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「日本の農業で、世界を驚かす」をミッションに日本の農産物を海外マーケットに輸出する / 注目ベンチャーインタビュー株式会社日本農業
代表取締役 内藤祥平

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2019年11月26日:日本の農産物の輸出や品種の保護を主なビジネスとするアグリスタートアップ株式会社日本農業(代表取締役:内藤祥平/所在地:東京都品川区)は、株式会社デンソー、オイシックス・ラ・大地株式会社等を引受先とする第三者割当増資及び複数の金融機関からの融資等による総額約8億円の資金調達を完了したと発表した。

日本農業は現在、タイ、インドネシアなどの東南アジア諸国へ主にリンゴを輸出。また、輸出だけでなく、日本の優良品種の知財保護策立案や、それらの品種を活用した現地生産により、世界中の人々へ日本の農作物の「美味しさ」を届けることを目指している。

今回は日本農業株式会社様に伺い、日本の農業の課題とそれに対する同社のソリューション、そして資金調達を受けた今後の動向についてお話を伺った。

日本農業のミッションと設立のきっかけ

日本農業は「日本の農業で、世界を驚かす」をミッションに活動している。2016年11月に代表取締役社長 内藤祥平 氏と共同創業者 COO 永田玲士 氏が中心となり立ち上げた会社だ。

同社を設立したきっかけには、代表取締役社長 内藤氏の高校時代の体験があると言う。

「私の農業との出会いは、高校時代でした。自転車で日本縦断の旅をし、そこで出会った農村風景、農家の人々の営み、地域密着型の商売全てが、私の目には大変新鮮で、魅力的に映りました。」

日本の農業に心を動かされた内藤氏はアメリカのイリノイ大学の農業経営学部に1年間留学した後、鹿児島と茨城の農業法人で1ヵ月ほどインターンシップを経験。加えて、ブラジルでも農業の経験を積んだと言う。大学卒業後もマッキンゼーの農業経営立案に携わるなかで、世界と日本の農業を比較し、日本の農業は「立ち行くのか、消え去るのかの分岐点にある」と感じたそうだ。

「戦後70年間、日本の農産業の構造は『国内で作って、国内で売る』というものでしたが、人口減少と自由貿易の波が来ている中、国内のみでは到底立ち行きません。そこで、『海外』という巨大市場を見出し、自らがプレイヤーとして日本の農業に改革を起こすため、『株式会社日本農業』を設立しました。」

日本の課題と、日本農業のソリューション

日本の農業の課題として以下の3点が挙げられる。

  1. 人口減少
  2. 自由貿易・国際競走の波
  3. 知財の流出

同社はそれぞれにおいて、日本の農業を活性化させるソリューションを提供している。

東南アジアへのマーケット拡大

農家の売上の大部分を占めているのは日本国内のマーケットである。しかし少子高齢化や人口減少の波もあり、国内マーケットは今後厳しい状況が予想される。そこで自由貿易・国際競走の流れも踏まえて、海外にマーケットを拡大していくのが同社の狙いだ。

日本農業は農家の課題を解決し、アジアへとマーケットを拡大するために、栽培から選果、輸出、販売までを一気貫通で管理する。

また、日本農業は現地に駐在員を派遣しており、小売店への営業を直接行っていると言う。今までは輸出をして、現地の会社が販売するという形式をとっていた。しかし既存の方法では、他の国の果物と差別化されない形で販売されていたため、販売の仕方を日本から指導することにしたと言う。

ブランディングの面では「ESSENCE(エッセンス)」というブランドを立ち上げている。今までの日本には「Dole社」のようなブランドが存在していなかった。日本の農産物の中に目立ったブランドがないなかで、「エッセンス」というブランドを育て上げ、世界に輸出したいと考えているそうだ。

すでに東南アジアの各国にりんごの輸出事業を行っている。日本産のりんごがシェアナンバーワンであるタイでは、500店舗以上で「エッセンス」ブランドを展開。インドネシアでは日本産のりんごのシェアの92%を獲得するなど、着実にマーケットを拡大している。

知財のライセンス保護で流出を防ぐ

もう1つの課題は「知財の流出」である。

現在、世界で一番生産されているりんごは「ふじりんご」だそうだ。しかし、もとを辿れば青森で開発されたりんごである。「ふじりんご」のライセンスを保護していなかったため、世界中で無許可で栽培されているのが現状だ。他にも、日本には世界でも有数の品種が多く存在しており、仮に知財として登録していれば、年間数千億円に及ぶ損失は防げたと言う。

そこで同社は日本の品種を守るためのソリューションを展開。具体的には農家向けの知財保護支援を行うと同時に、海外の信頼できる農家にライセンシングを行うというものだ。

国内の品種を海外に運び、海外の農家の方に生産して頂き、それを同社の「エッセンス」のブランドのもとで販売。その利益を海外農家に届けて、ロイヤリティを日本の農家に運ぶ仕組みだ。

今後はESSENCEブランドの普及を目指しマーケットや品種も拡大

調達資金の用途としては主に以下の2点を考えているという。

  1. ブランド「ESSENCE」のマーケティング
  2. 知財のライセンスの本格始動

マーケティングの一環として、まずは「りんご」で日本一を目指すという。具体的には、効率的な栽培方法の周知や、選果場の買収、東南アジアでのブランディングの強化などだ。加えてりんごだけでなく、さつまいもなど他の品種の輸出も着手していく。

最後に代表取締役社長の内藤氏は今後の展望について以下のように述べた。

「現在のターゲット市場は東南アジアがメインですが、今後は中国やインドといった巨大市場に入り込んでいきたいと考えています。また、今の主力はリンゴですが、最終的には果物に限らず複数品目を、輸出できるものは輸出で取扱い、できないものは品種の輸出を通して海外へ広めていく予定です。4年後には売上100億円を達成し、『日本の農業で、世界を驚かす』というミッションを日本の農業の未来のために取り組んで参ります。」