、僕が好きということ以外に、コストを抑えて面白いゲームを作るという目的もありました。今のソシャゲはグラフィックや声優などクオリティ面でコストがインフレしていますが、カードゲームの面白さはそこだけではありません。そのため莫大なコストをかけなくても戦っていける領域なのではないかと思い参入しました。

コミュニティの信頼を得ることで、クラウドセールも好調に

おかげさまでクラウドセールの結果は900ETHほど、当時のレートでも3000万円ほどでした。ご購入いただいたユーザーの数が400人ほどなので、一人当たりの金額が8万円ほどになります。結論から言うと特定の一部のユーザーの方に多く買っていただいた形になっています。この理由はひとえに Twitter にある強固なコミュニティが理由だと思っています。

日本の場合 Twitter でブロックチェーンゲーマーのコミュニティが成立していて、そのコミュニティの方々からの一定の信頼を得られたと考えています。昨年あたりに出たブロックチェーンゲームは、そもそもゲームがちゃんと作られなかったり、スキャムのようなものが多かったので、弊社の場合、上場企業からも資金調達をして、きちんと1年間以上継続する資金を準備いたしました。

加えて、マイクリプトヒーローズ、ダブルジャンプトーキョーさんに応援していただことも理由です 。

ブロックチェーンゲーム業界の横のつながり:MyCryptoHeroesとの連携について

ブロックチェーンゲーム業界の横のつながりについてですが、まずブロックチェーンゲームに対する法律の規制がないように業界で協力しながら動いていております。また、8月にコラボするマイクリプトヒーローズさんとは、お互いのゲームのキャラクターをお互いのゲームで使えるという「NFTコンバーター」という機能をリリースしました。それは業界として初めてのことであり、僕らがブロックチェーン業界を盛り上げていこう、先導していこうという意気込みで行なっております。

ブロックチェーンゲーム業界の展望

ブロックチェーンゲーム業界としての展望についてですが、この分野は日本が世界で勝てる珍しい領域だと思っています。

プロトコルやチェーンなどは海外に負けてる部分もありますが、「ブロックチェーン×ゲーム」の領域であれば世界で一番勝っているのはマイクリプトヒーローズです。

ゲームは日本が強い領域なので、本当にこれからの日本を支える新しい産業になればいいなと思っていまして、ゲーム会社だけではなくてウォレット業者や取引所も連携してオールジャパンでこの市場で勝っていきたいと考えております。

加えて、ブロックチェーンゲームのコミュニティと、日本の国民性が合っていると思います。

海外は競争原理が強いのですけど、日本の場合は共闘、マルチプレイといった、みんなで戦う文化があります。ブロックチェーンゲームは、みんなで作っていこう、共闘共創という日本の国民性とうまくマッチして、今後はさらに世界で通用するゲームを作っていけるのではないかと思っています。

「ブロックチェーンカードゲームと言えばクリプトスペルズ」というポジションを1年で確立する

これからのブロックチェーンゲームは、今までのソーシャルゲームと同じような歴史を辿ると思っていまして、市場が拡大するほど大資本が入ってきます。そして、どんどんベンチャー企業は勝てなくなってくと思います。

なので、弊社としては、ここ1年で勝ちきれるかどうかが勝負です。「ブロックチェーンカードゲームと言えばクリプトスペルズ」というポジションを一度確立するとブロックチェーンゲーム業界における IP(知的財産)になるかなと思ってます。そうすると今後ブロックチェーンゲームが沢山生まれた時に、コラボしたり、僕らのトークンを使って面白いゲームを作ってもらうことになるので、そこのポジションを取り切ることが、ここ1年の勝負だと思っています。

弊社としましては、新しいブロックチェーンゲームをもっと増やしたいというフェーズでもあります。そのために弊社ができることがあれば何でも支援させて頂きたいと思っておりますし、ブロックチェーンゲーム市場のさらなる発展のために努力していきたいと思っております。

CryptoGames(クリプトゲームス)株式会社
CryptoSpells(クリプトスペルズ)

インタビュー・記事執筆・写真撮影
塚田愼一